ArayZ No.81 2018年9月発行変化を遂げるASEAN~優位性と課題を探る
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.09.25
目次
► 2018年6月のタイ経済は堅調な拡大基調になりました。民間消費と民間投資の好調が持続しているほか、海外の需要増と世界市場の石油価格の上昇により、タイの輸出が拡大しました。また、内外需の拡大が製造部門の成長に貢献しました。
► 2018年7月の消費者物価の上昇率は、前年同月比1.46%上昇し、13カ月連続で上昇しました。世界市場における原油価格の上昇により、国内燃油小売価格と調理ガス価格が上昇したことが主な理由です。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.79%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。
► 最近、タイ自動車市場における電気自動車の役割は大きく変化しています。自動車メーカーは明確な市場イメージを抱きはじめ、電気自動車への投資と市場拡大に力を入れています。2018年1~5月の時点でタイの電気自動車の登録台数は7,129台となり、前年同期に比べ59%増大しました。今後も引き続き拡大傾向にあると見込まれます。
► カシコンリサーチセンターは、現時点での市場の需要を反映させるべく、電気自動車に対するユーザーの関心度を調査しました。調査結果で興味深かったのは、電気自動車市場では、PHEVがユーザーの関心を最も多く集めていたことです。とりわけ、ガソリン車の同型車種との価格差が30万バーツを超えない場合には、多くのユーザーの関心を集める可能性があります。
タイ中央銀行が発表した2018年6月の重要な経済指標によると、タイ経済は景気の拡大基調が続いています。内外需が伸びて輸出と観光がけん引しました。また、民間消費の好調が持続しているほか、内外需の拡大が製造部門の成長に貢献しました。
6月の民間消費は前年同月比3・4%上昇しました。非耐久消費財の指数を除く全ての項目で上昇しました。農業所得の拡大が支援材料となっています。農産物価格は下落したものの、収量の増加が農業所得の拡大をもたらしています。
一方で、民間投資は前年同月比4・0%上昇しました。特に機械・設備と商用車への投資が寄与しました。しかしながら、建設投資は前年同月比で収縮しました。
6月の輸出は、前年同月比8・2%上昇しました。海外からの引き合いの増加と世界市場における原油価格の上昇によるものです。
とりわけ石油関連製品の輸出が伸びました。また、ハードディスク駆動装置の輸出が設備増強の結果で拡大したほか、集積回路、電流制御機器、ワイヤーハーネスなどの電子部品の輸出も好調でした。
工業生産に関しては、前年同月比4・7%増となり、8カ月連続でプラス成長となりました。国内外の需要が順調に拡大した結果、工業生産は特に自動車、化学品、食品・飲料部門で拡大しました。
観光業では、外国人観光客数が前年同月比11・6%増の303万人となり、前月に引き続き拡大しました。中国と香港からの旅行者がけん引しました。サッカーワールドカップ・ロシア大会の開催を受けてヨーロッパとロシアからの旅行者は減少しました。
商務省が発表した2018年7月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比1・46%上昇し、13カ月連続で上昇しました。世界市場における原油価格の上昇により、国内燃油小売価格と調理ガス価格が上昇したことが主な理由です。
品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比2・29%上昇しました。5カ月連続で伸びが加速しました。昨年9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が同5・9%上昇しました。それに加え、運輸・通信も同4・4%上昇しました。
一方で、食品・飲料部門は同0・02%増となり、ほぼ前年並みでした。米・粉製品の上昇率が3・65%となりました。果物・野菜、肉・魚、卵・乳製品は下落したものの、非アルコール飲料が同1・48%上昇するなどそのほかはプラスでした。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.79%の上昇で、前月から伸びがほぼ横ばいでした。
日本銀行が7月30~31日の金融政策決定会合で金融緩和を長期化すると決めました。日銀は現在、10年物国債の利回りをゼロ%程度にしていますが、米国では長期金利が再び3%台まで上昇しました。この現状で今年中はドル高・円安傾向が継続すると予想されます。バーツ対ドルも同様にドル高傾向が継続する見通しです。
最近、タイ自動車市場における電気自動車の役割は大きく変化しています。電気自動車に対するタイの消費者の認知度が高まりつつあります。タイ政府もこうしたタイプの自動車の生産投資を支援しています。その結果として、自動車メーカーは明確な市場イメージを抱きはじめ、電気自動車、特にハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)とプラグイン・ハイブリッド車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)への投資と市場拡大に力を入れています。2018年1~5月の時点でタイの電気自動車の登録台数は7,129台となり、前年同期に比べ59%増大しました。今後も引き続き拡大傾向にあると見込まれます。
また、電気自動車の充電インフラ整備も立ち上げ時期に入り、自動車メーカーや流通大手、発電事業者などが充電器の設置を加速させており、2018年末までに充電スタンド1,000基を導入することが目標として設定されています。とりわけ、バンコク首都圏におけるコンドミニアム、デパート、ホテルなどへの充電器の設置案件が次々に決まり始めています。また、タイ政府も補助金を出して充電スタンドの設置を推進しています。
カシコンリサーチセンターは、現時点での市場の需要を反映させるべく、電気自動車に対するユーザーの関心度を調査しました。調査結果で興味深かったのは、電気自動車市場では、PHEVがユーザーの関心を最も多く集めていたことです。とりわけ、ガソリン車の同型車種との価格差が30万バーツを超えない場合には、多くのユーザーの関心を集める可能性があります。
PHEVに対する関心は、この自動車が市場で関心を集めている一因にもなっている「斬新なイメージ」に起因している可能性があり、さらにはガソリンと電気の2種類のエネルギーで駆動できることから、便利だと感じているとも考えられます。
調査対象のうち、2018年中に自動車を購入する計画があると答えた消費者の比率は33・3%です。この中で電気自動車も選択肢の一つとして関心を持つ者が55%に上りました。その大部分に当たる3分の2がPHEVに関心を示しました。すなわち、電気自動車を視野に入れている消費者の割合は以前よりも拡大しています。
また、調査から得られた現在の消費者の行動に応えるため、メーカー側は4つの点を強調したマーケティング戦術を採用すべきです。それは、電気自動車による燃料代節約に関する優れた性能、同型のガソリン車と比較して価格水準に大きな差がないこと、走行時の性能、および環境に対する優しさと言った点です。
しかしながら、消費者にとって電気自動車の購入意欲を減退させる可能性のある懸念もあります。それは、充電サービス施設が依然として不足していること、1回の充電に要する時間と走行距離、および修理とメンテナンスに関する懸念です。
※本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。
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THAIBIZ編集部
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