半年でERP刷新を実現 〜専門商社が選んだ、タイ拠点DXの最適解

THAIBIZ No.174 2026年6月発行

THAIBIZ No.174 2026年6月発行日タイで磨く開発力!三菱ケミカルの環境素材革命

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半年でERP刷新を実現 〜専門商社が選んだ、タイ拠点DXの最適解

公開日 2026.06.10 Sponsored

繊維と化学品に特化した専門商社の蝶理株式会社では、持続可能な事業成長を見据え、海外拠点の競争力強化を経営課題として位置づけている。その実現に向けた業務変革の一環として、同社のタイ拠点Thai Chori Co., Ltd.(以下、タイ蝶理)でも基幹システム(ERP)の刷新が行われた。

タイ蝶理のマネージング・ディレクター沖中治男氏と、導入を支援したThai NS Solutions(以下、ThaiNSSOL)システムプランニング・エンジニアリング部門のゼネラル・マネジャー北薗めぐみ氏に、商社のグローバル経営に求められるERPとは何かについて話を聞いた。

タイ拠点の位置づけとシステム刷新の背景

1861年に生糸問屋として創業した蝶理は、1950年代には合繊業界を牽引する企業へと成長し、グローバル進出を開始。現在ASEAN域内ではタイをはじめとし、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポールに現地法人を展開している。中でもタイ蝶理は最も古い歴史を持つ拠点の一つで、同グループにおけるASEANの中核を担う。

同社では、長年利用してきた基幹システムのサポートが終了を迎えたことを機に、新システムへの移行が急務となった。後継機となる「Dynamics 365 Business Central(D365BC)」への移行を検討する中、先行してD365BCを導入していたインドネシア拠点の存在が大きなヒントとなった。「インドネシアで支援していただいていたのがNSSOLであった縁から、タイで導入サポートをしているThaiNSSOLをパートナーとして迎えることとなった」と沖中氏は経緯を語る。

「2層型ERP」とインドネシアからのテンプレート横展開

グローバル企業のERP導入において、本社や主要生産拠点にはSAPなどの大規模ERPを、海外の販売会社や小規模拠点には現地適合性を重視した中堅規模のERPを組み合わせる「2層型ERP」という手法がある。

北薗氏は「本社からの大規模ERPのロールアウトと比較して、導入期間は最短6〜10ヶ月、コストも半分から3分の1程度に収まるケースが多く、操作面でも現場に必要な項目に絞られるため定着が早い」とそのメリットを語る。

今回はさらに、インドネシア拠点向けにカスタマイズしたテンプレートをタイ拠点へ横展開した。沖中氏は「当社グループでは拠点は異なっても業種は同じのため、帳票やレポートの形式が共通しており、そのまま使える部分が多かった。開発期間も費用も大幅に抑えることができた」と語る。

タイ独自の複雑な税法対応についても、ThaiNSSOLが持つ独自のローカル法制テンプレートを組み合わせることで確実かつスピーディに対応した(図表1)。

ブラックボックス化を防ぐ「日タイ両軸」のプロジェクト管理

海外拠点でのシステム導入において障害となりやすいのが、現地スタッフの変化に対する拒否反応や、情報の不透明さだ。沖中氏は「現場のスタッフだけで議論していると、従来のやり方が当たり前であるため、非効率なことがあっても見過ごされてしまう」と現地主導で進めることの難しさを指摘する。

また、同社ではコスト面でローカルベンダーも検討したが、「実働部隊がタイ人のみになると、プロジェクトの状況が日本人経営層には見えにくくなる」という懸念があった。

北薗氏は日系企業特有の落とし穴として、「日本人マネジメントの視点を持つメンバーがプロジェクト体制図にいないと、大量の追加開発要望が出てきた際に、それが本当に必要なものか判断できず、開発の遅れにつながる。逆に日本人主導で行って、現場に必要な要件が見落とされてしまうと運用定着しないケースもある」と説明する。

こうした課題に対し、ThaiNSSOLは日本人とタイ人双方のプロジェクトマネジャー(PM)が伴走する体制を構築した。現場からの要望を技術者が客観的に整理し、日本人経営層に提示するフローで意思決定を可視化。タイ蝶理側も月次のプロジェクト運営会議(ステアリング・コミッティ)を待たず、必要に応じて即座にメンバーを招集して判断を下した。

