ArayZ No.76 2018年4月発行知的財産 最新情報(前編)
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カテゴリー: 会計・法務
公開日 2018.04.19
アセアン主要国において2015年以降に登録された特許権50件、意匠権40 件、商標権40件に関する出願・登録情報を、アセアン各国の知的財産庁を通じてランダムに取得し、これら知的財産権の権利化に関する期間を算出した。
注目すべき点としては、特許に関してタイでの特許出願が他のアセアン諸国と比較して出願日から登録日まで約11年8カ月と最も長期間で登録に至る結果となっている点である。先に説明したとおり、特許の権利期間は、特許出願日から20年である。実に権利期間のうち半分以上の期間が審査待ちによって失われていることになる。
バイオ、医薬の技術分野においては、約16年7カ月、約18年5カ月と長期間に至る。
タイ知的財産局は本件を重大な課題と認識しており、2016年から3年以内に特許審査官を約3倍の計100名体制へと増員する計画が実行されている。その結果、現在は審査処理件数が大幅に増加しており、タイ法律事務所での聞き取り調査によると、最近のオフィスアクション通知件数は昨年の同時期と比較して約2~3倍程度になっているとのこと。
さて、知的財産を保護(特許権、意匠権、商標権を獲得)することができた後は、実際に知的財産権を活用してこそ本来の価値が発揮される。そこで、次に模倣品・海賊版対応策として、知的財産権の権利行使状況について説明する。
※1 経済警察:タイ警察(RoyalThai Police)中央捜査局の傘下にあり、知的財産を含む経済犯罪やサイバー犯罪を主に取り扱う特別組織(ECD:Economic and Cyber Crime Division)である。
※2 特別捜査局:法務省傘下の特別技能を持つ専門家らが集まった特別部隊であり、米国における連邦捜査局(FBI)に相当する機関(DSI:Department of Special Investigation)である。事件が複雑で特殊捜査が必要な場合、タイ経済にインパクトや国際関係に影響を及ぼす場合などには、特別捜査局を利用することも可。
タイは18ページAのように、商標権・著作権による権利行使が中心であり、これはタイに限らずアセアンにおいて同様の傾向が見られる。つまり、警察が特許権に関わる技術内容を理解し権利侵害の有無を判断することは難しく、当該警察が躊躇する傾向があるのだ。当局からの聞き取り調査によれば、上記の特許権・意匠権に関する摘発件数の大半は意匠権によるものであるとのこと。
ここで、刑事摘発の主な流れを説明すると、まず権利者が代理人を通じて証拠書類とともに警察へ強制捜査(刑事摘発)を依頼する。すると、警察は裁判所から発行された捜査令状を下に強制捜査を開始し、模倣品・海賊版の押収・被疑者を逮捕・当該被疑者に対し事情聴取する。被疑者が権利侵害の罪を認めて謝罪するなど、権利者との間で和解に至れば刑事訴訟には至らないこともある。
そうでなければ、警察から起訴準備資料とともに事件が検察へ送致される。事件の送致を受けた検察官は起訴状を裁判所に提出する、あるいは権利者が警察・検察に頼ることなく自ら刑事訴訟を起こすことができ、民事訴訟を起こすことも可能である。これらを踏まえてB:知財侵害に関する訴訟件数について統計データをご確認いただきたい。
※3知的財産・国際取引中央裁判所:知財専門の裁判所として設置された第一審裁判所である(Central Intellectual Property and International Trade Court)。知的財産および国際取引に関する民事および刑事事件を取り扱っている。
ArayZ No.76 2018年4月発行知的財産 最新情報(前編)
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THAIBIZ編集部
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