THAIBIZ No.158 2025年2月発行日タイビジネス70年の軌跡と未来への挑戦
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2025.02.10
2024年を振り返ると、弊所ベトナム事務所において日系企業のベトナム進出の検討やベトナムでの新規取引のご相談が前年以上に増加しました。ある不動産仲介業者からも、2023年に比べて2024年は海外から現地アパートメントへの入居者が多くなったと聞いています。
そうした中、近年ベトナムのアパートメントにおけるAirbnbなどの民泊利用が問題視されています。観光需要の高まりに伴い、個人や法人が所有する不動産を民泊として運営するケースが増加していますが、現地の法規制を十分に理解しないまま運営することにはリスクが伴います。
ベトナムにおける民泊規制の根拠とされているのは、2024年8月1日から施行された住宅法(27/2023/QH15)の3条7項、3条8項c)で、「住居を居住目的以外に使用する行為」が禁じられています。
民泊、つまり自身が所有しているアパートメントの1室を、短期滞在者・旅行者に対して賃貸する行為が、「住居を居住目的以外に使用する行為」に該当するかどうかについて、住宅法は明示しておらず、他の法律、政令、通達等においても明示されていません。
そのため、自身が所有しているアパートメントの1室を短期滞在者・旅行者に対して賃貸する行為が「住居を居住目的以外に使用する行為」に該当するという見解と、該当しないという見解があり、いずれの見解が正しいのかは明らかではありません。
この点、住居の所有者が住居を賃貸することを禁止する旨の文言は住宅法を含め法律、政令、通達等にはありません。
この現状に対して、特に高級アパートメントでは、管理組合やデベロッパーが契約上、Airbnbなどの短期賃貸の禁止や、禁止を伝える掲示板を掲示している場合があります。この場合、民泊としてアパートメントを賃貸することは、管理組合等との間で契約違反となる可能性があります。
民泊としてアパートメントを賃貸しているコンドミニアムにおいては、短期滞在者・旅行者が1ヶ月間あたり1,000人以上宿泊をしているところもあり、共有設備の破壊、騒音トラブル、管理規則違反となる施設利用、火災、薬物・犯罪利用のおそれなどが問題になっています。
そのため、民泊の契約を締結した短期滞在者・旅行者が当該アパートメントに宿泊しようとした際に同管理組合の人らに追い出されて宿泊できなくなるというケースも一部で報道されています。
今後、政府が短期賃貸に対する規制を強化する可能性もあるため、アパートメントの所有者で民泊運営を行う方々は、常に民泊に関する当局による最新の規制を確認し、アパートメントの管理組合等と不要なトラブルにならないように注意する必要があります。なお、住宅法160条ないし163条において、賃貸の場合の契約書に記載すべき契約条件等が明示されているため、併せて注意が必要です。
民泊運営を検討する際は、専門家のアドバイスを受けながら適法に運営することを推奨します。
THAIBIZ No.158 2025年2月発行日タイビジネス70年の軌跡と未来への挑戦
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One Asia Lawyers
山本 大輔
企業法務の法律事務所で約9年間訴訟、労働法、コーポレート、M&A 等を担当し、2024年弁護士法人One Asiaに入所、ホーチミンオフィス勤務。現地子会社管理、M&A、紛争・交渉、契約交渉、進出の案件を数多く経験し、特に紛争対応に知見を持つ。
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