

カテゴリー: 特集, スタートアップ, 食品・小売・サービス
公開日 2024.11.11
革新的なサービスやテクノロジーはいつも、瞬く間に人々の生活を大きく変える。そして、新しいスタンダードとなってその国に根付いていく。これは、タイでも例外ではない。今回は、デジタルテクノロジーによりタイの人々の利便性向上に大きく寄与し、一気にユニコーン企業へと登り詰めたLINE MAN Wongnaiの成長軌跡を徹底取材。続いて、今まさにタイの明日を変えつつある日系スタートアップ2社の活動を通じ、変革のポイントを探った。


アプリを使って注文した料理が、速やかに手元に届く。タクシーやバイクタクシーを迅速に手配でき、お手頃価格で移動ができる。デジタル決済で、現金を持たずに買い物できる。タイに住む人々にとって今や「当たり前の光景」かもしれないが、どれも数年前は実現できなかったことだ。
これらの変革をリードした企業の一つが、LINE MAN Wongnaiである。同社は、共同創設者/現CEOのヨード・シンスパックン氏によって設立された「Wongnai」と、LINEタイランドが立ち上げたフードデリバリー・メッセンジャーサービスプラットフォームアプリケーション「LINE MAN」が合併して誕生したユニコーン企業だ(図表1)。


ヨード氏によればWongnai創業のきっかけは、同氏が米国留学時に利用していた「yelp.com」だった。yelp.comは、レストラン、バー、サロン、その他のサービスについて、ユーザーによる信頼できるフィードバックを書き込める、ローカルビジネスレビューサイトだった。タイには同様のプラットフォームがないことを認識したヨード氏は、このモデルからインスピレーションを受け、レストラン情報とユーザーによるレビューの収集に注力したプラットフォーム「wongnai.com」を2010年に開発した。
2016年にLINEタイランドが、タイのレストラン情報を大量に保有していたWongnaiと提携し、「LINE MAN」を立ち上げた。転機が訪れたのは、その4年後の2020年だ。市場競争の激化に対応するため、LINE MANとWongnaiが合併して「LINE MAN Wongnai」を結成。同時に、BRV Capital Managementから1億1,000万米ドルの投資を受けた。
ヨード氏はその後の経緯について、「合併前は、バンコク首都圏やチョンブリーなどの主要県のみで運営していたが、2020年から2021年にかけて、コロナウイルス感染症の蔓延によりフードデリバリー市場が急激に拡大したことで、LINE MAN Wongnaiのフードデリバリー事業は15倍に拡大した。現在ではタイ全土の77県、約330郡をカバーしている」と説明した。


同社は2022年、主要投資元のGIC(シンガポール政府投資公社)とLINE Corporationから再び2億6,500万米ドルの資金調達に成功。これにより、同社の企業価値は10億ドルを超え、正式にユニコーンスタートアップとなった。さらに2023年には、タブレット端末を活用したレストラン管理システムを提供する「FoodStory」およびデジタル決裁アプリケーション「Rabbit LINE Pay」の、計2件のM&Aを完了した。
Rabbit LINE Payは現在、「LINE Pay」に名称を変えて同社の主力事業の一つとなっている。ヨード氏は現在のミッションについて、「『タイのデジタル化』だ。あらゆる分野でアナログからデジタルへの移行を図り、効率を高めることを目指している」と力強く明言するとともに、「今後1年以内のIPOを計画している」と積極的な姿勢を見せた。


THAIBIZ編集部
白井恵里子





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