カテゴリー: ニュース
公開日 2023.03.14
3月4日付バンコク・ポスト紙(2面)は、「ゴールデン・フェニックス」のブランド名で知られる精米大手バンスー・チアメン・ライスミル(BSCM)の会長インタビューに基づく詳細な企業紹介記事を掲載している。タイはコメの生産・輸出大国でありながら、精米会社などコメ業界の紹介記事は少なく、実態はあまり知られていない印象だ。
同記事もまず、「バンスー・チアメン・ライスミル(という名前)は多くのタイ人にとってもピンとこないだろうが、同社のHong Thong(ゴールデン・フェニックス)という高級米ブランドは長年、よく知られている」と話を始める。同社は、バエリム・サエコー氏が1937年に「チアメン・ライス・パートナーシップ」という社名で創業。当初は国内市場向けのみの精米事業を行っていたという。
そして1995年にゴールデン・フェニックスのブランド名で輸出用の「タイ・ホムマリ(Hom Mali)」米(最高級のジャスミン米)の精米方法を確立したとし、以来、ゴールデン・フェニックスは世界中の消費者から最高級品質のタイ米として認識されるようになったという。その後、現在の社名に変更し、販売会社を設立、食品・飲料事業と事業の多角化も進めている。
BSCMは現在、コメの種子事業から食品事業までコメのバリューチェーンの全主要段階にかかわり、世界20か国以上に年間約10万トンを精米・輸出している。2022年の売上高は前年比25%増の56億バーツで、そのうち55%に相当する31億バーツが輸出、残り45%が国内市場からの売上高だという。同社は今年の売上高について、需要拡大とバーツ安を背景に前年比10%増を見込んでいる。さらに5年以内に売上高80億バーツを目指すとしている。
同社のヴァロップ・マナタンヤ会長は、BSCMにとってもはや売上高だけが目標ではなく、農家の生産コスト削減、所得拡大、タイ・ホムマリ米の品質維持による農家支援に注力していると強調。また、BSCMは精米・輸出業者として、アムナートチャルン県の3000ライ(1ライ=1600平方メートル)の土地で、10年以上種子開発を行っていることを明らかにした。
さらに同社はシーサケット、ウボンラチャタニ両県で直播栽培を開始しており、今年はロイエット県にも拡大する予定だ。ヴァロップ会長は、「種を農地に直接埋め込む直播農法は、伝統的な手でばら撒く播種手法と比べタイの農家の生産コストを大幅に削減できる」と指摘。さらに「生産性を20%向上させる一方、生産コストを20%削減できるよう農家と知識を共有していく」と強調した。同会長によると直播農法は、1ライ当たりの種子使用量を従来の25~30キロから8~10キロに削減できるという。
9日付バンコク・ポスト紙(2面)によると、タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)はパトゥムタニ県にあるイノベーション研究開発(R&D)拠点「タイランド・サイエンスパーク(TSP)」内にバイオ技術の試験工場「バイオテック・バイオプロセシング・ファシリティー(BBF)」を開設した。NSTDAのシューキット長官は8日、「タイは、2022年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の主催国になった時にバイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデルがタイ経済の未来だと宣言した」とした上で、タイの持続可能性に向けたこの主要コンセプトは今や国際社会に広まった」と強調。一方で、「タイは最も生物多様性に恵まれた国の1つだが、悲しいことにその資源を加工してもらうために低価格で海外に輸出せざるを得ない」とし、これらの加工化学品や成分を食品や化粧品などに使うために高価格で海外から輸入しなければならないという現状を問題視し、NSTDAは国内の豊富な資源を産業や公共の利益のためにバイオ技術を使うプロジェクトに活用していくと訴えた。
10日付バンコク・ポスト紙(ビジネス3面)によると、国家エネルギー政策評議会(NEPC)はタイ国内でのクリーンエネルギーの利用を拡大するために、3.66ギガワット(GW)分の再生可能電力プロジェクトで新たな入札を準備していることを明らかにした。入札は暫定的に総選挙後に次期政権が成立した後の5月7日に予定している。エネルギー事業管理委員会(ERC)が年内にも落札企業を発表する見込みで、選ばれた全事業者は2024~2030年の間に操業を開始する。この2回目の入札では、エネルギー貯蔵システム付きの太陽光発電所や、風力発電所、バイオガス発電所、廃棄物発電所が想定されている。エネルギー省のクリット次官によると、1回目の入札では、5.2GW分の入札提示に対し、17GW分の応札があったという。
TJRI編集部
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