カテゴリー: ニュース
公開日 2025.02.04
「ディープシークとは何か?」1月29日付のロイター通信は、そんなタイトルで中国のスタートアップ企業ディープシークが先日、最新のAIモデルを発表したニュースを伝えている。米国の最先端モデルと同等またはそれ以上の性能を持ちながら、同社のAIモデル「V3」のトレーニングのコンピューティングパワー費用は600万ドル(約9億円)未満だったと論文で明かし、そのコスト効率の良さが世界のAI業界から注目を集めている。
同社のAIアシスタントは最新モデル「V3」を搭載し、アップル社の米国のアプリストアでは、チャットGPTを上回り無料アプリのトップに躍り出た。このニュースにより、一部の米国企業のAIへの数十億の巨額投資が本当に必要だったのか疑問の声が上がっており、エヌビディアをはじめとする大手テック企業の株価に影響を与えている。
中国では、2022年末にオープンAIがチャットGPTを発表したことを受け、各テック企業が急いでAIを搭載した独自のチャットボット開発に着手。検索エンジン大手である百度(バイドゥ)が初のAIチャットボットをリリースしたが、その性能は米国企業には到底及ばなかった。そんな中、状況を一変させたのがディープシークの新モデル「V3」と「R1」である。特にコスト面において、「R1」は、オープンAIの「o1」モデルと比べて20〜50分の1のコストで利用できると発表された。
一方で、ディープシークの成功について懐疑的な声も上がっている。スケールAIのアレキサンダー・ワン最高経営責任者(CEO)は、ディープシークがエヌビディアのH100チップを5万枚保有しており、これは米国の輸出規制に違反する可能性があると指摘。また、米国の市場調査会社バーンスタインのアナリストは、「V3」のトレーニング費用について、発表された558万ドル(約8億7,000万円)よりも実際は高額であると主張している。
ディープシークは2023年に設立された中国・杭州を拠点とする企業で、筆頭株主はヘッジファンド「ハイフライヤー」の共同創業者でもある梁文鋒(リャン・ウェンフォン)氏。「R1」が一般公開された1月20日、梁氏は中国の李強首相主催の実業家や専門家を対象とした非公開のシンポジウムに出席しており、国家戦略との関連も示唆されている。
1月29日付バンコク・ポストによると、TikTokの親会社であるバイトダンスが1,270億バーツ(約38億ドル、約5,800億円)を投資し、タイにデータセンターを設立すると発表した。 この投資は、バイトダンスのシンガポール拠点を通じて行われ、関連企業の活動を支援することを目的としており、運用開始は2026年を予定しているという。
タイ投資委員会(BOI)のナリット長官は、「TikTokの計画は、タイのデジタルおよびAIインフラ整備の強化において重要な一歩であり、地域のハブとなるという国の目標に近づくものだ」と話す。政府は、タイを東南アジアの技術ハブとして位置づける取り組みを推進しており、近年は世界の大手テック企業のデータセンター設立が相次いでいる。2024年には、米半導体大手のエヌビディアのタイのクラウドパートナーである、サイアムAIの32億5,000万バーツ(約150億円)をかけたAIプロジェクトも承認されている。
1月29日、タイのピチャイ商務相と、日本貿易振興機構(ジェトロ)の黒田淳一郎バンコク事務所長、バンコク日本人商工会議所(JCC)の藤浩蔵会頭が会談し、日本企業の投資促進について話し合った。1月30日付のクルンテープ・トゥラキットが伝えた。
ピチャイ商務相は、「タイ政府が、日本企業が進出しやすい環境を整え、タイを東南アジアの投資拠点として発展させる」方針を表明した。また、2024年の輸出が前年比5.4%増、12月単月では8.7%増加とタイ経済がペートンタン首相の指揮の下、順調に成長していることを強調し、投資促進申請額は過去最高の1兆1,300億バーツに達したことも報告した。
タイは欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定(FTA)を終結しており、欧州連合(EU)とのFTAの年内締結を目指している。今後はイスラエル、韓国などともFTAを結び貿易競争力を高めていくと見られている。日本企業に対しては、半導体やデータセンター、AI分野への投資を強化するよう呼びかけている。
ジェトロとJCCはタイ政府に対し、外国企業の事業運営の利便性向上や投資に関する規制緩和、ビジネス環境の改善を提案。特に、外国人事業法の規制見直し、サイバーセキュリティ、農業生産性向上のための最新技術の活用などだ。商務省はこれらの提案を経済政策に適用し、関連機関と連携して戦略的パートナーシップを強化していく方針だという。
日本は中国、米国に次いでタイの第3位の貿易相手国であり、2024年の日タイ間の貿易総額は520億2,040万ドル(約1兆7,600億バーツ、約8兆1,000億円)、うち日本への輸出額は232億8,580万ドル、日本からの輸入額は287億3,470万ドルだった。今回の会談で日タイの経済協力がさらに進むことが期待される。
THAIBIZ編集部
「世界を揺さぶる、中国発の生成AIディープシーク」「TikTokの親会社がタイにデータセンター設立」
ニュース ー 2025.02.04
「タイ人は主体性が無い」は本当か?
組織・人事 ー 2025.02.03
「トランプ新政権によるタイ、ASEANへの影響は 」「タイの若者に人気の就職先5年連続Google」
ニュース ー 2025.01.29
EV産業に参入する飲料大手SAPPEがパートナー募集 〜日本市場向け飲料開発、EV部品供給、工場向け自社製品の販売など
自動車・製造業 ー 2025.01.28
「2024年BOI投資申請額が過去10年最高額」「タイ下院、酒類製造自由化法案を可決」
ニュース ー 2025.01.21
「EA74億バーツ増資」「古着販売ラグタグがタイ初出店」
ニュース ー 2025.01.14
SHARE