タイのニーズに合った新商品を開発し大ヒット戦略と実績で本社を動かす

タイのニーズに合った新商品を開発し大ヒット戦略と実績で本社を動かす

公開日 2024.07.10

現地に合わせた商品を展開したいと思いながらも、本社の理解が得られず実現できないと悩む在タイ駐在員は多い。パナソニックソリューションズタイランドの岡本和樹氏は、タイ向けに開発した商品を大ヒットに導き、本社を動かした。「タイに来て主語が変わった」と話す岡本氏に、その真意を聞いた。

関係性作りの大切さを痛感

Q. 御社とご自身について教えてください

当社は、建築系電気設備資材の販売会社1社と、家電系商品の販売会社2社、および統括会社の計4社が統合し、2022年4月に設立しました。母体となるPanasonic Life Solutions Sales(Thailand)は約30年前に設立され、タイでの歴史は長いです。従業員は約400人、うち日本人は約22人です。事業内容としては、私が担当する照明・電気設備資材はじめ、AV・システム機器、家電などの販売に加え、調達やIT部門、さらにはタイ国内グループ会社の統括機能も担っており、多岐に渡ります。

私は2020年3月にタイに赴任し、最初の2年間は照明の営業マーケティングを担当していました。組織統合に伴い電気設備資材の担当に変更となった後は、「INITIO」シリーズを中心としたスイッチ・コンセント商品の販売促進を担いながら、元照明担当として、同部門の照明の販売にも関わっています。

Q. タイでのビジネスにはどのような印象を持っていますか

地方の販売店に訪問する機会が多い中で感じるのは、日本以上に人と人の繋がりが大切だということです。足繫く通って関係性を作ることが、商品の魅力と同程度、もしくはそれ以上に大事かもしれません。当社より安価な商品も選択肢としてある中で「あなたが担当だからPanasonicの商品を取り扱うことにした」と言っていただけた時は、関係性作りが販売力に直結するのだと実感しました。

また社内メンバーとは英語での会話が中心ですが、お互いに第二言語でのやり取りの中で母国語と同様の意思疎通は困難なため、日本語の3倍程度のコミュニケーション量を日々意識しています。

タイ語の勉強にも注力しましたが、それだけではなく、会話の回数やコミュニケーションにかける労力と時間をより重要視するようになりました。

現地に合った商品を開発・導入、本社も動かす

Q. この4年間で成し遂げたことを一つ挙げるとすれば

私の赴任前からタイ人メンバーが切望していた、タイ向けの新商品を2021年に開発・導入できたことです。事業部開発のものでは仕様が合わず、タイでは販売ができなかった照明器具について、「タイの仕様で生産し販売したい」という声が現場で多くあがっていました。

しかし、当社は照明の生産工場をタイに有しておらず、また自社の高い品質基準ハードルに加え、タイ独自のニーズにつき他国展開が難しい商品という点も相まって、事業部は開発に後ろ向きでした。

試行錯誤の結果、ローカル企業と連携してODM(Original Design Manufacturing)生産を開始。独自ブランドを立ち上げ、タイ市場での販売を実現しました。この新商品を通して他の当社注力商品の販路も広げられたほか、発売後1年で同商品の売上が全体の約2割を占めるという結果を出すことができました。

Q. 実現するために一番難しかったことは

実は、社内調整に一番苦労しました。日本の事業部には彼らの役割と責任があるので、現地で生産した商品をPanasonicブランドとして販売することに慎重なのは、私も理解ができます。そのため丁寧に対話を重ね、まずは独自ブランドとして販売することで着地しました。

対話は必要ですが、やはり限界もあります。次のステップとして、実績を見せることが大事です。新商品の売上が好調で、かつ相乗効果で注力商品の売上も向上したことは、本社を動かす大きな力となりました。

その結果、現在はPanasonicブランドとして新商品の導入、販売に至っています。現地のニーズに合った商品の開発・導入は容易ではないことから、今回のプロジェクトは当社にとっても大きな成果の一つだと捉えています。

今後の目標は、BtoBマーケティングの強化

Q. 来タイ前と後で、駐在員としての心構えにどのような変化がありましたか

赴任前は「自分が結果を出さなければ」と気負っていて、主語が「自分」でした。しかしタイで様々なことを経験した結果、「タイ人メンバーや販売店の方々をはじめ、タイの人たちのためには何をすれば良いか」を常に考えるようになりました。

また、尊敬する元上司に以前「三流は結果を出す、二流は仕組みを作る、一流は人を残す」と教わりました。任期の限られた駐在員には特に、染みる言葉です。結果を出し、仕組みを作った後には、自分の意思を引き継いでくれるメンバーに任せて、組織のさらなる発展に繋げなければなりません。来タイ後は、この言葉の意味を身をもって理解することができました。

Q. 帰任までの目標を教えてください

現状では商品が販売店に届くまで、代理店やディーラーなど複数の会社を介しているため、当社は販売店に対する販促やマーケティング活動を十分に行えていません。そのため今後は、川上のお客様である販売店、さらにはその先の電気工事士や設計事務所、住宅会社といった決定権者の方々に、当社商品を効果的に訴求できる仕組みを作りたいと考えています。

具体的には最近、タイ人デザイナーに人気の住宅系インフルエンサーとタイアップして、INITIOを動画で紹介してもらうなど初の試みにも挑戦しました。直接販売店の声を聞くことができ、かつ当社からもアプローチができるような、販売店向け新規アプリの導入も進めています。

営業体制についても、これまでの組織編成の影響で別々に動いていた照明部門と電気設備資材部門を上手く連携させて、より効果的にお客様にアプローチできる方法を模索しています。

BtoBマーケティングの実績とノウハウを可能な限り多く蓄積し、今後も当社がタイにとって欠かせない存在でいられるよう、次に繋げていくことが私の目標です。


岡本 和樹氏
Assistant General Manager / Energy System Department
Panasonic Solutions (Thailand) Co., Ltd.

2015年、パナソニック株式会社に新卒入社。エレクトリックワークス社に配属後、国内営業を3年間担当した後、2018年に海外部署へ異動し主に東南アジア各国販売会社の支援に従事。2020年3月にタイ赴任。現在はスイッチ・コンセント商品の販売促進業務を主とする。

THAIBIZ編集部

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