Vol.12 【ベトナムの不動産事情】外国人がベトナムで住宅を所有する方法②

ArayZ No.105 2020年9月発行

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Vol.12 【ベトナムの不動産事情】外国人がベトナムで住宅を所有する方法②

公開日 2020.09.10

ベトナムでは2015年7月1日から住宅法と不動産事業法が施行されました。特に住宅法は、外国人や外資企業による住宅購入の条件が緩和されています。

 6月号では外国人の住宅購入について取り上げましたが、今回は外資企業が住宅を購入する際に注意が必要な点を説明します。

法人名義で購入する時の条件

 法人名義での購入は①不動産業を営む目的②それ以外に分けられます。①は不動産事業法により規定され、②は個人名義での購入資格と同じく住宅法に基づきます。

 大規模または定期的に不動産取引を行っていれば①に分類されますが、どちらの法令が適用されるかは明確な基準がないため注意が必要です。

 ①の場合、不動産事業法に基づいて、不動産業のライセンスを持った会社を設立し、出資金として200億VND(約1億円)を出資する必要があります。業務にも制限があります。

 ②の場合、住宅目的ならベトナムに住所を持つ外資企業が購入できますが、ベトナム人以外から購入しなければなりません。利用方法は従業員の社宅利用に限られ、第三者への賃貸はできませんが、住宅として不要になれば転売は可能です。

外資企業に可能な業務

 外資企業がベトナムで不動産業を営む場合、次の業務のみ認められています。

(1)サブリース(転貸)のための住宅及び建物の賃借
(2)国家より賃借を受けた土地への賃貸用の住宅建築に対する投資、並びに売却、賃貸または購入用以外の住宅及び建物建築に対する投資
(3)販売、賃貸または購入用の住宅及び建物を建築する目的で投資家から不動産プロジェクトの全部または一部を譲り受ける
(4)国家から割り当てられた土地に販売、賃貸または購入目的の居住用住宅の建築に対する投資
(5)工業団地、工業地帯、輸出加工地区、ハイテクパーク内で賃借を受け、譲渡される土地について、土地使用目的に従った事業を営むための住宅及び建物の建築に対する投資

住宅の購入及び転売に関する制約

 (2)(4)(5)は大きく分ければ不動産開発行為として認められています。(1)により住宅等を賃借し転貸するサブリースも可能です。ただし、賃貸・販売用の建物購入は認められておらず、外資企業は不動産業としての建物購入及び賃貸・転売はできません。ベトナムに進出する日系ディベロッパーは不動産開発として一からプロジェクトの承認を受けるか、(3)のプロジェクトごとに購入しています。また、既にこれらの権利を有する企業を買収するという手段も多く取られています。

寄稿者プロフィール
  • 工藤 拓人 プロフィール写真
  • CAST LAW VIETNAM 代表
    日本国弁護士・ベトナム外国弁護士工藤 拓人

    弁護士法人キャスト・パートナー。日本国弁護士(大阪弁護士会所属)、ベトナム外国弁護士。2011年から弁護士法人キャストに参画し、13年から中国上海、14年からベトナムへ赴任。15年よりホーチミン支店長、17年より現職。ベトナムを拠点に、在ベトナム日系企業に対して進出法務、M&A、労務、知的財産、税関および不動産などの分野で幅広いサポートを行う。著書に「メコン諸国の不動産法」(共著、大成出版社)、「これからのベトナムビジネス」(共著、東方通信社)など。

キャストグループは中国やASEAN、日本でビジネスを展開するクライアントのさまざまなニーズに対し、法務、会計・税務、人事・労務、マーケティングのスペシャリストが集い、各分野の強みを有機的に結合し、最適なソリューションを提供するグローバルコンサルティングファームです。

  • ICONIC Co., Ltd. ロゴマーク
  • ICONIC Co., Ltd.代表 : 安倉 宏明 ( Yasukura Hiroaki )

    設立 : 2008年5月

    TEL : (+84)28-3821-5122(ベトナム)

    URL : iconicjob.jp

    10F Citilight Tower, 45 Vo Thi Sau, Dist 1, Ho Chi Minh, Vietnam

ICONICグループは「人材サービスでグローバル化する社会を豊かにする」というミッションのもと、2008年にベトナムで創業し、現在は5ヵ国7拠点にてグローバル人材事業を展開しております。メイン事業はASEAN各国現地での人材紹介事業と組織人事コンサルティング事業。そして14年よりベトナムを中心に現地人材および、海外で働きたい日本人向けの転職サイト『iconicJob』を、19年に『iconicHRbase』をスタートいたしました。

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THAIBIZ編集部

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