産業集積、消費市場としてのタイ+1 CLMVの基礎知識&最新事情

産業集積、消費市場としてのタイ+1 CLMVの基礎知識&最新事情

公開日 2016.04.29

タイを拠点に労働集約型業務を近隣国に移設する“タイ+1”の流れから、陸路で繋がるカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの4ヵ国(CLMV)が持つ、産業集積地、あるいは成長消費市場としてのポテンシャルへの注目度は年々高まっている。
各国の概要、進出法務などの基礎情報と現況について、まとめて紹介。

タイとCLMVとの関係性

〝中進国の罠〞から抜け出し先進国の仲間入りを果たすべく、産業の高度化を図るタイだが、急速な少子高齢化に伴う労働力不足、賃金上昇といった課題は、CLMV諸国との連携なしには解決できないと言われており、GMS(大メコン圏)とも呼ばれるタイ+CLMV諸国が繋がり、全体での発展を遂げていくことが必要不可欠となっている(図表1)。

arayz apr 2016

製造業の中には、製造工程における労働集約型の部分をタイ近隣国に移設することでコストダウンし、最終の組立や検品といった工程はタイに戻して行い出荷するという、タイ+1を実施している企業もすでに多くある。タイ+1は、リスク回避などを目的に拠点を他国に移すチャイナ+1とは異なり、タイに拠点を置きつつ、近隣国にサテライト拠点を設けるといった動きが主流だ。
この動きに伴い、陸路による国際貿易も活発化している。AEC(ASEAN経済共同体)での取り組みにより、関税障壁においてはかなりの部分が撤廃済みだが、通関などといった非関税障壁の部分はまだ課題が多い。この課題が解決されれば、物流網はますますの発展が見込まれる。

GMSを結ぶ3つの経済回廊

ASEANの中でもGMSには〝陸のASEAN〞と呼ばれ、2億3000万人が暮らす巨大マーケットが存在する。順調な経済発展を遂げるGMSは、生産拠点としてだけでなく、現地販売市場としても魅力的であり、この巨大マーケットは経済回廊と呼ばれる主要道路によって結ばれている(図1)。

arayz apr 2016

現在、タイとCLMVを繋いでいる3つの経済回廊│①ベトナム・ダナンからラオスを通り、タイ、ミャンマー・ヤンゴンまでを結ぶ東西経済回廊②中国雲南省からタイまでを結ぶ南北経済回廊③ベトナム・ホーチミンからカンボジア・プノンペン、タイを通る南部経済回廊のすべてでタイを経由する。③の南部経済回廊ではタイのカンチャナブリーから国境を越えて、ミャンマー・ダウェーまでを繋ぐ道路の開発が進められているところだ。ダウェーでは深海港の開発が進められており、道路と港が完成すれば、日本から東南アジア
東側のゲートウェイがあるベトナムから、インドや中東、アフリカ方面へのゲートウェイとなるミャンマーまでが陸路で一直線に結ばれることになる。
経済回廊が通る場所には新たな工業団地や経済特区が次々と開発されており、〝ヒト・モノ・カネ〞が動く大動脈として発展が期待されている。

次ページ:カンボジア編

THAIBIZ編集部

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