カテゴリー: 会計・法務
公開日 2015.09.12
タイの知的財産に関わる法律には、発明(特許)、小発明(小特許)、意匠を保護する特許法(1999年改訂第3版)や商標、サービスマーク、証明商標、団体商標を保護する商標法(2000年改訂第2版)、創作物(文学・演劇・美術・音楽・視聴覚・録音・映画・視聴覚放送など)を保護する著作権法(15年改訂第3版)のほか、営業秘密法(15年改訂第2版)、集積回路の回線配置保護法(00年)、種苗法(99年)などが存在する。タイが加盟する主な知財関連条約については表2の通りだ。
特許権、意匠権、商標権は前述のように保護を求める各国で取得する必要がある。すなわち、タイでの製品展開に当たって模倣品の発生を防ぎたいのであれば、タイで権利を取得する必要がある。タイで各権利を取得するには、商業省下のタイ知的財産局(DIP)に出願、登録の要件に沿って知的財産局が審査を行い、所定の要件を満たしていると判断されれば権利が発生する(図1)。
出願は、在タイの知財に詳しい法律事務所に依頼するのが一般的である。
「2013年度のジェトロによる調査報告では、タイは他国に比べて外国からの特許出願の権利化期間: 約10年11ヵ月、外国からの意匠登録出願の権利化期間: 約4年と出願から登録までの期間が比較的長いため、権利化遅延によるリスクに注意が必要です(表3)」(金森氏)。
そこで注目されるのが日本国特許庁との間で試行されている『特許審査ハイウェイ(PPH)』だ。これは各特許庁間の取り決めに基づき第1庁(先行庁)で特許可能と判断された発明を有する出願
について、出願人の申請により第2庁(後続庁)において簡易な手続で早期審査が受けられるようにする枠組みで、出願人の海外での早期権利化を容易とするとともに、各特許庁にとっては第1庁(先行庁)の先行技術調査と審査結果の利用性を向上し、審査の負担を軽減、質の向上を図ることを目的としている。
タイは現在、日本のみとPPHを試行しており、日本で特許となった出願があれば、この出願に基づいてPPHを申請することで、タイで早期権利化を図ることが可能となっている。
「タイの場合、知的財産局がPPHの申請からファーストアクションまで半年〜1年となるように努力するとしており、2014年にはこの枠組みを利用し45件が登録されました。タイはアセアン他国に比べて大幅に審査時間を要していたので、権利化遅延に対する大変効果的な対策となっています」(高田氏)。
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THAIBIZ編集部
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