カテゴリー: ニュース
公開日 2024.03.19
英エコノミスト誌グループのイベント会社Economist Impactは3月11~13日、バンコク市内のホテル(11日はオンライン開催)で、気候変動への対応策などを世界各国の専門家が討議する「第3回年次サステナビリティー・ウィーク・アジア」と題するシンポジウムを開催した。オフライン初日の12日には、タイのパーンプリー副首相兼外相による開会あいさつ、主催者とマレーシアの国営石油会社ペトロナスのサステナビリティー担当幹部の対談などの後、「Achieving net zero: matching ambition with action」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。参加したのは米IBMと米ボーイングのアジア太平洋地区幹部のほか、サイアム・セメント・グループ(SCG)のタマサック社長、タイ日産自動車の關口勲社長など。
日産の關口社長は電気自動車(EV)シフト、カーボンニュートラルの取り組み、エネルギー問題、バッテリーのリサイクル問題などへの現状認識を披露。EVについては、「香港は当局の強力な支援から既にEVシェアは70%を超え、シンガポールも20%に達している」とする一方、タイのEVシェアは2021年には1%未満だったが、ここ数年で14~15%に達したと説明。その背景には「タイ政府が2030年までにEVシェアを30%に高めるという明確なビジョンを持ち、「OEMメーカーに財務面でのインセンティブ提供している」ためであり、輸入関税がゼロの中国から多くのブランドが進出、ガソリン車との競合が可能になっていると報告した。
そして日産自動車はEVの生産・販売により、「過去20年間で二酸化炭素(CO2)を40%削減」しており、今後も、バッテリーEV(BEV)と「e-POWER」の2つの電動パワートレインにフォーカスしていくと強調。一方で、EVの販売にはインセンティブなどの政策、インフラ整備が必要であり、そして電力供給が重要だと指摘。さらに、CO2削減、サステナビリティ―の実現には、自動車部品会社から、自動車や部品を運ぶ輸送船まで全サプライヤーの連携が必要であり、また日産としてバッテリーのリサイクル、再利用、再生産を含め自動車が廃棄されるまでのライフサイクルの管理、エコシステム構築に取り組んでいると訴えた。
タイ・ヤマハ・モーターは3月12日、設立60周年記念事業として、タイの政府機関、民間企業と連携してタイ工業規格(TIS)に適合した子供用のヘルメットを開発、提供する「ヤマハ小型ヘルメットプロジェクト」を開始すると発表した。ヤマハはプレスリリースで、タイでは子供や若者、女性のバイク乗車の安全性の製造基準を満たすヘルメットが依然なく、事故による負傷を減らせていないと指摘。このためTISで承認されたヘルメットを開発するため、タイのヘルメット製造大手S.Y.K Autopart Import-Export Companyと提携することにしたという。そして、設立60周年を記念するバイクの特別モデル「YAMAHA FINO FINAL EDITION」999台製造し、その利益を活用してTISに適合した小型ヘルメット1万2000個を製造する計画で、これらをヤマハディーラーや政府機関を通じて配布することに協力してほしいと訴えた。
3月14日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)は、訪日タイ人の日本でのビザ機関を超過した不法滞在者が急増する中で、旅行会社は日本政府から付与された15日間というビザなし滞在の特権が撤廃されるとの旅行者の懸念を鎮めようとしていると伝えた。タイ人の日本での超過滞在者数が2021年の8688人、2022年の9549人から2023年には1万1472人まで増える中でタイ政府の領事担当当局は昨年12月にこの問題への対策を打ち出した。しかし複数のニュース報道によると、この問題が改善されなかった場合、2025年のビザなし訪問制度の更新に影響を与えかねないとして、日本政府はタイ政府に対して緊急に対処するよう求めたという。
タイ旅行代理店協会(TTAA)のチョテチュン副会長は、15日間というタイ人の日本のビザ有効期間を過ぎた不法滞在者数は、2023年のタイからの海外旅行者数の99万5500人と比較すれば少なく、さらに訪日旅行者数の2%未満に過ぎないと指摘。また、日本の不法労働者問題は円安もあって韓国ほど深刻ではないと指摘。最近の労働者は給与を円からバーツに変えた場合、依然より収入が減っていることに加え、日本企業はタイ人よりスキルを持っている他の東南アジアの労働者を合法的に採用できるため、日本企業からの不法労働者への需要は大幅に減っているとの認識を示した。
TJRI編集部
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