カテゴリー: 特集
公開日 2016.02.18
目次
Konoike COOL LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.
General Manager 井上亜樹氏
Manager 若山優太氏
Konoike ASIA (THAILAND) CO., LTD.
Managing Director 村上直弘氏
鴻池グループが提供する物流サービス
井上(敬称略):食材をはじめとするお客様の商品を“冷凍、冷蔵、中温、常温”と最適な温度管理で保管・配送する定温物流サービスを行う当社、KONOIKE COOL LOGISTICS
(THAILAND)CO., LTD(. KCLT)は、フォワーディング業務サービスを行うKONOIKE ASIA(THAILAND)CO., LTD.(KAT)と連携して、鴻池グループ内でタイおよび近隣諸国から日本国内までの一貫物流サービスを提供しています。また、タイから隣国ミャンマー・カンボジアへはまだ不定期ですが、越境陸送の実績を積んでおります。ただし、コスト面や煩雑な各国の通関事情から二国間輸送が現実的です。AECによる域内物流の一日も早い自由化が望まれます。
村上(敬称略):2015年の当社の輸出取扱件数は、14年比で約1.5倍に増加しました。当社では、東南アジアから調達した部品や半製品を輸入し、タイで組み立てられた製品を中国、日本などの国に輸送するといった流れを請け負っています。また昨年度より、AECによるASEAN域内物流の自由化加速の可能性に加え、既存顧客のタイ近隣諸国への進出に伴い、GMSエリア内の越境陸送ニーズが増えてきました。
当社では以前はASEAN内の物流は日本の拠点からコントロールしていましたが、GMS地域での越境陸送ニーズに応えるため、日本からではなくタイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどのグループ拠点が主体となって、連携しながら物流コントロールを行っています。ただ、ミャンマーへの陸送はバイパスが開通したとはいえ、新政権に変わり輸入ライセンス申請から許可までに時間がかかっているというケースもあり、まだまだ不安要素は強く、常に更新される情報にアンテナを張って不安をひとつずつ取り除きながら実績を積んでいる最中です。
食品輸送における越境貿易の課題
若山(敬称略):タイからアランヤプラテート―カンボジア・ポイペトの国境を通り、ポイペトでカンボジアのトラックに荷を積替え、プノンペンまで運ぶという越境食品輸送を2013年にスタートし、輸出件数は徐々に増えてきています。課題は復路で、カンボジアやミャンマーからタイへ農産品を輸出したいというニーズはあるのですが、タイは農産品の輸入制限があり、片荷輸送になってしまっているという問題があります。
井上:鴻池運輸グループでは14年8月より、ベトナム・ホーチミン~カンボジア・プノンペン~タイ・バンコクを結ぶ冷凍・冷蔵商品の混載輸送サービス「メコン・フード・エクスプレス」を開始しています。冷凍・冷蔵倉庫を3ヵ国3拠点に構え、当社が保有する冷凍・冷蔵トラックにて商品に最適な温度で配送を行っています。ベトナム・カンボジア間では、相互通行ライセンスを取得していますので、越境時に積み替えの必要がないのですが、タイ・カンボジア間では積み替えを行っています。制度や交通事情(通行車線の違い)などクリアしなければならない壁があり、相互通行の実現はまだ難しいと考えています。
タイ・メーソートとミャンマー・ミャワディー間の国境。ミャンマー入国後に積替えとなる。
適切な制度の施行と道路整備に期待
村上:ASEAN域内の対象生産物は原産地証明を取得することで、AECの関税恩典を享受することができます。GMSエリア内陸路輸送については“船便より早く、航空便より安い”メリットをアピールできればと思っています。そのためにも各国の通関手続きにおいて、煩雑化していることがコストに及ぼす影響を取り除きたく、ASEANシングルウィンドウ(ASW)による統一化を、一刻も早く実現してほしいというのが率直な意見です。
また、輸入数量や金額を制限するクオータ制度(輸入割当制度)なども廃止されることを願っています。
AECで期待されるASEAN域内の制度面といったソフト面の改革に加え、アジア開発銀行(ADB)が推進しているGMSプログラムにより、道路などのインフラ整備といったハード面の開発もさらに推進されることを期待しています。
KCLT 井上亜樹氏
KCLT 若山優太氏
KAT 村上直弘氏
KONOIKE COOL LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.
