カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.11.22
先週は14日から第29回アジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会合、16~19日は東南アジア最大規模の工作機械・金属加工の展示会「メタレックス2022」、さらに日タイ交流がらみのイベントも相次ぎ、特に日タイの経済政策当局者にとっても多忙な1週間だっただろう。
19年ぶりにタイでの開催となったAPECでは17日に閣僚会議、18日に首脳会議が始まり、19日に首脳宣言が採択された。このほかでも、2国間の首脳会談や、APECビジネス諮問委員会(ABAC)によるCEOサミットなどが、バンコク都心のクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)などで繰り広げられた。地元テレビ局も連日報道していたが、その中では最も多くの映像が放送された海外要人は、やはり中国の習近平国家主席だっただろう。空港でのプラユット首相の出迎えから、APEC会場などでの各国首脳との握手や各種会合参加など、常にスポットライトを浴びていた印象だ。
19日に発表された首脳宣言では、大手メディア的にはロシアのウクライナ侵攻についてどのような表現になるかが焦点だったが、「大半の参加国がウクライナでの戦争を強く非難した」とする一方で、「状況について他の見方や異なった評価もあった」とし、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言と同様の両論併記で、首脳宣言の発表にこぎつけた。
個人的に関心があったのは、タイ政府が今年、何度もアピールしてきたバイオ・循環型・グリーン(BCG)経済が首脳宣言の中でどのような形で取り上げられるかだった。結局、全23項目中の4番目の2020年の首脳会議で採択された「プトラジャヤ・ビジョン2040」の遂行を確認する説明の中で、「BCG経済に関するバンコク・ゴール(Bangkok Goal)」を通じて持続可能性をAPEC全体で追及するといった表現で登場。さらに16項で、BCG経済についてもう少し説明した。ただ、これが世界的にメディア等でどこまで取り上げられ、経済用語として普及していくのかは未知数だ。
この他、APEC絡みでは、CEOサミットでのプラユット首相の「タイは近い将来、世界最大の電気自動車(EV)生産ハブの1つになる」との公約や、中国の習主席の「アジア太平洋は誰の裏庭でもなく、ビッグパワーの争いの舞台にしてはならない」との同サミットへのメッセージが印象的だった。また、20日付バンコク・ポスト紙(1面)は、プラユット首相は19日の首脳会議終了後、習主席を首相府に招き、両国間のさまざまな協力関係強化について話し合い、電子商取引、投資、科学技術などに関する多数の合意書に署名したと報じている。
英エコノミスト誌11月12日号はLeadersの1本として、エジプトのシャルムエルシェイクでの国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)絡みで「脱成長の嘘」という興味深い記事を掲載している。副題は「経済成長はもはや温室効果ガスの排出増を伴わない」だ。同記事は、「気候変動には関する良いニュースを見つけるのは難しい」と話を始める。しかし、先進国では過去30年あった経済成長と温室効果ガスの排出増加の連動がなくなりつつあると指摘。そして同誌の調査では、米国など過去10年間で温室効果ガスの排出を減らしながら国内総生産(GDP)を増やしている国が増えつつあるという。
19日付バンコク・ポスト紙(3面)によると、次期総選挙で最大野党のタイ貢献党の首相候補の一人と噂されている、住宅開発大手センシリの社長兼最高経営責任者(CEO)のセーター・タウィーシン氏は、同党に対する忠誠心を確認したという。同氏がもし同党に入党した場合には有権者からの人気が証明されるだろうとのツイッターの投稿に対し、「私はすでにタイ貢献党と共にある」と答えたという。同氏はツイッターで以前、「過去6~8年間、われわれのリーダーはタイがグローバルな舞台で活躍するよう導いてこなかった。次のリーダーは、世界のステージで主張するのに十分に勇敢でなければならないと思う」と発信していたという。
TJRI編集部
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