「タイ+1」 ミャンマー人材の特徴と採用のメリット

「タイ+1」 ミャンマー人材の特徴と採用のメリット

公開日 2015.08.21

GMS(大メコン経済圏)全体で労働賃金が上昇を続けている。
2015年のAEC発足に向けた人材開発という視点から、HUMAN ASIA RECRUITMENTの糸永里美氏がタイにおけるミャンマー、カンボジア、ラオス人材の実情を伝える労働人事コラム。

現在、タイには非合法も合わせると約300万人のミャンマー人移民・越境労働者がいると言われています。この数字は、同様に国境を面する隣国であるラオス、カンボジアに比べても圧倒的に多く、ミャンマーからタイへの出稼ぎの歴史の長さが伺えます。
本コラムの第5回でも、国境に近い北部ターク、チェンマイや南部スラタニー、ラノーンのほか、エビの養殖など水産業の盛んなサムットサコーンなどにミャンマー人街があることについてお話しましたが、バンコク内でも身近なところでは、プラカノンに小さなミャンマー人コミュニティがあります。
こういったコミュニティに行けば、住居などタイでの生活周りの面倒を見る世話役のようなミャンマー人がいるだけでなく、ミャンマー食料品店や仕送りのための送金業者もおり、在タイミャンマー人労働者が安心・安定して暮らせる
環境ができ上がっています。

気質だけでなく、基礎教育の面でも安定

human asia

仕送りといえば、弊社でご紹介するミャンマー人未熟練労働者は20〜30代の若者が多いですが、給料の半分ほどを故郷の家族へ送金している人材が多いようです(この流れを読んでか、カシコン銀行は2012年にタイからミャンマーへの送金システムを作っています)。
ミャンマー人の真面目な気質は、日本人と相性が良いと言われています。ミャンマー現地へ行くと分かりやすいですが、タイを含む東南アジアでよく見られる、昼間からお茶を飲んで怠けている男性の姿はあまり見られず、事実、勤務態度に関するクレームは多くありません。
ミャンマーは2000年から始まった義務教育制度(小学校)や農村部では寺子屋の制度が整っていることもあり、カンボジア、ラオスに比べて若者の識字率が高く(個人差はあります)、真面目な勤務態度に加え、技能習得能力も高い人材が多いと言えます(左記グラフ参照)。
6月末、ミャンマー政府は同国の法定最低賃金を日給3600チャット(約390円)に定めることを発表しました。
これでもASEAN域内においては最低水準の額ですが、早速、現地に製造拠点を持つ中国や韓国企業らからは「高すぎる」との意見が出ているようです。このことから見ても、ミャンマー人がタイへ出稼ぎに来るメリットはまだまだ大きく、自国で働くよりも多く稼ぎ、家族へ送金できるだけでなく、インフラが整い、娯楽、モノが揃うタイでの暮らしは、彼らにとって決して悪いものではないようです。

 

糸永里美 Satomi Itonaga
HUMAN ASIA RECRUITMENT CO., LTD. マネージャー
マレーシアに本社を置く同社タイ法人で、外国人ワーカー派遣・人材紹介を専門に担当。
タイ在住13年。日々、タイ国内の企業や工場を数多く訪問している。

HUMAN ASIA RECRUITMENT

THAIBIZ編集部

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