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カテゴリー: 食品・小売・サービス, ニュース, カーボンニュートラル
公開日 2025.12.11
11月18日付のネーションによると、クルンシィ・リサーチは、タイのReady-to-eat(即席)食品市場が2026〜2028年に年率2.3〜3.3%で成長するとの見通しを示した。忙しい生活スタイルの定着、データ活用による商品開発、コンビニ網の拡大が主な要因で、食品分野の中でも安定性の高い市場として浮上している。

タイの即席食品の工場は2024年時点で575ヵ所あり、そのうち548ヵ所が中小企業(SME)で占められる。生産は乾燥・常温食品と冷凍・チルド食品が中心で、総生産量は53万1,800トン。国内消費が5割超を占めつつ、輸出も自由貿易協定(FTA)や地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を背景に堅調だ。ASEAN、日本、中国が主要市場で、欧州や豪州では都市部の若年層を中心に需要が拡大している。
一方で、原材料価格を揺るがす気候変動や米国市場での関税負担、欧州連合(EU)の包装規制強化など、企業が対応すべき課題も多い。特に減塩政策や塩税の拡大は、タイ特有の高塩分食品に影響が大きく、レシピ改善や投資の必要性が高まっている。
世界的にタイ食品(タイ料理・加工食品・飲料含む)の需要は2025〜2030年に年率8.4%成長する見込みであり、健康志向・植物性食品など新領域への開発余地も大きい。同紙では、多様な農産物を背景に、タイの即席食品市場は国内外での拡大余地を引き続き有しているとしている。
11月4日に承認された新たな国家目標「NDC3.0」によると、アヌティン政権は、温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロ達成時期を従来の2065年から2050年へと15年前倒しした。11月17日付のバンコク・ポストが伝えている。エネルギー、運輸など5分野を対象に、カーボン税や排出権取引などの仕組みを導入するという。政府は、国際基準との整合性確保や競争力維持に加え、2,300億バーツ規模のグリーン投資の呼び込みを狙う。
移行期間の短縮は、産業界に大きな負担を与える。低炭素技術や電気自動車(EV)、再エネ、廃棄物管理、バイオ素材などの産業は恩恵を受ける一方、石油・ガス、火力発電、鉄鋼、セメント、化学、内燃機関車など高排出産業は厳しい対応が必要となる。企業にはGHG排出量の測定、科学的目標の設定、技術選択、省エネ投資、データ開示といったプロセスが求められる。
さらに、対外環境も企業の脱炭素を促す要因となる。欧州の炭素国境調整措置(CBAM)は2026年に予定通り発動され、鉄鋼・セメント・アルミのタイ輸出に影響が出る見込みだ。カシコン・リサーチは、「企業が太陽光発電や廃棄物管理改善、グリーン金融の活用を進めない限り、コスト負担が増す」と警戒する。
タイでは産業部門がGHG排出量の24%を占めるため、移行の影響は大きい。カシコン・リサーチは「政府と民間の双方にとって、脱炭素は“選択ではなく生存戦略”となりつつある」との見解を示した。
タイ人事管理協会(PMAT)は11月12〜13日の2日間、クイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で、設立60周年を記念した「PMAT国際HRカンファレンス」を開催した。
同カンファレンスは企業の持続的な成長において人事管理(HR)の重要性が高まる中、最新の知見や実務的なアプローチを共有することを目的としている。世界から著名なスピーカー120名以上が集結し、変革期における組織のリーダーシップや 「People Legacy」 を基盤とした次世代リーダー育成について知見を共有した。
キアットナキン・パットラ銀行グループのバンヨン・ポンパーニット会長は、「人と組織を永続的に成長させるための“揺るがない基軸」について講演。その中で、組織を長く支える土台は①Winning Attitude:勝ちに向かう姿勢、②Grit:粘り強さ、③Community:価値観の共有、④Market:顧客と市場への理解、に集約され、これらは理念だけでなく、採用・評価・育成のすべてに一貫して反映されるべき要素だと強調した。特に入口となる採用段階でこれらを共有できる人材を見極めることが長期的な組織づくりには不可欠とした。
同カンファレンスにはタイ主要企業の経営者層が多数参加し、人材マネジメントに関する知見を共有した。

11月24日付のザ・スタンダードによると、マツダ・タイランドがタイのメディアに単独で登場した。同紙のYouTubeチャンネル「The Secret Sauce」では、マツダ・セールス・タイランドのティー・パームポンパン取締役会長兼最高経営責任者(CEO)へインタビュー。同社が直面するタイ国内市場の縮小と、中国EVブランドからの急速な競争激化への対応策について語っている。
マツダは広島発祥の「挑戦者精神」を中核としつつ、ニッチなプレーヤーとして差別化を図る姿勢を堅持。現在の難局に対処するため、同社は2030年を見据えた「電動化の夜明けロードマップ」を展開しており、多様な顧客ニーズに対応するマルチソリューション戦略を柱としている。この戦略の核心は、ハイブリッド技術とパートナーシップを活用しつつ、すべての車種でマツダのDNAを維持することである。同チャンネルでティーCEOは、最終的な目標は、顧客維持率ナンバーワンのブランドとなることだとしている。

THAIBIZ編集部
和島美緒 / サラーウット・インタナサック

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