335/29,MOO9, BangnaTrad19km, BangChalong, Bangplee,
Samutprakarn 10540
02-337-3013
KONOIKE ASIA (THAILAND) CO., LTD.
3656/74-75 Green Tower Building, 22nd Floor , Rama 4 Rd.,
Klongton, Klongtoey, Bangkok 10110
02-367-3671
LOGITEM (THAILAND) CO., LTD.
代表取締役社長 杉山恵一氏
タイ~ラオス~ベトナム通関手続き
タイ、ベトナム、ラオスに続き、2013年にはミャンマーに拠点を構えました。16年中には新たにカンボジア拠点を設ける予定で、同年中にタイおよびCLMV(以下、陸のアセアン)を結ぶ物流網を確立します。
現在、当社で物流輸送量が増加中なのはタイ―ラオス間で、メインの輸送ルートとなっている「第2友好橋」のあるタイ・ムクダハンとラオス・サワンナケートの通関は、月間400件にも上ります。また、サワンナケートには倉庫を建設しており、4月の完成を予定しています。タイを出発したトラックはまずタイ側で輸出手続き、ラオス側で輸入手続きを行います。ラオスから戻ってくる際も同様に輸出、輸入手続きが必要となるため、1台のトラックがタイ―ラオスを往復するとなると、合計4回の通関手続きが必要です。ここでの通関はタイ側、ラオス側とも全て自社で行っており、状況を100%把握することで問題が起きてもすぐに対応できるよう備えています。
輸出入の手続きが1回で可能になる「シングルウィンドウ」が実現すれば、書類作成や手続きの時間的なコストや煩雑さはかなり低減されます。ラオス―ベトナム間ルートでは、9号線上のラオス・デンサワンとベトナム・ラオバオのイミグレーションを通るのですが、ここではシングルウィンドウに近い形での手続きが可能となっています。バンコクからベトナム・ダナンまで走らせている往復貨物定期便において、約2日間の所要日数を維持しており、それぞれの通関で遅延などといったトラブルは発生していません。
ラオスータイ間でのコンテナ積替えの様子
現場で感じる課題は道路状況
トラックの走行ルートは私が実際に道路を走ってみて決める場合が多いのですが、道路状況が良くない場所がまだまだあります。精密機械を輸送することもありますので、多少遠回りになろうとも荷物がダメージを受けないよう、ルート選びは慎重に行っています。
ラオスでは日本の支援による修理も行われていますが、修理は不十分というのが実情です。また、対面1車線の道路が多いことから、事故や故障が発生すると道路はすぐに麻痺してしまいます。特に荷物を積んだトラックは、パンクですらその場で対応することは困難なため、ラオス・サワンセノにトラックのサポートセンターを立ち上げ、電話1本で修理道具を積んだ車両が駆けつける故障車の救援サービスを展開予定です。
タイ―ミャンマー間での陸路輸送は、タイ・メーソートからミャンマー・ミャワディの国境を通ってヤンゴンまでのルートとなります。今までは日替わり片側通行の山岳道路を通らなければなりませんでしたが、昨年、ミャワディ―コーカレイを抜ける山間部で対面通行のバイパスが開通し、リードタイムを大幅に短縮することができました。
AECは自由化に期待
経済レベル、文化、民族が違うアセアンの加盟国がひとつの目標に向かって、一緒に取り組んでいくAECは素晴らしい動きだと思います。AECでは「自由化」の部分に期待しています。陸のアセアンで隣接する5ヵ国でまず、もっと自由にヒト・モノが行き来ができるよう、ワンストップでの通関手続きシステムが早急に導入されることを願っています。
もうひとつ、車両の相互乗り入れに関する部分についても、現在はラオスで登録された車両ならタイ、ベトナムでも走ることができますが、タイの車両はベトナムで走ることはできません。これはタイ―ミャンマー間においても同様です。
これらの課題が解決されれば、陸上輸送はよりもっとスムーズになるのではないでしょうか。
左:ミャワディ―コーカレイ間のバイパス。輸送トラックが多く通っている
右:ミャワディトレードゾーン。輸出検査待ちのトラック
LOGITEM (THAILAND) CO., LTD.
杉山恵一氏
LOGITEM (THAILAND) CO., LTD.
75/22,27, Richmond Tower, 11th Fl., Soi 26, Sukhumvit Road,
Klongton, Klongtoey, Bangkok 10110
TEL:02-260-8293
THAIBIZ編集部
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