「トランプ新政権によるタイ、ASEANへの影響は 」「タイの若者に人気の就職先5年連続Google」

「トランプ新政権によるタイ、ASEANへの影響は 」「タイの若者に人気の就職先5年連続Google」

公開日 2025.01.29

1月20日(現地時間)、ドナルド・トランプ氏が2期目となる米大統領に就任した。1月23日付バンコク・ポストによると、同氏は「アメリカファースト」を掲げ、輸入関税を引き上げ、国内の製造業と農業を守っていくと訴えた。

政策では貿易の格差を正し、国内の労働者と産業に公平な環境づくりを実現、企業が国内に生産拠点を移すことで経済を刺激する。同時に国内雇用を増やし、自動車産業などの主要産業における外国輸入への依存を減らしていく方針だ。

これらの政策によるタイへの影響について、タイ財務省財政政策局(FPO)のポーンチャイ局長は、良い点と悪い点があると見立てる。

まず悪い影響を受けるのが、コンピューター、機器・部品、電子機器などの分野だ。米国が中国製品に対して関税を引き上げた場合、中国はタイを含むアジア市場に商品を輸出する可能性が高まり、その結果、タイ製品の輸出需要が低下する。特に自動車、化学、建設資材、繊維などの分野は激しい競争に直面するだろうと話す。

一方、半導体、鉄鋼、アルミニウム、ゴム製品、農産物などの分野は、関税により中国製品の輸出が減退すること、世界的サプライチェーンが現在移行期にあることを踏まえ、タイ製品が米国への輸出シェアを拡大するチャンスになると予測する。

なお、観光業では、タイを訪れる観光客の大半は中国、日本、ヨーロッパからであり、米国からの観光客は観光客全体のわずか2.9%であるため、トランプ政策による影響は比較的少ないだろうとする一方で、米国経済の回復により、より多くの米国人観光客がタイを訪れるようになる可能性もあると前向きな展望を述べた。


1月21日付のロイター通信は、トランプ新大統領が近くカナダとメキシコに25%の関税を課す可能性を示唆し、バイデン前政権の電気自動車(EV)に関する大統領令を撤廃したことで、同日、日本の自動車メーカーと韓国の電池メーカーの株価が下落したと伝えた。米国の強靭な外交姿勢がアジアの製造業者に大きな脅威になり、輸出に依存しているアジア主要国にとって、トランプ新政権の動きは今後の経済成長の大きな懸念材料になるだろうとの見解を示した。

日本の企業を見ると、ホンダの株価は0.3%、マツダは2.0%下落して取引を終えた。ホンダはメキシコで生産した車両の80%を米国市場に輸出しており、マツダは2024年にメキシコ・グアナファト工場で生産した約20万9,000台のうち60%を米国へ輸出している。日産の株価は一時下落したものの、最終的に1.2%上昇。日産もメキシコに2つの工場を持ち、年間約30万台を米国へ輸出しているが、同国向けにセントラ、ヴァーサ、キックスといった多様な車種を生産している。

メキシコで生産を行っている韓国の大手、現代自動車と傘下の起亜自動車も、それぞれ0.96%と小幅下落。また、同国電池メーカーのLGエナジーソリューションとSKイノベーションもそれぞれ4.3%、3.7%と下落した。これらの電池メーカーは、米国の大手自動車メーカー向けにバッテリーを供給している。

一方、韓国の造船会社の株価は、トランプ大統領のガスと石油の増産計画が輸送船需要に拍車をかけるとの期待から、現代尾浦造船が9.7%、現代重工業は6%と上昇した。以前トランプ大統領は、米国の造船業界は韓国の支援を必要としているとも発言していた。


1月24日、タイの企業ブランディングのコンサルタント会社ワークベンチャー(WorkVenture)が発表した「2025年の企業ブランドランキングトップ50社」の結果によると、新世代に最も人気の高い就職先は5年連続でグーグル・タイランドだった。

調査は2024年10月〜12月、バンコク首都圏に住む学士号以上の22〜35歳の男女1万2,559人を対象に実施。7年目を迎える同ランキングは、タイの若者がどの企業でキャリアをスタートさせたいと考えているかがわかるとされている。

2位にはサイアム・セメント・グループ(SCG)、3位には国営タイ石油会社(PTT)と、昨年同様タイの大手企業がランクイン。4位以下は、④トヨタ自動車、⑤ショッピー、⑥バンチャク、⑦LINE、⑧BJC Big C、⑨SCBX、⑩タイ・ビバレッジ。さらに11位〜20位は以下の通り。⑪カシコン銀行、⑫アゴダ、⑬ネットフリックス、⑭KHOTKOOL、⑮ラインマン・ウォンナイ、⑯ユニリーバ、⑰アドバンスト・インフォ・サービス(AIS)、⑱米メタ、⑲ミトポン、⑳サンシリの順。2022年の3位以来のトップ5入りに返り咲いたショッピーはシンガポールに拠点を置く越境プラットフォームで、SNSで積極的なプロモーションを行う。
 

「2025年の企業ブランドランキングトップ50社」
「2025年の企業ブランドランキングトップ50社」出所:WorkVenture

今回ランクインした企業の特徴のひとつとして、SNSやオンラインコンテンツを活用し、若者との繋がりを築いていることが挙げられる。これらの企業は、オンラインのプラットフォームやコンテンツを通じて、職場の雰囲気や企業文化、働き方を伝えているという。また、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に取り入れる企業、社会貢献活動に取り組んでいる企業も若者から多く選ばれている。

日系企業では、トヨタ自動車が4位(2024年は7位)、サントリー・ペプシコが36位(2024年は40位)、三菱UFJファイナンシャル・グループ(MUFG)傘下のアユタヤ銀行(Krungsri)が38位(2024年は32位)、ユニ・チャームが48位(2024年は49位)がランクインした。

THAIBIZ編集部

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