ArayZ No.81 2018年9月発行変化を遂げるASEAN~優位性と課題を探る
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.09.25
金城 弘二郎 きんじょう こうじろう
「なんくるないさ」――沖縄県の方言で、タイの「マイペンライ(気にしない)」とほぼ同義に使用される。「自然体で楽しく仕事することを心がけている」と語るのは同県那覇市出身の金城氏。2011年に、デジタルマーケティングやインターネットメディアなどの事業を展開するクリスク社(東京都品川区)に入社後、2013年にタイ支社、クリスク・タイランドに赴任し、2 年後に社長に就任した。 海外に長期滞在するのは、ワーキングホリデイで過ごしたカナダ以来。英語を学びたくて日本を飛び出し、「ドイツ人、トルコ人らと同居したが、彼らの政治・経済・社会問題に対する高い意識に驚いた。視野が広がる貴重な体験だった」と当時を振り返る。
同社はタイを始めとしたASEANエリアでSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)を軸としたマーケティング施策の企画・広告運用などを手掛ける。業績は、現地企業のソーシャルメディア活用の必然性とタイを含めた訪日ASEANの観光客を呼び込みたい企業によるプロモーション・キャンペーン増の追い風を受け、順調に伸びており、まだまだ伸びしろがありそうだ。タイを中心にベトナムとマレーシアでも事業を展開しており、日系の鉄道会社(インフルエンサーマーケティング)、美容メーカー(SNS活用のプロモーション)、出版社(漫画コンテンツの現地化)などとの事業で実績を挙げている。
タイと沖縄の共通点は音の柔らかい言葉だけではない。「女性がより活躍している点で、弊社も同じ」と従業員のほとんどが優秀な女性で占められている。個々の自主性を尊重する職場環境の下で、気負わず働いてもらい、クライアントと商品・サービスの利用者の3者が共に、利益・喜び・満足感を得られる”Win-Win-Win”な関係を構築する企業を目指す。
タイと沖縄の距離は直行便の就航で近づいたが、日本人が喜ぶ観光地やモノと、タイ人が関心を示す対象に隔たりがある。沖縄といえば、美しい海と沖縄料理、県花のデイゴだが、金城氏は、「(垣根の)屋敷がこいに興味を示すタイ人が多い。タイを始めASEANの人々を誘致したければ、現地人に聞くこと」を学んだ。
仕事以外の時間は、家族と過ごすほか、ソフトボールなどのスポーツで汗を流す。バドミントンでは「どうしても勝てない女性がいる」と、ここでも女性の強さを認識する。また最近、 “人間観察”が新たな趣味として加わった。
金城氏は、「時間が空いたときは、市内を走るバスに飛び乗り、活気のある停留所で下車し、市民の生活や受け入れらている”事・物”などを観察する。そこで新たな発見があったり、アイデアが湧いてくることがある」と日常生活での何気ない気づきを大切にする。
前述の「なんくるないさ」だが、元は「まくとぅそーけーなんくるないさ(正しいことをしていれば、なんとかなるさ)」という定型句を構成する言葉(琉球新報)で、単に楽観的な見通しを意味するものではないそうだ。言い換えれば、海外進出という難題に立ち向かい、正しい道を歩んできた金城氏の努力が報われ始めたのかもしれない。
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THAIBIZ編集部
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