タクシン元首相の講演が波紋、3Dプリンター新興がタイ登場

タクシン元首相の講演が波紋、3Dプリンター新興がタイ登場

公開日 2024.08.26

タクシン元首相は8月22日、タイメディア「ネーショングループ」が主催した「Vision for Thailand」と題するイベントで、昨年8月に海外逃亡生活からの帰国後初めて講演し、タイ経済の再生に向けて、家計債務の削減など14項目の政策提言を披露した。23日付のネーション(オンライン)など地元メディアが報じた。同イベントにはタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループのタニン会長や電力会社ガルフ・エナジー・デベロップメントのサラット最高経営責任者(CEO)なども参加した。

同氏は講演で、「タイ経済をこれ以上、悪化させることはできない。早期に引き上げる必要がある」とした上で、「タイは現在、債務の罠に陥っているが、公的債務問題は国内総生産(GDP)を引き上げることで解決可能だ。一方、家計債務はその90%以上が住宅ローンと自動車ローンに伴うもので、金融機関との話し合いで対処できる。私が首相だった時には、政府による購買と債務の管理の可能性について協議するためにタイ銀行協会を招いた。企業債務を削減する方法と同様に一般家庭の債務を管理し、削減することは可能だ」と強調した。

14項目の提言では、家計と企業債務の再編策をタイ銀行協会と話し合うことが最優先だとしたほか、タイ中央銀行の独立性を守りながら政府の経済、財政政策と協調させることや、データセンターの誘致、電力コストの引き下げにつながるグリーンエネルギーの促進、電気自動車(EV)製造と通信衛星打ち上げハブ化などで中国の技術支援を求めること、さらに研究開発(R&D)の強化による農業改革などを挙げた。

24日付バンコク・ポスト(1面)によると、ペートンタン首相は、父親であるタクシン元首相による22日の講演を受けて、経済再生に向けた政策提案が新政権の政策を代表しているのかとの質問に対し、「タクシン氏は政府の政策を表明したものではない。自分のビジョンを披露したものにすぎない」と述べ、政府の政策とは関係ないとの認識を示した。さらに、タクシン氏がペートンタン氏と新政権を統轄しようとしているのではとの批判に対しては、「彼は支配しようとはしていない。私は私自身で考える」と訴えた。また、「タイ経済には景気刺激策が必要であり、経済問題に関するタクシン氏の経験はタイにとって役立つ」とした上で、タイ貢献党の主要公約であるデジタル通貨配布政策については実行するが、最初は国が発行する福祉カードを通じて、低所得者層に対して給付されるだろうとの意向を明らかにした。


3Dプリンターのスタートアップ企業、ExtraBold(エクストラボールド)は8月21日からサイアム高島屋で始まった(9月2日まで開催)次世代家具のポップ・アップイベント「GREEN CREATIVE™ INNOVATIONS」で、大型3Dプリンターのデモンストレーションを行っている。同イベントは、「最新のテクノロジーとデザインを組み合わせて、サステナブルな社会を実現する」こと目的に、使用済みの畳や廃棄原料を生分解性プラスチックと混ぜ合わせて家具を制作する「TATAMI ReFAB PROJECT」による多数の家具などの作品を展示・販売している。作品は、HONOKA.Labがデザインし、エクストラボールドの最新3Dプリンターで制作された。

3Dプリンターを披露するエクストラボールドの原雄司CEO
3Dプリンターを披露するエクストラボールドの原雄司CEO

21日に行われたオープニングイベントでは、サイアム高島屋の奥森淳誌社長が挨拶で「サイアム高島屋は2018年の開業以来、日本の伝統と革新にあふれた商品や活動をタイのお客様に知ってもらうよう取り組んできたが、本日紹介するプロジェクトはその集大成だ」と強調。また来賓あいさつした在タイ日本大使館の沼尻祐未一等書記官は、エクストラボールドについて、「日本が得意とするモノづくりのあり方を大きく変える素晴らしい取り組みだ」とした上で、このように先進的でエコフレンドリーな取り組みが日本とタイの間で行われることは両国の友好関係をさらに強化すると訴えた。

そして、エクストラボールドの原雄司CEOは、同社のキャッチフレーズである「グリーンクリエーティブ」について、クリエーティブを活用して環境課題を解決していくものだと説明。3Dプリンターはこれからのものづくりに欠かせないものであり、「グリーンクリエーティブを実現するための手段として開発して推進してきた」とした上で、われわれの3Dプリンターは、さまざまな廃棄物や食物残渣を材料として価値の高いものに作り変えるツールだと強調した。また、この日デモを行った3Dプリンターは昨年11月にタイで製造されたと紹介した。

THAIBIZ編集部

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