ArayZ No.112 2021年4月発行タイ会計・税務・法務
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カテゴリー: 対談・インタビュー
公開日 2021.03.31
2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所パートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。
タイに来たきっかけを教えてください
20歳の頃、大学の夏休みに旅行でタイを訪れ、現地で仕事をしている日本人の方々や同年代のタイ人の若者と話をする機会がありました。そこでの熱気に当てられて「海外で仕事をするのは面白そうだ」と思いました。
実は元々弁護士に強い関心はなかったのですが、法学部で勉強する中で、どんな事業をする上でも法律の知識があることは強い武器になると感じていました。また、大企業のような組織の一員としてではなく、個人に裁量がある専門家として東南アジアの仕事に関与したいと思い、弁護士になるため法科大学院に進みました。
司法試験の勉強は大変でしたが、幸い仲間に恵まれ、友人たちと日夜議論するのも楽しかったです。
GVA法律事務所に入られた経緯を教えてください
前記の通り、自分の裁量を持って東南アジアで仕事をしたいと考えていたので、比較的小規模な事務所に絞って勤務先を探していました。その過程で、GVA法律事務所を知りましたが、面接で訪れた時はまだ設立されて数ヵ月という状態でした。そんな中で、面接で東南アジアへの思いを語っても、前向きに受け止めてくれたことが印象的でした。
入所後は4年間、弁護士としてスタートアップ企業の支援に従事しました。目が回るような忙しい毎日でしたが、刺激的でとても充実していました。
GVAの頭文字のGにはグローバルという意味が込められています。事務所全体として、世界中にサービスを広げたいという思いがあります。 私はタイを選択しましたが、東南アジアの中で成熟期を迎えているタイにおいて、法務サービスの必要性はこれからも増えるだろうと考えています。法務サービスにおいて、社会が成熟していることは一つの重要なファクターで、社会が成熟するほど法務に対する期待や要求は高まります。
当初は事務所を潰さないために必死でした。ようやくタイでの仕事を通じて社会に貢献している実感が出てきたのは最近のことです。
AIなどは法務サービスにどんな影響を及ぼすでしょうか
GVA法律事務所とは別法人のGVA TECHで、AI-CON Proというサービスを開発しました。AIによって契約書に潜むリスクを瞬時に検出し、法務業務の効率化を実現するサービスです。
契約書のチェックで難しいのは、書かれていない情報からリスクを検出することです。そのためにチェックリストなどを用意しますが、取引条件が変わると別のチェックリストを使ったりしなければならず、大変な労力を要します。
AI-CON Proは私が契約書を読み終えるより圧倒的に早く、リスク審査を完了させてしまいます。書類チェックにおける特定のリスク検出において、AIの速度と正確性に人間は太刀打ちできません。
一方で、弁護士は不要になるとは思いません。エクセルがあるから会計は不要という話にはならないのと同様に、テクノロジーを活用して処理可能な法務情報の範囲と量が拡大する結果、弁護士が提供する機能は今後もますます重要になるだろうと思います。
その意味で、これからの弁護士に求められる資質の一つは、体制構築能力ではないでしょうか。企業の様々な業務がAIやソフトウェアなどに置き換わっていく中で、それらを前提にして企業の法務リスクを管理する体制を作る必要が出てくると思います。
今後はどんな事業展望を持っていますか
最近、どうすれば法務情報のギャップを解消できるかに関心を持っています。
法務は一部の企業で積極的に活用されてますが、多くの企業ではまだまだ軽視されています。“法律のことはよく分からない〟“困ったときに弁護士に相談すれば良い〟と思っている方もいらっしゃるかもしれません。法務サービスがもっと普及しなければならないと感じています。
GVA TECHもテクノロジーを使った法務格差の解消をテーマにしている会社です。法務サービスをより広く、利用しやすいものにしていくことも私たちの大きな目標です。
ArayZ No.112 2021年4月発行タイ会計・税務・法務
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THAIBIZ編集部
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