次の四半世紀はインドネシアに注目、SMBCタイ進出70周年

次の四半世紀はインドネシアに注目、SMBCタイ進出70周年

公開日 2022.11.29

英誌エコノミスト11月19日号の表紙は、インドネシアのジャワ島などで行われる、人形を用いた伝統的な影絵芝居ワヤン・クリで、その人形はなぜかバーベルを挙げている。表紙タイトルは「見過ごしがちなアジアの巨人」だ。そしてLeadersの1本の主見出しは「なぜインドネシアが重要なのか」で、副題は「インドネシアが地図に戻ってきた。次の10年はより重要になるのは間違いない」だ。

同記事はまず、「人々がいつも見過ごしてしまう国では最も重要なインドネシアで今週、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催された。その経済と政治が最後に世界のスポットライトを浴びたのは、アジア通貨危機の中でcrony capitalism(縁故資本主義)が崩壊し、32年間続いたスハルト政権の終焉につながった1990年代の混乱期だ。四半世紀がすぎ、再びインドネシアが重要になった」と話を始める。

そして2億7600万人という世界第4位の人口を抱えるインドネシアは米国と中国間の戦略的競争に巻き込まれているが、グローバリゼーションと西欧の優位性が後退する中で、インドなどと同様に新しい世界秩序を採用しつつあると指摘。その上で、「次の四半世紀に、インドネシアの影響力は劇的に高まる可能性がある」との見通しを示す。その理由についてはまず、ダイナミズムの源泉になっているデジタルサービスや、電気自動車(EV)のバッテリー原料であるニッケルの埋蔵量が世界4位で、EVサプライチェーンでは不可欠の国になるなどの経済的要因を挙げる。

2つ目の理由は、インドネシアが経済改革と民主主義を両立させる方法を見出したことであり、2014年に就任したジョコ大統領による財政支出を厳しく管理しながらのインフラ整備や国営企業改革を挙げ、「腐敗は課題だが、10年前よりも開かれた経済になっている」と評価する。3つ目の理由では地政学を挙げ、その位置、規模、資源は対立する大国の脅威になっていると指摘。ジョコ大統領は「今年、バイデン米大統領、習近平・中国国家主席、プーチン・ロシア大統領の3人ともに会った唯一の人になる可能性がある」と、その外交姿勢に注目する。

そして、インドネシアが今後10年もこの針路を維持した場合には、世界の経済大国の上位10カ国に入るだろうと見通す。一方で、2024年に任期が終了するジョコ大統領の後継が見当たらないことや、長年の保護主義、中国に傾く可能性がある地政学的問題などがリスクだと分析。それでも、「インドとインドネシアがアジアの輝ける星だ。グローバリゼーションが後退する中でも両国とも国内では有権者を満足させ、成長する方法を見出すべきだ」と助言している。


19日付バンコク・ポスト紙(ビジネス3面)によると、農業・食品大手チャロン・ポカパン・フーズ(CPF)は資源の有効活用、廃棄物の削減、排出ガスの低減により2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ達成を目指すとの方針を明らかにした。同社のピーラポン執行副社長は、同社は既に全サプライチェーンを通じたGHG排出削減戦略に着手、スマート調達、スマート生産、スマート消費を開始していると強調。CPFは2030年までに全売上高のうちグリーン製品からの売上高比率を現在の34%から40%拡大することを目指しており、これはGHGを二酸化炭素相当で毎年148万トン削減することにつながるだろうとしている。


三井住友銀行は11月24日、タイ進出70年を記念するレセプションをバンコク市内のホテルで開催した。高島誠頭取は開会あいさつで、「タイは過去70年間素晴らしい成長を遂げ、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で重要なリーダーシップを果たしてきた。この間、SMBCもタイで経験した成功は皆様が差し伸べてくれた暖かい支援と指導がなければ不可能だっただろう」と来場者に感謝の念を伝えた。続いて在タイ日本大使館の大場雄一次席公司が祝辞を述べた後、タイ外相などを歴任したアーサー・サラシン氏(デュシット・インターナショナル会長)が、タイと日本の緊密で深い関係の中でSMBCが成功してきたことを強調した上で乾杯の音頭を取った。三井住友銀行は、前身となる帝国銀行が1952年に邦銀としては初めてバンコク支店を開設した。

TJRI編集部

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