個人所得税申告書提出が100%電子申告へ

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個人所得税申告書提出が100%電子申告へ

公開日 2023.12.09

2028年までにタイはデジタル・タックス・エコシステムの完全活用を目指し、23年9月に歳入局から納税申告に関する新たな取り組みが発表されました。PND1(月次給与源泉税申告)の紙申告が原則廃止され電子申告に移行します。紙申告から電子申告へ移行する事で納税手続きの簡略化と不正な納税申告や所得の虚偽申告を防ぐ目的と発表されています。今回は紙申告が行えなくなる事でどのような対応が企業側に求められるかを解説していきます。

PND1とは、企業が従業員の給与所得にかかる毎月の源泉徴収税を申告する際に用いる税務申告書です。給与支払いを行った月の月末締めで翌月7日までに歳入局窓口で紙申告をするか、電子申告をするかの選択が可能です。電子申告の場合申告期限の延長が恩典として与えられ、翌月15日まで申告期限が延長されます。しかし24年1月1日以降、原則電子申告でしかPND1の提出が出来なくなります。例外的に電子申告を利用できない場合書面での提出も可能ですが、電子申告ができない理由を記載した書面を歳入局に提出する必要があります。

現在多くの企業が電子申告を導入し普及していますが紙申告を行うケースとして、VISAの更新手続きで認証書類の取得が緊急に必要な場合、通常認証書を取得するには納税申告後に認証申請を歳入局に行うため、3営業日から5営業日程度の時間を要します。窓口で申告を行う場合、申告と同時に認証申請を行うと認証書類を即時発行して貰えるというメリットがあります。

また、会計スタッフがVATや法人税、その他の源泉税申告を行い、人事スタッフがPND1や社会保険申告を作成する企業では、同じ電子申告のIDを使う事で会計スタッフに従業員の給与情報が開示されてしまうという理由から、PND1のみ人事スタッフが紙の申告書を作成し代表者や人事スタッフが直接歳入局窓口にて納税・申告手続きを行うという企業があります。

現在電子申告への移行期間中ですが、24年1月以降PND1は原則電子申告をする必要があるため、歳入局の電子申告を行うためのIDとパスワードを会計スタッフ、人事スタッフが共用するか、担当業務や部署にごとにIDとパスワードを分けて対応するかなどの検討が必要です。また、給与情報に関連する業務のため自社の現状把握と担当スタッフの業務フローに変更が発生するかなどの確認も必要です。

寄稿者プロフィール
  • 坂田 竜一 プロフィール写真
  • J Glocal Accounting Co., Ltd.
    Managing Director坂田 竜一

    大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。

  • JGA ロゴマーク
  • URL : www.jga.asia

    言葉、文化を超えてグローバル日系企業が本業に専念できる環境を提供します。

JGA

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J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director

坂田 竜一 氏

バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。

J Glocal Accounting Co., Ltd.

Website : http://jga.asia/

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