カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2016.04.29
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MANAGING DIRECTOR
水野兼悟 みずの けんご
野村総合研究所(NRi)のタイ法人は、AEC(ASEAN経済共同体)発足を2年後に控えた、2013年に設立された。立ち上げを行った水野兼悟氏は1988年、大学生だった当時、高層ビルもほとんどなかった頃に初めてタイを訪れ、いつかタイで仕事をしてみたいと思っていたと話す。2006年から7年間のフィリピン・マニラ支店長を経て、タイ法人の立ち上げに手を挙げた。
AECはASEAN後発加盟国であるカンボジア、ラオス、ミャンマー、べトナム(CLMV)の〝2018年までの域内関税撤廃〞などを掲げており、CLMVに囲まれたタイにおける、このAECのインパクトは大きい。
「タイはこのまま行けば、2020年頃まで年平均2〜3%ほどの経済成長を続けていくでしょう。他方、周辺国は6〜8%が予測されており、ポテンシャルに溢れた国に囲まれているタイは、地政学的に恵まれています」。
水野氏の専門はPPP(Public-Private Partnership、官民連携)やインフラ整備の資金調達(Infrastructure Finance)で、「本質的には、タイはもっとインフラ整備を進めるべき」と話す。
「陸路の物流、人の行き来にボトルネックとなっている、メコン川に架ける橋や、ミャンマー側では山越えできる高規格道路が整備されれば、周辺国との繋がりも深まります。ほかにもスワンナプーム国際空港は拡張が必要になるでしょうし、レッドラインやパープルラインといった都市鉄道に加え、都市間鉄道や国際鉄道も充実の余地がまだまだあります。
経済学では『ストロー効果』と言われますが、インフラが整備されることで、人は農村から都市へと吸い寄せられます。今後、周辺国の若者は、自国よりもビジネスチャンスや魅力があるタイ、あるいはバンコクにもっと出てみたいと思うようになるでしょう。国内でも、バンコク〜チェンマイを結ぶ高速鉄道ができれば、途中にあるナワンサコンのような地方都市の発展も見込まれるのではないかと思います。インフラの整備で得をするのはタイなのです。
タイは成熟期に入りつつある今、労働力の供給力や消費市場を持つ、若い成長国に囲まれています。タイ企業と日系企業はこの約30年、共に市場開拓や商品開発などを行ってきました。日系企業は、周辺国のことをよく知っている、また、資本面をはじめ市場開拓や現場のマネジメントなどができるタイ企業との関係性を活かすべきではないでしょうか」。
現在、タイ法人では大きく分けて4事業を行っている。まず、官公庁や国際機関、民間企業から経営コンサルティング・業務コンサルティング・市場調査や事業戦略などを受託する、調査コンサルティング。
そして日系企業が大きなITプロジェクトを外注した際に、顧客側に立ってITベンダーなどの進捗状況を確認する、情報システム(IT)コンサルティングに、製造業や販社を対象とした、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用・カスタマイズサポート。最後に、証券会社や証券取引所向けに情報システムの整備・構築をサポートする、金融・証券ソリューションがある。
この金融・証券ソリューションについて、水野氏は「タイには金融取引の処理方法に便利化の(企画提案の)余地がある」と指摘する。「タイの金融機関向けに、業界標準となるようなサービスを開発し、プラットフォーム型ビジネスを行いたいと考えています。同様に、少子高齢化と人件費の高騰を見越した、事務処理に伴う時間短縮や情報の誤りや漏れ防止など、業務改革と情報システムの刷新ニーズがあると見ています」。
株式会社野村総合研究所
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THAIBIZ編集部
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