【連載】カシコン銀行経済レポート 2018年2月号

ArayZ No.75 2018年3月発行

ArayZ No.75 2018年3月発行何が変わった?新関税法

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【連載】カシコン銀行経済レポート 2018年2月号

公開日 2018.03.22

タイ経済・月間レポート(2018年2月号)

12月もタイ景気は引き続き拡大基調

2017年12月のタイ経済は引き続き拡大基調になりました。その主な牽引役は輸出と観光の外需でした。外需の拡大は製造業の生産増をもたらし、民間消費も拡大基調が続いています。一方で、民間投資は前月から横ばいでした。
2018年1月の消費者物価の上昇率は、前年同月比0.68%上昇しました。原油価格が上昇したものの、生鮮食品価格が下落傾向で、前月から伸びが減速しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.58%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。
カシコンリサーチセンターは2018年のタイ国内自動車の売上が前年比約3%増加し、90万台にのぼると見込みます。農産物価格の低下や家計債務残高の重石からマイナス影響はまだ残りますが2018年自動車国内販売にプラス影響を与える要因は多数存在します。特にタイ経済の拡大基調の継続、一台目の自動車購入支援策で購入された自動車の買い換え需要、電気自動車やモデルチェンジ・新型車などの発売による需要などがあります。
電気自動車販売に関して、カシコンリサーチセンターは2018年のタイ国内電気自動車の売上が2017年の1.1万台から1.7倍に激増し、3万台以上となると見込みます。中でもハイブリッド車の販売台数は電気自動車販売台数全体の3分の2になると予想します。次いで、プラグイン・ハイブリッド車、完全な電気自動車の順です。

2017年12月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2017年12月の重要な経済指標によると、タイ経済は引き続き拡大しています。その主な牽引役は輸出と観光の外需でした。外需の拡大は製造業の生産増をもたらし、民間消費も拡大基調が続いています。一方で、民間投資は前月から横ばいでした。

12月の民間消費は前年同月比1・0%上昇し、前月の同1・9%増を下回りました。耐久財は2桁成長を記録しましたが、非耐久財と半耐久財が落ち込みました。
一方で、民間投資は前年同月比0・5%上昇し、6ヵ月連続でプラス成長となりました。事業者の商用車購入が力強く伸び、機械も上向きましたが、建設、建材、資本財はマイナス成長となりました。

12月の輸出は、前年同月比9・3%上昇しました。全ての主要市場向けとほぼ全ての商品分野で増え続けています。コメやゴム、通信機器、電子部品、自動車部品の需要拡大や、原油高による石油化学品の出荷価格の上昇、ハードディスクドライブ(HDD)生産の拡大などが寄与しました。

工業生産に関しては、前年同月比2・3%増となり、2ヵ月連続でプラス成長となりました。自動車、ゴム製品などの生産が拡大しました。しかしながら、鉄鋼、食品・飲料などは比較ベースとなる前年12月の数値が高いハイベース効果のため減少しました。
観光業では、外国人観光客数が前年同月比15・5%増の350万人となり、前月の同23・2%増から伸びが減速しました。ロシア経済の回復で同国からの観光客が増えているほか、中国人も増えました。

“外国人観光客数が
前年同月比15.5%増の
350万人となった”

2018年1月のタイのインフレ率

商務省が発表した2018年1月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比0・68%上昇し、7ヵ月連続で上昇しました。原油価格が上昇したものの、生鮮食品価格が下落傾向で、前月から伸びが減速しました。

品目別にみると、非食品部門が前年同月比1・04%上昇しました。原油価格の上昇に伴い、運輸・通信のうち燃料石油が同2・2%上昇しました。それに加え、9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が同5・9%上昇しました。一方で、食品・飲料部門は同0・09%上昇しました。生鮮野菜が同7・8%上昇したほか、構成割合が大きい総菜類、外食が上昇しました。

一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・58%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

