日本で圧倒的シェアを誇る食品機械メーカー 〜海外展開の壁は「日系チーム」で乗り越える

THAIBIZ No.173 2026年5月発行

THAIBIZ No.173 2026年5月発行いま、日本のスタートアップがタイに向かう理由

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日本で圧倒的シェアを誇る食品機械メーカー 〜海外展開の壁は「日系チーム」で乗り越える

公開日 2026.05.11 Sponsored

農業・食品大国であるタイでは今、環境対応と競争力強化を両立させる「グリーントランスフォーメーション(GX)」が新たな潮流となっている。この分野において、日本の中小製造業が持つ技術が活躍する余地は大きい。一方で、GXは技術単体では成立せず、一社単独での挑戦には限界があるのも現実だ。

こうした課題意識のもと、在タイ日系製造業の中小企業が集結し、タイの食品製造業におけるGX実装に挑むプロジェクト「RaiWay(ライウェイ)」が始動した。本連載では、RaiWayに参画する各社の技術や参画メリットを紹介しながら、「チームで挑むGX」の可能性と、その行方を追っていく。

初回は、大型搾油機およびマルチ食品加工機において日本国内で圧倒的なシェアを誇る株式会社スエヒロEPMの佐久間寿仁社長、ならびにバンコク駐在員事務所の後藤昭博氏に話を聞いた。

日本トップシェアの機械メーカー、タイでは「認知度」に課題

スエヒロEPMの沿革と主力製品について教えてください

佐久間社長:当社は1953年、三重県四日市市で設立した機械メーカーです。当時、日本で使用されていたスクリュープレス搾油機は外国製のみで、不具合が生じた際の修理や部品交換がスムーズに行えないという課題がありました。

そこで、お客様の声に応える形で当社が開発したのが、初の国産大型搾油機(オイルエキスペラー)です。菜種、コーンジャーム、ひまわり、胡麻などの植物から一日あたり最大500トンの搾油が可能な、当社独自の国産技術です。

発売以来、高い耐久性や優れた搾油効率を評価いただいており、現在は44都道府県に顧客網があります。「日本の全国民が一度は口にしたことのある食品の製造に、当社の搾油機が使われている」と自負しています。

タイ進出のきっかけは

佐久間社長:当社のもう一つの主力製品に、1975年に開発したマルチ食品加工機「2軸エクストルーダー」があります。原料を素早く混錬・混合し、加熱・加圧、押出・成形を一台で連続処理する装置です。膨化品や代替肉、ペットフードの製造だけでなく、高温・高圧処理での新商品開発に役立つこの機械が、タイ進出の足掛かりとなりました。

2018年、三重県とタイ政府との間で進められたフードイノベーション強化を目的とした産業連携に携わったことが契機となり、タイ国家食品研究所(NFI)に実験機を納入。隔月のペースで研究員向けのトレーニングや、タイ企業向け技術セミナーも実施し、タイとの関係が徐々に深まっていきました。

こうして2023年にタイに駐在員事務所を設立。現在は展示会を活用したPRやネットワーク構築、市場調査などを進めています。ただ、日本ではトップシェアを誇る一方で、タイでは企業名や機械の認知度がまだ低いことが課題となっています。

RaiWayの活用でタイでの事業を加速させる

RaiWay参画の経緯について教えてください

後藤氏:タイでのネットワーク構築を進める中で、YN2-Tech(Thailand)Co., Ltd.(以下、YN2-Tech)の中村亮太社長に出会い、同社が率いる日系企業同士によるGX連携の枠組み「RaiWay」の構想を伺いました。タイにおいて当社の機械が果たしうる役割を、より広く知ってもらう機会になると感じ、参画を決めました。

RaiWayには当社以外にも、果物や野菜などから発生する農業残さの削減や有効活用を実現するための、さまざまな装置やシステムを持つ企業が参画しています。特定の企業を囲い込む枠組みではなく、搾油、搾汁、濃縮、乾燥、造形など、多様な独自技術を持つ企業が集い、化学反応を起こす「サロン」のような場だと感じています(図表1)。

出所:RaiWay提供資料に基づきTHAIBIZ編集部が作成

RaiWayに期待する参画メリットは

後藤氏:まず挙げられるのが、ビジネス拡大やサプライチェーン構築の可能性です。YN2-Techが持つ販売網や、現地での部品調達、設置工事、メンテナンスといったサプライチェーンを活用することで、単独では構築が難しかった商流を確立できると考えています。

タイの大学や官公庁などに機械を納入しようとすると、日系中小企業単独では入札資格の面で参入が難しいケースもあります。その点、タイ企業であるYN2-Techのバックアップがあれば、ビジネスを前に進められるメリットは大きいです。

次に、他の参画企業との共創です。脱水・搾汁技術を持つ川口精機をはじめ、各社が強みを補完し合うことで、新たな価値を生み出せると期待しています。顧客が一つのテスト工場で数種類の機械を試せるワンストップの環境を整えることで、ビジネスチャンスも広がると考えています。

当社はこれまで日本国内では、いわば独立独歩で事業を進めてきたため、他社の機械デザインや取扱説明書、作り込みの考え方に触れる機会は多くありませんでした。RaiWayを通じて他社の取り組みを知る「学びの場」としても、大いに活用しています。

最後に、他社との交流で得た気づきや改善点を日本の本社に持ち帰り、製品や組織の磨き込みにつなげていくこと、さらには将来的なタイでの事業展開の基盤づくりなど、組織全体の底上げと前進に向けてもRaiWayを有効に活用していきたいと考えています。

70年間の経験と実績を糧に、タイのGXに貢献していく

タイのGX市場に感じる可能性は

佐久間社長:当初から「GX」という言葉を意識していたわけではなく、タイ進出のきっかけも、あくまで「フードイノベーションの強化」という使命感からでした。しかし事業を進める中で、当社が70年にわたり取り組んできたことそのものが、まさにタイ市場で求められているGXであると気づかされました。

タイは農産物が豊富で、外食文化も盛んな国です。フードロス対策や、特に未利用・非食用の固い植物種子を原料とするバイオディーゼル分野において、当社の機械は大きく貢献できると考えています。さらにRaiWayを通じてさまざまな企業と連携することで、対応できる領域が広がり、GXへの貢献度も一層高まると見込んでいます。

今後の展望について教えてください

後藤氏:RaiWayが将来的に「産業機器のオールスター」のような存在になれば面白いと考えています。ブランド価値が高まれば問い合わせも増え、ビジネスの裾野も広がる。RaiWayでの連携はタイ国内にとどまらず、長期的にはタイをハブとして周辺国へと波及していく可能性も秘めていると思います。そうした動きを支える形で当社も貢献し、搾油機や2軸エクストルーダーをタイ、そして周辺国へと広げていくことを目指しています。

佐久間社長:将来的には現地法人を立ち上げ、日本から機械を輸出するだけでなく、タイ現地で日本と同水準の機械を製造し、メンテナンスまで完結できる体制の構築を目指しています。また、タイへの機械寄贈から始まったご縁を大切にしながら、自社の技術を通じてタイのフードイノベーションやGXを支え、継続的に貢献していきたいと考えています。


株式会社スエヒロEPM

1953年、三重県四日市市に設立。国内初の植物油脂用大型搾油機、国内初の2軸エクストルーダーを開発・製造。44都道府県に顧客網を持つ。2023年、バンコク駐在員事務所を開設。
Website:www.suehiroepm.co.jp
E-mail:sepmt_1@suehiroepm.co.jp

THAIBIZ編集部
白井恵里子

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