沖中氏は「日本人が不要と思っていた機能も、現場の説明を聞いて必要だと納得して追加した機能もある」と話す。北薗氏も「要望の背景を丁寧に確認し、現場と対話をしながら進めていた」と振り返る。このように合意形成のプロセスを可視化し、ブラックボックス化を防いだことが短期間でプロジェクトを成功させた要因の一つだといえる。

承認フローのデジタル化と、現場主導の自律的な定着

約半年間の導入期間を経て、今年1月に新ERPが本格稼働した。稼働後に経営層が最も効果を実感しているのが、承認フローのデジタル化だ。「これまでは書類を印刷してサインし、再度スキャンするという膨大な手間がかかっていたが、今は出張先など世界中どこにいてもオンラインで即座に完結する」と沖中氏は明かす。

現場への定着も早く、若手スタッフを中心に自発的にシステムの使い方を調べ、社内で教え合うという好循環が生まれた。「新しいシステムへの抵抗感もなく、現場主導で能動的に運用が回っている」と沖中氏は笑顔を見せる。

データドリブン経営の実現に向けた今後の展望

新ERPの稼働により、タイ蝶理は次なる成長ステージへの土台を手に入れた。沖中氏は今後の展望について、「クラウド化により、将来的にはタイだけでなく、他国の拠点の受注・販売状況もリアルタイムで一元管理できるようになることを期待している。拠点ごとにレポートを作成する手間を省き、管理部門の省人化を進めることで、今後はより一層営業活動に注力したい」とさらなる事業拡大を目指す考えだ。

最後に北薗氏はERP刷新を検討する企業に向けて、「必要十分な機能を備えたグローバル標準製品を、運用定着まで日タイ両言語で支援できるベンダーとともに、短期間でクイックに立ち上げることが近道だ」とアドバイスをした上で、「製造業から商社・貿易業まで業種を問わず対応しているので、まずは気軽にご相談いただきたい」と呼びかける(図表2)。

コストや機能だけでなく、現場の文化や合意形成のプロセスも含めたパートナー選びが、日系企業の海外拠点デジタルトランスフォーメーション(DX)の成否を分ける—タイ蝶理の事例は端的にそのことを示している。

Interviewees Profile

沖中 治男 氏(Mr. Haruo Okinaka)

Managing Director
Thai Chori Co., Ltd.

入社以来、繊維の原料貿易部隊で様々な国との営業を経験。タイ駐在は2回目で通算13年が経過し、タイ経済の浮き沈みを体験し、これからのさらなる発展に向けて邁進中。


北薗 めぐみ 氏(Ms. Megumi Kitazono)

General Manager, System Planning & Engineering – I
Thai NS Solutions Co., Ltd.

入社以来、国内外拠点のERP導入案件(Oracle、SAP、Microsoft)でPM・コンサルタントを経験。2017〜2019年タイ赴任、日タイ連携プロジェクトをリード。2025年に再赴任し事業拡大に注力。 

Thai Chori Co., Ltd.

1974年、ヤワラートに現地法人を設立。現在はタニヤにて、主に中東向け民族衣装、繊維原料、車両資材、衛生資材などの繊維事業、食品添加物を含む化学品事業を展開している。蝶理グループとしては、「あなたの夢に挑戦します。(Making Your Dreams Come True)」をスローガンに、現地法人19社、連結従業員1,354名(2025年3月31日時点)にて事業を展開。

website:www.chori.co.jp
TEL:02-267-0231(担当:永井)


Thai NS Solutions Co., Ltd.

日鉄ソリューションズのタイ現地法人として2013年設立。社員200名の体制で日系製造業、商社、金融機関等のお客様(約70社)へMicrosoft Dynamicsを中心とするERPや製造実行管理システムの導入を支援。

website:https://global.nssol.nipponsteel.com/th
E-mail:contact@th.nssol.nipponsteel.com
TEL:064-504-5650(担当:雪江)

THAIBIZ編集部
岡部真由美

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