カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2024.01.29
1月26日付バンコク・ポスト(1面)によると、セター首相は25日、訪タイしたドイツのシュタインマイヤー大統領との会談後の記者会見で、ドイツはタイの電気自動車(EV)市場への投資を約束しており、タイは東南アジア地域のEVハブになれるとの認識を示した。セター首相によると、タイとドイツの友好関係は162年続いているが、独大統領の訪タイは22年ぶり。ドイツは、欧州連合(EU)加盟国の中では、タイにとって最大の貿易相手国で、東南アジア諸国連合(ASEAN)にとっては第3位の貿易相手国という。
セター首相によると、独政府はタイが2040年までに再生可能エネルギーによる発電量を50%増やすとの目標を支援するとともに、タイが東南アジアにおけるEV生産ハブになるためのタイのEV産業への投資を拡大する用意があるとの方針を明らかにした。さらに、タイのPM2.5対策や温室効果ガス削減の取り組みの一環として持続可能な農業を支援すると表明した。
タイは現在、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を来年、締結するための取り組みを加速している。セター首相はまた、今回シュタインマイヤー大統領に同行した独民間産業界の代表らに対し、サーキュラー(循環)経済促進や、投資家向けのビジネス環境の改善、人材育成、そして、総額1兆バーツの予算規模の「ランドブリッジ」計画に関するタイ政府の政策を説明。一方、独民間産業界は。タイでの万博開催、プラスチック廃棄物からのペレット製造やリサイクルに関心を示したという。
23日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、中国自動車大手の長安汽車(重慶市)は、今年のタイでの電気自動車(EV)の販売目標を2万台とする野心的な目標を掲げており、タイをEV輸出基地にするとの方針を表明した。長安汽車のタイ販売会社、長安オートセールス(タイランド)のShen Xinghua会長は、タイ政府は2030年までにゼロエミッション車の生産台数を全体の30%にまで引き上げる目標(30@30)を掲げているが、この目標は3年早い2027年までに達成されるだろうとの見方を示した。長安汽車は最近、タイ市場でEVの販売を始めたが、消費者に歓迎されているとし、今年は少なくとも2万台に達するだろうと予想している。同社は昨年11月8日にラヨン工場の着工式を行っており、年内に同工場で生産したEVの販売を開始する計画という。また、同社は先ごろ、タイ政府によるEV生産・利用促進制度の第2弾「EV3.5」に参加するため財務省間接税局と覚書を締結している。
25日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイ財務省財政政策局(FPO)のポーンチャイ局長は2023年の国内総生産(GDP)伸び率を1.8%と、昨年10月の予想、2.7%から大幅に下方修正したと発表した。輸出の減少と、自動車生産、電子部門などの落ち込みにより工業生産指数(MPI)が前年同期比4.7%低下するなど製造業の低迷が響いたという。
一方、国際通貨基金(IMF)は22日に発表したタイ審査報告で、タイの2023年の実質GDP伸び率は2.5%になる一方、2024年の伸び率を4.4%とする予測を明らかにした。2023年の経済成長率は、サービス分野の輸出加速と民間消費に支えられたとした。2024年については、政府の財政刺激策によって民間消費が押し上げられ、一時的に成長が加速するとの見通しを示した。
英エコノミスト誌1月20日号はアジア面で、カンボジア現代史に関する新たな調査報告を取り上げている。タイトルは「カンボジアでの虐殺は今なお国民を傷つけている」で、副題は「新調査はクメール・ルージュの恐ろしい遺産を際立たせている」だ。同記事は1月7日の「虐殺に対する勝利」記念日にカンボジアの首都プノンペンに集まった約2万人の国民に対し、同国指導者らは、「過去を忘れないが、未来を見よう」というメッセージを送ったと話を始める。
その上で、ジュネーヴ国際・開発高等研究所のRahul Mehrotra氏が虐殺の長期的影響を試算する調査で、クメール・ルージュによる残虐行為から40年が経過し、最も破壊された地域の一般家庭や村落が現在もカンボジアの最貧困層になっていることが分かったという。この虐殺ではより高等な教育を受けた市民ほど最も犠牲になったことが知られているが、何十年か経過した後、大量虐殺地域への近さを基準に虐殺により中程度の被害を受けた市民は、被害を受けなかった場合に比べ、教育を受けた期間が1.8年短く、職業では工場勤務やオフィス勤務より農業に従事する傾向が高かったという。
TJRI編集部
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