タイ国外源泉所得をタイに持ち込むケース

THAIBIZ No.155 2024年11月発行

THAIBIZ No.155 2024年11月発行タイの明日を変える!イノベーター大特集

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タイ国外源泉所得をタイに持ち込むケース

公開日 2024.11.11

タイで働いている日本人サラリーマンの場合、給料やボーナスがタイで支払われるだけではなく、日本本社側でも支給されるケースも多いと思います。また、タイで事業を経営されている経営者の方は役員報酬や株式配当などの形で所得を得られることでしょう。

これらタイで働いたことによる所得はいわゆる「タイ国内源泉所得」であり、タイで納める個人所得税を計算する際の課税所得に含まれます。タイ国内源泉所得は、あくまでタイで発生した所得、対価ではあるものの、受け取る場所がタイ国内か国外かは関係ないことがポイントです。

一方、図表1の「タイ国外源泉所得」については「タイ国内に持ち込んだ場合にはタイで課税する」と定められています。ただし従来は所得を得た時点の翌年度以降に持ち込んだ場合には課税されないとの解釈がなされてきたため、所得を得てすぐではなく翌年度以降にタイに持ち込むことによって課税を回避する方法が取られてきました。

出所:J Glocal Accounting Co., Ltd.

このため2023年9月および11月にタイ歳入局より発表された通達により、2024年以降に得られた国外源泉所得については、翌年度以降に持ち込んだ場合でもタイで課税する旨が発表されました(図表2)。

出所:J Glocal Accounting Co., Ltd.

2023年度以前に得られた所得については、この発表の対象外とされており、翌年度以降に持ち込んだ場合には従来通り課税対象外となりますが、歳入局から確認された場合には持ち込んだ所得が2023年度以前に得られたものであることを証明する必要が出てくると考えられます。

証明に使える資料としては、例えば銀行預金をタイに持ち込む場合には、2023年度以前の残高が証明できる銀行通帳などが考えられます。実務上そのような証明が難しい場合には、タイに持ち込む国外源泉所得が2023年度以前のものであっても注意が必要です。

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J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director

坂田 竜一 氏

バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。

J Glocal Accounting Co., Ltd.

Website : http://jga.asia/

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