
カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2020.07.10
今、日本のアニメ業界は2兆円の市場規模と言われています。アニメ制作会社の売上は合計2,000億円くらいですので、市場規模の1割しか生産者に回っていない。これだと続かないですね。
アニメの製作本数って、年間350本くらいなんです。それもずっと横ばい。つまり製作能力の限界なんです。これ以上は日本では作れない。そうなると、やはりアジア市場に出ていくしかない。一方で、中国はとんでもない資本力とネットワークでどんどん制作しています。
当社がそもそも学校を作ろうと思ったのは、アジアには44億人の市場があり、そのお客様に通用するコンテンツを創造する必要があるからです。特に東南アジアの方は新しいもの好きで、複製する能力が高く人材が豊富です。
例えば、タイのコマーシャルなど見ていても、日本よりはるかにクリエイティブじゃないですか。彼らは欧米とか、日本のCMを見て、真似して作っているので、そういう能力が高い人はアニメ業界に向きます。それもあって、アジアに学校を展開しようと決めました。タイのビジネススクールの学生にも東京で2.5次元ミュージカルなどを体験してもらうことで、日本独自のコンテンツ産業のアカデミックな関心も高めていきたいです。
学校というとどうしても内向きの思考になりがちなのですが、職員にも外に出て、パートナーや顧客を見なさいと言っています。常に人との「接点」を持っているというのは、大変ですが大切です。
私たちの究極の目標は、無償でアジアの子供たちに授業を提供できるようになることです。貧しい子でも、引きこもりの子でも、やっぱり、学びたい時に学べる環境を作るというのが、教育事業者としての究極だと思っています。
もちろん天才を育成するというのもありますが、天才の数よりも、貧困で勉強できない子の方がはるかに多い。その子たちのための環境作りをしていきたい。それが究極の社会貢献だと思います。これからタイの団体と一緒に、タイの地方で、企業から寄付を集めたり、無料で授業を提供する取り組みを検討していきます。
例えば、貧困層の若者向けに漫画のレタッチなどの教育を行う。漫画とか絵を書けるようになれば、一枚30バーツ、100バーツとかで仕事ができるようになります。それはチェンマイにいようが、チェンライにいようが関係なくできますが、そのためにはまず勉強をしなければならない。
もう一つは、そのやりとりができるインフラが必要です。メールや、画像の受け渡しなどのインフラを含めて整備し、“あとは本人たちの努力次第”という環境ができればと思います。私たちの仕事は「チャレンジできる環境を提供すること」だと思います。
英国でMBAを取得され、事業再生の分野で華々しいキャリアを歩まれてきた古賀社長。日本のアニメ業界のビジネス・エコシステムが抱える構造的課題を的確に理解し、本業を通じてアジアの貧困問題に取り組まれている専門経営者である。IP×デジタル×アジアから分かるように、実はコンテンツ産業は経営のフロンティアであり、今後も様々な形でご一緒していきたい。

古賀鉄也
大学卒業後、総合商社、総合人材サービス会社を経て、テンプスタッフ・クリエイティブを設立。2009~12年、デジタルハリウッドの代表取締役兼CEO。10年から東京ヴェルディ1969の取締役を経て、現在は共同オーナー。13年にKadokawa Contents Academy株式会社を設立して、現在は同社社長兼CEO。

THAIBIZ編集部


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