ArayZ No.79 2018年7月発行BTS&MRTの開発進捗
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カテゴリー: 組織・人事
公開日 2018.07.18
藤波純
Marsh PB Co., Ltd.
1995年から日系保険会社に勤務。2006年、マーシュジャパン株式会社に入社し、15年よりJapan Client ServicesとしてMarsh LLCタイ法人であるMarsh PB Co., Ltd.に勤務。日系企業開拓や、日系クライアントへのサービス提供に従事している。
下川 タイのエグゼクティブ人材は、給与面の条件だけでなく福利厚生にも敏感です。日本のような国民皆保険の制度がないタイでは、医療面の保障は気にされる方が多いトピックですね。
藤波 タイにおいて、企業の従業員に対する医療保障制度の取り扱いは大きく3つの形態に分けられます。①民間企業に加入が義務付けられている社会保険(Social Security)のみ、②①と従業員1名あたりに年間で設定された予算内で使われた医療費を補助する「セルフファンド」、③①と医療保険への加入―です。②に関しては対象が社員のみの企業もあれば、社員の配偶者と子供や親まで含める企業もあります。①の社会保険を使えば安い費用で病院にかかることができますが、病院の選択肢がなく、待ち時間が長い、処方される薬の質が低いなどの不満を聞くことがあります。
下川 ②のセルフファンドと、③の医療保険加入には、どのようなメリット・デメリットの違いがあるのでしょうか。
藤波 セルフファンドの場合、自社内で医療診断書の内容を確認することになるので、従業員のプライバシー保護の問題が出てきます。また自社内で申請受付・支払いを行うため、窓口となる従業員に負荷がかかるほか、タイでは従業員が実際に使用した医療費とは異なる内容・費用を不正に請求するケースがあり、セルフファンド制度が正しく活用されず不適切な支払い発生するケースが散見されます。
その点、医療保険でキャッシュレスが活用されていれば、保険会社が医療機関と実際の使用状況を直接確認するため、本来適用外、あるいは実際に利用されていない医療費の請求をはじめ、従業員により不正が行われるリスクを軽減できます。医療機関でキャッシュレスによる治療が受けられるのは、従業員にとっては使い勝手が良くメリットと言えます。一方で利用実績が増大すれば保険料アップ(コスト増)につながる可能性もあるため、利用実績の分析や健康増進対策の導入などを検討する必要があるでしょう。
下川 なるほど。法人で加入する医療保険の選び方に、コツはありますか?
藤波 まずは現在加入されている保険証券(証書)の内容と保険利用実績などを今一度確認して、本当に求めている保障内容が適正なコストでカバーされているかどうかを検証されることだと思います。
下川 専門知識がないからと避けてしまいがちな確認作業ですが、保険は万が一の時のためのものですものね。
藤波 大事な従業員と会社の資産を守るため、保険契約内容の確認は重要なリスク管理作業のひとつです。一度従業員に提供した福利厚生制度を途中で削減することは難しいですから、持続的な運営が可能な内容・保険料水準に抑えることも大切です。従業員確保のために、他企業の福利厚生制度との水準比較も大きな指標になるかもしれません。
(ArayZ9月号に続く)
下川ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。
ArayZ No.79 2018年7月発行BTS&MRTの開発進捗
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THAIBIZ編集部
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