カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2017.01.09
今回施行された規則は、工場法の下位規則に当たるタイ工業省令『工業エリアにおける土壌・地下水汚染に関する規則』で、同省工場局(以下、DIW)が主管となる。対象となる業種は、繊維、紙パルプ、化学、塗料、火薬・インク、石油精製、非鉄精錬、照明器具・絶縁材・電池、塗装・メッキ、廃棄物関係3業種の計12で、タイ地場企業、外資企業合わせて約5400社が対象になると言われている。
先進国を目指すタイにとって環境問題は避けては通れない問題であり、環境保全の一環として、既存の土壌36種類、地下水38種類からなる『土壌・地下水環境基準』を前進させ、より厳格化したのが新規則だ。
新規設立企業については、工場操業開始前に初回の土壌・地下水調査を実施、その結果をDIWに提出し確認を得る必要がある。また、操業開始後180日以内に2回目の調査を実施して、調査後120日以内に調査結果を提出しなければならない。
既存企業については猶予期間が設定されているが、省令施行後180日以内(2017年4月末まで)に初回調査を実施のうえ、調査後180日以内にDIWへの調査結果を提出。さらに初回調査の実施後180日以内には2回目調査を実施し、調査結果を提出する義務がある。新規、既存ともに3回目以降は定期的に土壌(3年毎)、地下水(1年毎)の調査を実施し、調査結果を120日以内にDIWへ提出することが求められている。
新規則に対応する最新の分析機
「対象物質は126種類となる予定であり、種類ごとに設定されている基準値を超えた場合には、浄化や拡散防止などの対策が求められることになります。対策を講じない企業には操業停止などの罰則が課される、強制力のある規則です。基準値は周辺国の基準に比べると比較的厳しいですが、日本の規則と同様程度です。
しかし、種類の量が126と、日本の25種類と比べて非常に多く、分析が難しい物質も含まれています。
また、調査は工業省の登録機関で行わなければならないと明記されていますが、2016年12月現在、土壌分析の登録機関というものが存在しておらず、まだ申請方法も公表されていないようです。水質分析に関しては当社も登録機関となっていて、土壌の分析も可能です。ただし、申請方法のほかにも調査方法や対象物質などの細則が公になっておらず、2017年2月以降、徐々に発表されてくるものと思われます。
また、項目にある物質が、元々タイの土壌(自然界)に基準値を超える状態で存在している場合もあります。特に東北部ではフッ素やヒ素といったものが地下水・土壌内に含まれていることがあり、これらについては処理対応の対象外になる可能性もありますが、まだ詳細は公表されていません」。
同社敷地内にある分析ラボ
新規設立企業では、建設前の更地調査の際、工場用地造成時に廃棄物が埋め立てられたことによる汚染が検出される可能性がある。また既存企業では、近隣企業による汚染が検出される可能性も考えられる。
「タイは地下水が北から南東、南西に流れる特性があります。当社では新規則に先駆けて、山や川、池、工場、住宅、農地などの土地周辺にある環境を考慮のうえ、正確・最適な分析業務を実施してきました。対象業種の企業では負担が増えることになりますが、規則で定められた以上、また、環境への意識という面からも遵守のための対策が勧められます」。
※参考:日本貿易振興機構(ジェトロ)ウェブサイト「工場敷地内の土壌・地下水の定期調査を義務化-9月めどに実施細則を発令-」(通商弘報)
GOSHU TECHNOSERVICE CO., LTD.
綿内真吾 DEPUTY DIRECTOR
取材協力:
GOSHU TECHNOSERVICE CO., LTD.
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02-738-9828
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THAIBIZ編集部
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