
カテゴリー: 会計・法務
連載: 知らなきゃ損する!タイビジネス法務 - GVA / TNY法律事務所
公開日 2026.05.11
最近、取引先が倒産したが今後どのように対応すればよいか、との相談を受けることも多くなってきた。このため今回は、タイの破産手続きの概要として、破産申立てから第1回債権者集会までの流れと、債権者が行うことになる債権届出について解説する。
まず、タイの破産手続きは、債権者もしくは清算人による申立てにより開始される。タイの破産手続きは、債務者自身で破産を申立てることができない点が日本の制度と異なる。申立てを受けて、裁判所は審理を経て支払不能の有無を判断する。
裁判所が債務者の支払不能等を認めた場合には、包括的処分禁止命令(Absolute Receivership Order、以下「ARO」)を発令し(破産法(以下「本法」)14条)、このAROにより、債務者の財産に対する管理処分権が、債務者から管財人の管理下に移転する(本法22条)。
ARO発令後、管財人は公告を行い、債権者に対して債権届出の機会を付与する。この債権届出期間は、原則として公告日から2ヶ月以内とされ、各債権者はその期間内に債権届出をする必要がある(本法91条)。
外国の債権者については、管財人は2ヶ月を超えない範囲で届出期間を延長することができるとされている。この債権届出は、当該破産申立てを行った債権者だけではなく、債務者に対する債権を有する他の債権者も対象となる。当該期間内に届出を行わない債権者は、破産手続きにおける配当を受けることができなくなる。
債権届出の後、管財人により債権者集会が召集される。債権者集会では、債務者からの和議の申立ての検討、または破産宣告を裁判所にしてもらうべきか、もしくは破産申立て後の債務者の財産の管理方法を協議するために開かれることになる(本法31条)。

債権者が破産手続きにおいて配当を受けるための債権届出については、以下のような対応が必要となる。
債権届出は、所定の様式(Lor.29)が存在する。当該様式では、①破産事件の特定情報(事件番号、裁判所、当事者)、②ARO発令日、③債権額およびその原因、④相殺関係、⑤担保の有無等が記載項目となっている。
また、債権の詳細については、別紙として「(債務者に対する)債権一覧」を添付する必要がある。この別紙では、各債権の金額、発生原因、証拠資料、担保資産の内容および評価額等を記載することが求められる。
また届出を行う債権に関連する証拠として契約書や発注書などの関連書類も添付する必要がある。なお証拠として提出する関連書類がタイ語でない場合、すべてタイ語に翻訳する必要がある。これらの情報は、管財人による債権調査の基礎資料となる。
以上のとおり、債権届出については届出期間があることから、将来的に当該破産手続きにおいて配当があるかは不明でも、少しでも回収可能性を残したい場合には、その期間中に対応を行っておくことが必要である。債権届出自体は所定の様式に従い準備が可能であることから、対応ハードルは高くないと考える。

TNY国際法律事務所
日本国弁護士
藤原 杯花 氏
2017年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。
TNY国際法律事務所
当事務所には、タイ・日本の法務に精通している日本人の弁護士がおり、事業に際しタイにおける規制や困難な側面を理解していますので安心してご相談いただけます。当事務所の経験豊富なタイ人弁護士と日本人弁護士が、手ごろな価格で、迅速かつ正確なサービスを提供致します。
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