「タイ経営者7割、政権不安が経営に悪影響」「NETA生産未達でEV補助金制度の見直し検討」

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    「タイ経営者7割、政権不安が経営に悪影響」「NETA生産未達でEV補助金制度の見直し検討」

    公開日 2025.07.04

    タイの経済界で政権不安への懸念が高まっている。6月20日付タイ紙クルンテープ・トゥラキットによると、同紙は主要企業の経営者100人に調査を実施。42.6%が「首相辞任」、27.7%が「議会解散」、26.7%が「内閣改造」を有効な対応策として挙げ、政権内の対立や不安定な政策運営がタイ経済の成長を減速させているとの見方が強まっている。

    また、70%以上の経営者が「政権の不安定さが政策実行を妨げている」と回答。過半数が「自社の経営戦略にも政治リスクを織り込む必要がある」としており、企業活動に与える影響が深刻化している。投資環境にも不安が広がっており、56.4%が「政治の混乱が民間投資マインドに大きな悪影響を与えている」と指摘。また、50%以上が「内閣改造は外国人投資家の信頼において、中程度の悪影響がある」と答えた。

    一方、政府に対しては「家計債務問題の早期対応」「観光・サービス業の支援」「長期経済政策の明確化と継続性」などを求める声が多い。輸出減速や国内消費の低迷が続く中、政治の安定なくして持続的な経済回復は難しいとの認識が広がっている。

    今後の内閣改造や政局の行方によっては、在タイ企業も経営戦略の見直しを迫られる可能性があり、引き続き状況を注視する必要がある。


    タイ政府は電気自動車(EV)市場の拡大を目指し、タイ投資委員会(BOI)を通じた税優遇の拡充を進めている。現地生産設備や部品サプライヤーへの支援を強化し、EV拠点のASEAN域内誘致を後押しする方針だ。

    しかし一方で、補助金制度の厳格化も同時に進められている。6月17日付のバンコク・ポストによると、「EV3.0」政策でEV補助金は最大15万バーツが支給されるが、輸入台数の1.5倍をタイ国内で生産する義務がある。しかし、中国メーカーのNETA(哪吒)が今年1万9,000台の生産目標に対し、実績は約4,000台にとどまっており、政府は追加の4億バーツ(約17億円)の補助金支給を停止。財務省は今後、2ヶ月ごとに補填生産計画の提出を義務付けるなど制度見直しを提案しており、生産未達の企業には補助金停止などの措置を検討している。

    パオプーム財務副大臣は「今後、同様の状況に対応するため、補助金制度を明確化する必要がある」と述べている。


    大手商社、阪和興業は7月2日、同社のタイ現地法人阪和タイランドが、廃タイヤの回収・タイヤチップ製造を手がける地場企業プラランエナジーおよびR&T(2018)との間で、タイヤチップの供給に関する基本合意書を締結したと発表した。

    世界的に規格外品や使用済みタイヤが大量に発生する中、適正な処理がなされず不法投棄や埋め立てによる環境負荷が問題視されている。こうした中、廃タイヤを破砕して製造されるタイヤチップは、石炭に比べカロリー当たりのCO2排出量を約50%に抑えられ、日本の地球温暖化対策推進法では、エネルギー用途で使用した場合カーボンニュートラルと見なされるため、石炭代替燃料として注目を集めている。

    今回の基本合意により、阪和タイランドはプラランエナジーおよびR&T(2018)が製造するタイヤチップを、タイ国内外の製紙、化学、セメント、鉄鋼業界などの石炭需要家に向けて販売し、将来的には日本や東南アジアなどグローバル市場への展開も視野に入れているという。

    阪和興業グループは、廃タイヤの回収から処理、再資源化までのサプライチェーンの構築を進めており、カーボンニュートラル社会の実現を目指すとしている。

    左から3人目がプラランエナジー代表、4人目がR&T(2018)代表、5人目が阪和タイランド上野社長

    ASEANを代表する製造業総合展示会「Manufacturing EXPO 2025」が、6月18日から21日までバンコク国際展示場「BITEC」で開催された。自動車部品、プラスチック、金型、産業オートメーション、表面処理の5分野に特化し、30ヵ国・2,000以上のブランドが出展。タイをはじめとするASEANでの販路拡大に向けて各ブランドが最新の製造機械とソリューションを披露したほか、産業動向や新しい技術などに関する100以上のカンファレンスも行われた。

    ジェトロ・バンコク事務所は「ジェトロ・パビリオン」を設置し、「製造業DX」をテーマに日系企業8社が出展。ロボティクス、IoTソリューションなどのスマートファクトリー関連の製品・技術を紹介した。なかでも、YN2-TECH社のブースでは旭光電機の「WattXplorer」(消費電力・CO2排出量の可視化)とトーマステック社のエネルギー監視システム「PEGASUS」の展示が行われており、トーマステック社の大澤氏は「WattXplorerとPEGASUSを組み合わせて活用することで、効率的に省エネやCO2排出量削減に取り組むことが可能だ」と説明した。

    同展示会の公式発表によると、4日間の来場者数は8万8,445人で、次回は2026年6月17日〜20日に開催予定だという。

    JETROパビリオンブース
    ジェトロ・パビリオンブース

    THAIBIZ編集部

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