ArayZ No.105 2020年9月発行勃興するメコン5 〜期待と注目のCLMVT〜
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2020.09.10
みずほ銀行 バンコック支店 メコン5課 参事役
中尾 貴博
大学卒業後、青年海外協力隊に参加してアフリカのジンバブエでバスケットボールのコーチとして活動。JICA勤務を経て2008年入行。13年からベトナム・ハノイ支店にて勤務。19年よりタイ・バンコック支店でメコン5投資推進の企画業務を担当。
私共がなぜメコン5に着目するのか。
カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムはこれまで5%~7%の高いGDP(国内総生産)成長率を維持し、タイを加えたメコン5域内への外国直接投資は右肩上がりで増えています(図表1)。
従来よりタイへは自動車産業を中心とした日系企業が投資を行ってきましたが、近年ではベトナムなどへの投資も増加してきています。
背景には、中国で操業していた日本企業が人件費の高騰で採算を維持できなくなって移管してくるケースもあります。タイは既にある程度上昇していますが、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムは他国に比べまだ賃金面で強い優位性があります(図表2)。
陸続きのこの地域には、インドシナ半島を跨ぐように東西経済回廊、南部経済回廊、南北経済回廊という3つの回廊の整備が進んでいます。
それぞれの国で見ればまだ経済規模の小さな国も、回廊によって5ヵ国の人、モノ、金が繋がることで巨大な市場が形成され、人口は計2億5000万人、GDPは計9000億米ドルと、東南アジアの大国インドネシアにも匹敵する規模になります。
今後、道路インフラの整備がさらに進めば、物流コストが下がる上に輸送時間も短縮され、一層の活性化が見込まれます。
また、海洋に目を向ければ、市場として中国や環太平洋の国々をターゲットにできる好立地でもあります。
メコン5域内は比較的早期の抑え込みに成功し、大きな感染拡大は招いていません。世界銀行による今年のGDP成長率の予測などを見ると、新型コロナウイルスの影響を加味してもまだプラスの成長が予想される国があり、コロナ禍からの早期の経済回復が期待できます(図表3)。
コロナ禍を経て、マレーシアやインドネシアに進出していた企業が、リスク分散の観点からメコン5の域内に生産拠点の設立を考えているケースもあり、サプライチェーンの再編による投資も今後見込まれます。
少子高齢化が進み、市場が成熟してきているタイにとっても、将来の成長を見据える上で周辺国の発展は重要な要素です。タイからカンボジアやミャンマーに進出する企業がありますが、これらの国々のインフラがしっかりと整備され技術力も高まれば、タイから生産工程の一部をより移管しやすくなり、タイはさらに付加価値の高い工程に注力できます。最近ではタイに地域統括拠点、研究開発機能を置く企業も増えています。周辺国が地理的に近く、それらをカバーする立地としてタイは適しています。
また、周辺国の経済発展が進めば市場としても魅力が高まり、進出している小売りなどのタイ企業が恩恵を受けます。
今後もメコン5の域内は、ますます活性化していくと見ています。日系・非日系企業問わず、域内外から様々な投資が入り、M&Aも活発になるでしょう。私共にもアメリカやヨーロッパ、インドの企業からメコン5域内への進出に関する問い合わせがあり、各国の関心の高さが伺えます。
みずほ銀行はタイにはバンコック支店、イースタンシーボード出張所、ベトナムにはハノイ支店およびホーチミン支店、ミャンマーにはヤンゴン支店に加えてティラワ出張所、カンボジアにはプノンペン出張所を設け、ラオスでは最大手のラオス外国商業銀行と提携しています。2019年7月には、バンコック支店のアセアン営業課をメコン5課へと改名しました。メコン5の一つ一つの国を点で見るのではなく、面として捉えて各拠点と連携し、域内全域の発展に寄与すべく様々な情報発信をしています。
今回は各国の担当者に最近の経済動向や今後の見通しなどを聞きました。
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THAIBIZ編集部
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