カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2023.01.10
英エコノミスト誌は毎年、年末にクリスマス合併号を組み、Leadersでその年の回顧をするとともに、政治・経済・社会・文化などの広範囲の分野でユニークなスペシャル記事を掲載している。昨年末の合併号(12月24日号)の5本あるLeadersのテーマは、ロシア・ウクライナ戦争、イーロン・マスク氏、米国などの利上げなどだが、気候変動を取り上げた記事もある。タイトルは「なぜ気候変動はbiodiversity(生物多様性)と緊密な関係があるのか」だ。
同記事は、「自然は美しさと驚きにあふれており、人間に不可欠なサービスも提供している。ジャングル、サバンナ、マングローブは伝染病や高潮のバッファーとなり、森林は作物のための灌漑水を河川に供給するとともに、その根は土砂崩れを防いでいる」と話を始める。そして、「世界の生物多様性を守ると何度も約束されるが、何度も破られている。さらなる失望を回避する一つの方法は、生物多様性の保全と二酸化炭素(CO2)排出ネットゼロ目標との緊密なリンクを強調することだ」と提言する。
そして企業幹部はCO2排出への規制強化に直面する中で、CO2排出削減に多くの時間と資金を投入する一方、生物多様性については彼らの権限を超え、あればあったで良い贅沢品としか考えていないと指摘。その上で、こうした姿勢を変える必要があり、「生物多様性の保護は、CO2管理の効果的な方法だ」と主張する。さらに、「クリーンエネルギー源の開発、製造工程の見直し、CO2吸収技術の開発に多額の資金を振り向けている企業や投資会社はエコシステムの保全によるチャンスにより注意を払うべきだ」と訴えている。
昨年12月31日付のバンコク・ポスト紙(2面)は年末の特別記事でバンコク都のチャチャート知事を取り上げている。昨年5月の都知事選での地滑り的勝利により就任した同知事については、このTJRIニュースレターでも9月13日号のFeature記事など何度か取り上げているが、最近はメディアでの露出は少なくなった印象だった。しかし、同記事によると、都民の間でのチャチャート知事の人気は続いており、選挙の勝利で「街中のうわさ」の人物となり、そのたくましい身体もあって「地球上で最強の大臣」と呼ばれているという。
同知事の人気の高さの理由は、洪水対策や汚職に対する厳しい姿勢、そして都民の話をよく聞くことなどだという。同記事によると、タイ国立開発行政大学院(NIDA)が昨年12月4日に発表した世論調査(11月25~30日に1500人を対象に実施)では、同知事に満足しているとの回答は42%、より満足している人も39%に達した。さらに同知事のバンコク都内の緑地を増やす取り組みに対し、より満足している人が39.1%、満足している人も36.4%だったという。
さらにバンコク・ポスト紙の今年1月7日号によると、チャチャート知事がバンコク都庁や関係機関の幹部との政策実行状況の報告会後、就任後8カ月の実績に満足していると語ったという。同知事によると、都内各地区の幹部は、歩道の障害となり、交通渋滞ももたらす屋台の数を規制する対策を指示し、これまでのところ満足する結果が得られているものの、一方で、身体障害者や車いすの人でも通れるように歩道を改良すべきだと述べたという。
日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所が昨年12月14日に発表した2022年のタイ国日本食レストラン調査では、店舗数は5325店舗と前年比約22%増となった。増加数は2007年の調査開始以来最大の955店舗。新型コロナウイルス流行期ですら増加を続け、コロナ収束に向かった2022年は増加に弾みがついた形だ。2021年に初めて減少したバンコク都も再び増加に転じている。筆者もこの統計を2018年からフォローしているが、暗い話ばかりが多い日本にとって、海外での日本食普及は数少ない明るい話題の1つかもしれない。
TJRI編集部
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