SCGインターナショナルコーポレーションを視察 ~3Dプリンティングなど次世代建設技術を推進~

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SCGインターナショナルコーポレーションを視察 ~3Dプリンティングなど次世代建設技術を推進~

公開日 2025.09.30

タイビズは8月21日、日タイ企業間の協業・新規事業の機会を探る「THAIBIZオンサイトビジット」を開催。サイアム・セメント・グループ(SCG)が手がける建築・住宅ソリューション展示センター「SCGホームエクスペリエンス」を訪問した。

建材や装飾材などを世界50カ国以上に輸出 

まず、SCGインターナショナルコーポレーションのセメント・建設部門マネジャーであるスパキット・ワナブーン氏が登壇。「SCGはタイで最も歴史のある企業の一つだ。当社はセメント事業から始まり、現在では化学事業と包装事業も運営している」と事業全体について紹介した。

SCGインターナショナルコーポレーションのスパキット氏

続いて、同社について「セメントや建材、石炭の代替燃料など幅広い製品・原材料を供給し、45年以上にわたりSCGの国際事業において重要な役割を果たしてきた」とし、世界50ヵ国以上にネットワークを展開しており、日本にもホワイトセメントや鉱物、吸音材、衛生陶器、石炭の代替燃料などを輸出していると説明した。

新たな建設資材と「3Dプリンティング」

SCGでは、新たな建設資材の開発を進めている。例えばファイバーセメントボードで、①SCGスマートボード:強度・耐水性・耐シロアリ性に優れ、折り曲げ可能。屋内・屋外の天井や床、壁に対応、②SCGスマートウッド:木材の代替。床や壁、外装装飾に対応、の2種類がある。

次に、自由な曲面形状のユニークなデザインが求められる建築物に適した「3Dプリンティング」技術が紹介された。自動化を活用することで建設期間を従来より50%以上短縮できるため、日本などの賃金が高く人手不足の国で時間とコストの節約を実現。建設廃棄物を削減し、環境に優しい低炭素材料も使用しているという。

10年以上の研究を重ね開発したという3Dプリンティング技術は現在、自社製造のセメントにより家具から2階建てまで建設可能だ。なお、大型建築物に対応する「オンサイト建設方式(現場でプリンターを設置し直接印刷)」か、工場で印刷した部品を現場で組み立てる「オフサイト建設方式」が選択できる。

具体的な事例としては、PTTオイル・アンド・リテール(PTTOR)との共同プロジェクトである「カフェ・アマゾン」の店舗や、海洋・沿岸資源局(DMCR)とチュラーロンコーン大学との共同プロジェクトである人工魚礁などがある。

セメント技術革新「ファブリックコンクリート」

もう一つ、SCGが開発した新たなセメント技術が「ファブリックコンクリート」だ。セメント技術と繊維技術を組み合わせたもので、布のような外観を持ち、水に触れると硬化する特徴がある。これにより施工時間が削減され、持ち運びも容易になるという。主な用途は、①土壌侵食の防止、②排水路の崩壊防止、③仮設歩道の設置、④内装や家具の製作、の4つ。

説明会の後、参加者は多様な用途に応える竹製の床材や屋根用太陽光発電パネル、高齢者向けに特別設計されたソリューションなどを見学。同センターに設置された、3Dプリンティングで印刷されたコーヒーショップのカウンターと2階建ての建造物を体験した。最後には、参加者同士の名刺交換や交流会が行われた。

屋根用太陽光発電パネル(左)、3Dプリンティング技術で建てられた2階建ての建造物(右)

THAIBIZ編集部

THAIBIZ編集部
タニダ・アリーガンラート

THAIBIZ編集部
和島美緒

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