HR・ウェルビーイングで組織の競争力を強化 〜タイ人事管理協会がセミナーを開催〜

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HR・ウェルビーイングで組織の競争力を強化 〜タイ人事管理協会がセミナーを開催〜

公開日 2025.03.17

タイ人事管理協会(PMAT)は、チュラーロンコーン大学医学部、タイ上場企業協会(TLCA)と共催で、2月24日にバンコクにて「タイ・ピープルマネジメント&ウェルビーイング・フォーラム:授賞式とベストプラクティスの共有」を開催した。

同フォーラムでは、人材管理の優れた組織や従業員のウェルビーイングを重視する組織を表彰した他、有識者や受賞企業からの人材育成と組織内のウェルビーイング推進におけるベストプラクティスの共有セミナーも行われた。

人材管理・育成に優れた組織を表彰する「タイランド・ピープル・マネジメント・アワード2024」を受賞した組織は、タイオイルやクルンタイ銀行、バンプーなどの7組織で、従業員の生活の質やウェルビーイングを重視する組織を表彰する「ウェルビーイング・オーガナイゼーション・アワード2024」を受賞したのは、バンチャックやインドラマ・ベンチャーズ、ベタグロなどの7組織だった。

フォーラムの様子(筆者撮影)

今後組織の中核は「人+技術+ウェルビーイング」

まず、PMATのスットカヌン・カムパラット会長が来賓挨拶に立ち、「HRの役割は 『サポート役』から、戦略を推進し競争優位を築く『ビジネス・イネーブラー』へと変化している。組織は、現代ビジネスのニーズに応えるため、「流動的」「データ主導」「戦略的」な新しい人事管理システムを設計しなければならない」と強調した。

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PMATのスットカヌン会長(写真提供:PMAT)

また、同会長は「今後、『人+技術+ウェルビーイング』が組織の中核になる。HRは、新たなスキルの開発(アップスキリングとリスキリング)、AIとピープルアナリティクスの活用、そしてウェルビーイングを重視した福利厚生の設計を支援する必要がある」とした上で、「人、技術、生活の質のバランスをとれる組織は、将来に対応できる組織となる」と締めくくった。

人への投資は未来への投資

次に、チュラーロンコーン大学のウィラート・プーリワット学長が特別講演を行った。同学長は「仕事と生活を切り離すワーク・ライフ・バランスは、従業員のウェルビーイングを促進する職場環境づくりに取って代わられるようになっている。成功する組織は、職場(Workplace)を『生活の場(Life Place)』に転換できる組織だ」との見解を示した。

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チュラーロンコーン大学のウィラート学長(写真提供:PMAT)

さらに、将来の働き方への移行には、AIと人間の知能のバランスが必要で、技術は仕事の効率を上げることはできるが、人間の共感性や創造性、適応性に取って代わることはできないと指摘した。また、「従業員エンゲージメントを顧客エンゲージメントと同じくらい重視する組織は、長期的に強くなる。最終的には、『人への投資は未来への投資 』だからだ」と訴えた。

パーパスは組織を導く羅針盤

チュラーロンコーン大学医学部長のチャンチャーイ・シティパン准教授は職場におけるウェルビーイングについて講演。「ストレスと燃え尽き症候群(バーンアウト)は、組織が身体的・精神的な健康をカバーするウェルビーイング経営を通じて解決しなければならない大きな課題となっている。HR担当者は、経営幹部と全従業員の協力とともに、推進する重要な役割を担っている」と強調した。

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チュラーロンコーン大学医学部のチャンチャーイ学部長(写真提供:PMAT)

さらに、「組織は新技術に適応し、変化を受け入れる文化を創造することも必要だ。また、共感力のあるリーダーは、働きやすい環境を整え、従業員のモチベーションを高め、優秀な人材を組織に定着させることにつながる」と締めくくった。

続いて、デュシタニ・グループの取締役兼最高経営責任者(CEO)のスパジー・スタンパン氏が「パーパス(目的)を持ったリーダーシップ」と題した講演を行った。同CEOは「パーパスは組織を導く羅針盤のようなものだ」と例え、「従業員が同じ方向に進むように、リーダーはパーパスを説明して伝えることが必要だ」と指摘した。

パーパスを促進し、組織にインパクトを与えるには「リーダーは組織の文化を発信し、前進させることができる『チャンピオン(ロールモデル)』となる人を見つけることが求められる」と訴えた。

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デュシタニ・グループのスパジーCEO(写真提供:PMAT)

タイ企業が事例を共有

第二部のパネルディスカッションでは、ウェルビーイングと成長を促進する実践について、表彰された組織が事例を共有した。バンコク・グラス社のChief People Officer(CPO)は組織内における従業員の健康管理について紹介した。同CPOは従業員の健康データを活用して、栄養や運動、メンタルケアなどのプログラムを作成しているという。

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パネルディスカッションの様子(写真提供:PMAT)

また、Big CのChief of Staffはワークフォース・プランニング(要員計画)とデジタル技術を活用し、各店舗の生産性を分析し、人員配置を管理していると説明した。また、良い職場環境を作り、従業員が組織の魅力を外部に伝えることで、エンプロイヤー・ブランディングにも寄与しているとアピールした。

THAIBIZ編集部

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