カテゴリー: ニュース
公開日 2024.09.02
8月31日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)は中国の上海汽車集団とタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)の合弁の自動車生産会社SAICモーターCP傘下で、タイで「MG」ブランドの自動車を販売するMGセールス(タイランド)の企業紹介記事を掲載している。MGセールスのポンサック副社長はインタビューで内燃機関車(ICE)の販売から撤退しないことを決断したと表明、この戦略が競合が激しくなっているタイ市場での生き残りに役立つとの認識を示した。
同記事によると、MGは英国オックスフォードで、Morris Garagesという名称で創業した後、中国の国営企業である上海汽車に買収され、さらにタイでCPグループとの合弁で自動車生産・販売に乗り出した。合弁事業では上海汽車が部品の国際調達、サプライチェーンマネジメント、品質管理でMGを支援し、自動車のデザイン、新技術の開発などは英バーミンガムのエンジニア、デザイナーチームが担当しているという。
ポンサック氏はタイ政府による電気自動車(EV)生産・購入奨励策にかかわらず、「われわれの工場はICEの生産を継続する」と明言。さらに、タイ工業省が先ごろ表明したICEメーカーの支援を継続するとの政府方針に同意するとした上で、「タイの自動車産業は、生産施設や市場は主にICE利用者向けになっており、バッテリーEV(BEV)向けの産業に移行していない」と説明した。また、特にタイの人気車種であるピックアップトラックの購入者はICEを好んでいるとし、「タイ経済を見た場合、農業は不可欠であり、農業部門のドライバーはICE車を利用している」と強調した。
さらに、タイ政府が環境に優しい自動車の利用を促進する中で、ハイブリッド車(HEV)が人気となっているため、チョンブリ工場でHEV生産に投資する計画だと表明。ICEとバッテリーの両方を搭載するHEVではドライバーはEVチャージャーを見つける心配をしないで済み、またタイ投資委員会(BOI)がHEV生産に投資恩典を導入したこともHEV人気につながっているとの認識を示した。
MGセールスは8月20日、バンコク都心のサイアム・スクエア・ワンで、新型ハイブリッド車「MG3ハイブリッド+」の販売開始イベントを開催した。
英エコノミスト誌8月24日号はビジネス面で、「米アップルは自動車を作れなかったが、中国のハイテク大手は作れた」というタイトルの記事で、中国のハイテク大手がEV市場に参入できた背景を探っている。同記事は、インターネット検索大手の百度(バイドゥ)、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、スマートフォン・家電大手の小米科技(シャオミ)という中国のハイテク大手3社が相次いでEV市場に参入したことを紹介。一方、「西側ハイテク企業にとって自動車は失望をもたらした」とし、アマゾンが投資した米新興EVメーカー、リビアン・オートモーティブの株価暴落、米グーグルの親会社アルファベット傘下のウェイモが開発する自動運転車が安全問題で当局の調査対象となったこと、アップルのEV参入断念、そして英ダイソンのEV開発失敗などを列挙した。中国がEV参入に成功した理由として、中国の自動車購入層が欧米と比べ大幅に若く、自動車購入判断では搭載されたソフトウエアや娯楽システムを重視、「中国製EVが四輪上のスマホ」と表現されていることを改めて指摘。さらにEV参入に成功した中国メーカーの創業者がインターネットやソフトウエア関連の専門家だったこともあるとの見方を示した。
8月31日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイの大手バムルンラード・インターナショナル病院(BH)のニパット共同最高経営責任者(CEO)は、タイ証券取引所(SET)主催のイベントで講演し、世界的な医療ツーリズム産業の成長の恩恵を受けて、東南アジアの医療ツーリズム市場の規模は2030年までに現在から43%増の160億ドルまで拡大するとの見通しを明らかにした。世界の医療ツーリズム市場の規模は現在の1030億ドルから毎年20%成長し、2030年までに2840億ドルまで拡大すると予測されている。
同氏は「新型コロナウイルス流行後、他の東南アジア諸国や中東からの患者数は増加した」と述べた上で、タイの医療ツーリズムの優位性は世界レベルの安全基準と医療ノウハウにあり、国際的な医療施設評価認証機関であるJCI認定病院数は62もあると強調。さらに、タイは観光資源の豊富さ、サービスコストの割安さ、先端医療技術、国際水準の患者ケアシステム、タイ人のホスピタリティーも強みだと訴えた。また同氏は、人工知能(AI)技術が医師の診断を支援し、治療の正確性に貢献しており、タイ政府から民間病院、大学などのパートナー間の連携による、デジタル医療ネットワークも寄与するだろうアピールした。
THAIBIZ編集部
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