出所:タイ国中央銀行、タイ国工業省、タイ国観光・スポーツ省

2018年2月の外為相場

2月16日に円相場が急伸し、約1年3ヵ月ぶりに1ドル105円台を付けました。日米の経済状況の格差からは円を買う材料は乏しいですが、欧州中央銀行(ECB)の緩和縮小観測などを根拠にユーロ買い・ドル売りを膨らませる過程で対円でもドル売りを増す傾向となっています。

2018年のタイ国内自動車販売台数は90万台にのぼる見通し

2017年のタイ国内自動車市場は5年ぶりに拡大し始めました。カシコンリサーチセンターは2018年のタイ国内自動車の売上が前年比約3%増加し、90万台にのぼると見込みます。農産物価格低下や家計債務残高の重石からのマイナス影響は残りますが、2018年自動車国内販売にプラス影響を与える要因は多数存在します。主に次の通りです。

公共インフラ投資拡大、民間投資の改善、輸出の拡大傾向継続などにより、タイ経済が引き続き拡大基調にある見込みで、自動車の国内需要を押し上げる見通しです。

訪タイ外国人観光客数もタイ人観光客数も増加する見込みで、旅客輸送の需要が増大すると予想します。

一台目の自動車購入支援策で購入された自動車の買い換え需要。

電気自動車や、モデルチェンジ・新型車などの発売による需要。

電子商取引ビジネスの急成長により、輸送サービスの需要が増加傾向にあります。

タイ中央銀行は政策金利を1・5%に維持する見込みで、タイ国内金融機関は以前ほど厳格な自動車ローンの審査を行う必要には迫られないと予想します。

以上の状況の中、2018年の国内自動車市場は、商用車販売よりも乗用車販売の方が増加する見込みです。カシコンリサーチセンターは、乗用車の販売台数が前年比5%増の42万台に達すると予測します。特に小型乗用車とミニバンは好評を得ることが見込まれます。一方で、商用車の販売台数は同2%増の48万台になる見通しです。4ドア・ピックアップは前年と同じく、商用車の中で最も明るい販売傾向にあると予想します。

電気自動車販売に関して、カシコンリサーチセンターは2018年のタイ国内電気自動車の売上が2017年の1・1万台から1・7倍に激増し、3万台以上になると見込みます。中でもハイブリッド車の販売台数は電気自動車販売台数全体の3分の2を占めると予想します。次いでプラグイン・ハイブリッド車、完全な電気自動車の順です。カシコンリサーチセンターは、今後、電気自動車市場の方向性を決める重要な要素は販売価格だと考えています。

タイの直接投資動向・ハイライト

2017年に投資奨励を取得したプロジェクトの合計投資額は197億7600万ドルでした。そのうち56%がタイ国内の投資家、残り44%は外国人投資家による投資でした。投資セクターとしては大部分が自動車産業への投資でした。

株式会社TCスバル(タイ)は自動車製造業における投資奨励を取得しました。総投資額は1億5400万ドルです。同社はタイでスバル自動車の最高の安全性能とユニークな技術を利用した多目的乗用車製造工場を建設する計画があります。同社は、エアバックやドアグラス、カーシートなどタイで製造されるパーツについては国内製造品を利用する予定です。タイ政府の主要投資奨励事業の一つである自動車やオートパーツ産業分野において投資奨励を取得します。

中国のガラス繊維製造大手の一つである株式会社Sichuan Weibo New Material Group が所有する株式会社 Asia Composite Material(タイ)はガラス繊維製造業を拡大する投資奨励の認可を得ました。総投資金額は8470万ドルです。タイの成長産業である建設産業、造船産業、自動車やオートパーツ産業、エレクトロニクスや電気通信産業、航空産業等の発展にともないガラス繊維の需要増加が見込まれるため、タイ投資委員会の投資奨励を取得し、インフラおよび公共事業が整備された環境で事業拡大を目指します。特にタイの安定的な電気供給システムが同社の製造力を強化することが期待されます。

本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。

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THAIBIZ編集部

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