カテゴリー: 組織・人事
公開日 2025.05.09
前編では、日本人とタイ人の「予定」に対する捉え方には根本的な違いがあること、そしてそれが、日本人が「タイ人は予定を守らない」と感じる原因であることを説明しました。今回はそういった違いがあることを踏まえ、具体的にどのような対策をとればよいのかについて、私が会社を経営する中で効果的と感じた2つの方法をシェアしたいと思います。
プロジェクト開始時に日本人・タイ人を含めた打ち合わせを行い、期限を日付、可能であれば時間まで明確に合意することが重要です。その後、同じメンバーで週次などの定期的な打ち合わせを設定し、スケジュールとのがないかを頻繁に確認します。
タイ人はグループ内での調和や自分の面目を非常に重視します。そのため、「自分がスケジュール遅延の原因になりたくない」という意識が働き、予定通りに進めようとするインセンティブが生まれます。また、定期的な打ち合わせを実施することで、日本人による早めの軌道修正や顧客への迅速な状況共有が可能になります。
予定を守ったか否かを明確に人事評価に組み込み、給与や賞与といった金銭的な対価に反映させる方法も効果的です。実際、タイ人は金銭的ペナルティが伴う期限に関しては、比較的高い遵守率を示します。
例えば、タイの実務では、財務諸表作成において株主総会までに完了させるという民商法典上の期限は厳密に守られない場合があります。これは期限を超えても即座に罰金が科されないためです。
しかし法人税の申告期限に財務諸表作成が間に合わないと罰金が発生するため、実際の実務的締切は法人税の申告期限となっているケースがあります。金銭的なデメリットが明確になると、タイ人はスケジュール管理に敏感になり、予定を守ろうとする動機が強くなります。
一方で、この手法をあまりに厳格に適用すると、過度にギスギスした雰囲気が生まれてしまう可能性もあるため、適切なバランスを取ることが重要です。
タイ人の予定遵守については、私自身も経営者として約10年間、常に向き合い続けている課題です。しかし、タイでビジネスを行う以上避けては通れないポイントでもあります。あるタイ人経営者とこのテーマについて話した際、「会社ではなく、結局『自分』に影響が無ければ、いくら綺麗事を言っても人は動かない」と言われたことがあります。今回紹介した対策を参考にしつつ、粘り強く取り組んでいきましょう。
【免責事項】 本稿は情報提供を目的としたものであり、本稿の使用にあたって発生したいかなる損害について、直接的・間接的問わず、発行元、代表者および本稿作成の関与者は一切の責任を負いません。また、本稿記載の内容は本稿作成時点における調査・法令・情報に基づいたものであり、本稿作成時点以降に発生した事象を反映しておらず、その責任も負わないものとします。
Biz Wings
CEO & Founder
倉地 準之輔 氏
日本で監査法人、外資系企業勤務を経て2013年来タイ。外資系会計事務所勤務後、2015年10月にBizWings (Thailand)Co., Ltd.を設立。複数の公的機関にて日系企業のアドバイザーを務める傍ら、経営コンサルティング業務を提供している。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。
BizWings (Thailand) Co.,Ltd.
本業に集中しませんか? 管理業務のアウトソーシング全般対応します!
業務効率の向上・コスト削減・不正防止にも! 無料お試しプランあり
会計記帳 / 税務申告 / 給与計算 / ビザ&労働許可証申請 / 会社設立 / BOI申請 / 内部監査 / オンラインアシスタント / 支払代行 / 請求書発行代行 / システム入力支援 / 財務DD
様々な業務を経験豊富な日本人公認会計士とタイ人専門家により代行いたします!
Tel:02-077-9916
E-mail:[email protected]
680 Prom Ratchada Tower C, 1st Floor, Soi Nathong (Ratchadapisek 7), Din Daeng, Bangkok 10400
Website : http://www.bizwings.co
SHARE