カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2017.11.16
目次
高級タイ料理レストラン「ブルーエレファント」は1980年にベルギーで開業し、イギリス、フランスでの店舗展開を経て、タイには逆輸入するかたちで2002年バンコクに出店。レストラン運営と料理教室に加え、タイカレーペーストや調味料など本場タイの味が簡単に再現できる「ブルーエレファント」ブランドの商品製造販売を行っている。調味料商品はヨーロッパを中心に36ヵ国に輸出しており、売上の6割を海外が占める。
今回はバンコク郊外にあるBLUE SPICE Co., Ltd.の工場を訪問してきた。ここでは8種類のタイカレーペースト、20種類のドレッシング、5種類の乾燥スパイス製品と、それらを詰め合わせたクッキングセットを小売・業務用合わせて毎月3万個生産している。生産計画はスーパーバイザーと製造担当者で立案。
商品の味は、季節よって原料の味や状態が変わるため、最終的にはバッチごとのシェフが調整している。
工場に入れば一目瞭然だが、原材料となる野菜の選定からシーズニング、調理、充填、パッケージングまで、作業のほとんどを機械ではなく手作業で行っている。Factory ManagerのWoraphat氏によれば、ブリュッセルの倉庫では機械化が進んでいるが、タイではまだ人件費的にも生産量的にも、手作業で問題ないと話す。むしろ、複雑な作業にも対応できるため効率が良いそうだ。
衛生面はもちろん、各作業場の温度、湿度もコントロールされている。GMP、HACCP、BRCといった国際認証を取得しているのはあくまで販売のためで、品質管理は自ら行っている。
原料となる野菜は1日あたり平均約1,000キロを各地から入荷。タイ王室の農村部支援プロジェクト「ロイヤルプロジェクト」で生産された原料も使用している。
調理されたカレーの素をペースト状に加工する作業も、小さな機械と手作業で行う。
計量から充填、真空加工の作業もやはり、基本は手作業。このあと、パスチャライズなど殺菌工程を行う。
パッケージングの後、輸出先となる国別のラベル貼り、梱包。ロス低下の意識が身につくよう教育も行っているという。従業員の作業環境や体勢へも配慮を怠らず、人材の定着率も高い。
Pharkphume Manusuk氏 Managing Director’s Office Manager
Purchasing & Centralized Merchandising Manager
美しいタイ人⼥優と“Thailand No.1Cosmetic”のコピーが⼀際⽬⽴つ広告を打つ「Mistine」。安価な価格帯と豊富なラインナップでタイ全国にユーザーを持ち、タイ⼈⼥性なら誰もが知っている同ブランドを⼿がけるのが化粧品メーカーのBETTERWAYです。
1988年当時、直接販売⽅式(ダイレクトマーケティング)の王として知られたアーモンテップ⽒が創業し、瞬く間にタイ全国にマーケットを広げました。地⽅を含むすべてのタイ⼈⼥性にメイクの楽しさを伝え、タイを美容⼤国と⾔わせるまでに成⻑させたのは、同社の功績が⼤きいと言えます。
当社は化粧品や生活雑貨などを手掛ける化粧品販売企業で、一切の小売店を持たないダイレクト販売が特徴です。販路は、当社→ミスティーンセールスレディ(以下、MSL)→顧客の、いわゆるシングルレベルマーケティング(SLM)を採用しています。このため当社はMSLがいないと存続できないと言っても過言ではありません。国内100万人のMSLに支えてもらっています。
MSLは95%が副業になりますので、皆さんに責任を押し付けることはありません。会費不要、商品勉強会不要。お客様からの注文が入ってから当社に商品を発注するので在庫のリスクもなし、当社から商品を受け取っても支払いはお客様の入金後でOK、返品もOKとリスクなしです。
また、商品の仕入れ量が多いほど卸値を割引くため、大量に仕入れて自ら小売店を営むMSLもいます。気軽にできる商売である一方、商品勉強会などがないため営業力の弱さを懸念されるかもしれませんが、これを補っているのが売り上げの約7~10%を利用した宣伝広告です。
人気女優を起用したCMで消費者を商品に近づけ、MSLは営業しなくてもお客様から話が入ってくるようにしています。
他にも営業ツールとしてカタログに力を入れており、2週間に一度のペースで年に26冊発行し、必ず新商品を掲載しています。年間の新商品数は220SKU(Stock Keeping Unit:在庫管理単位)、全体では3000SKUに上ります。
当社化粧品の単価は100~300バーツと手頃な価格です。膨大な商品数とこの価格帯を維持する秘策は完全外注化にあります。実はファブレスメーカーのため、製造メーカーを競合させ生産価格を抑えることができます。大量生産した商品を手頃な価格で短期間に売る、飽きやすいタイ人には適している販売スタイルかと思います。
日本は内側から美しくすることや、手間や時間をかけてこそ美しくなるという風潮がありますが、タイ人女性はそんなに待てません。そのためメイクで外見をきれいに見せれば良いというのが本音です。
現在は昔ながらの人を介した販路が主流ですが、スマートフォンが登場して少しずつ変化しています。特に20代は電話よりもチャットに慣れており、当社もアプリで購入できるよう対応しています。現状はオンラインとオフラインの客層が異なるため、見合った商品の展開を検討しています。今後も、タイ人の考え方に沿った商品を作り、タイ人が求める小売りスタイルに合わせて事業を進めていきます。
THAIBIZ編集部
タイのオーガニック農業の現場から ~ハーモニーライフ大賀昌社長インタビュー(上)~
バイオ・BCG・農業 ー 2024.11.18
タイ農業はなぜ生産性が低いのか ~「イサーン」がタイ社会の基底を象徴~
バイオ・BCG・農業 ー 2024.11.18
「レッドブル」を製造するタイ飲料大手TCPグループのミュージアムを視察 〜TJRIミッションレポート〜
食品・小売・サービス ー 2024.11.18
第16回FITフェア、アスエネ、ウエスタン・デジタル
ニュース ー 2024.11.18
法制度改正と理系人材の育成で産業構造改革を ~タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)のウィワット氏インタビュー~
対談・インタビュー ー 2024.11.11
海洋プラごみはバンコクの運河から ~ タイはごみの分別回収をできるのか ~
ビジネス・経済 ー 2024.11.11
SHARE