カテゴリー: ニュース
公開日 2024.06.04
6月1日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ工業連盟(FTI)のスラポン副会長(自動車部会広報担当)は、金融機関における不良債権懸念が続いているため、今年の自動車ローンの却下率が前年並みの30~40%になるだろうとの予想を明らかにした。特にピックアップトラックの購入希望者は、ローン申請がほぼ却下されると予想しており、同分野の販売低迷が続く見込みだという。
同副会長は「ローン却下率は上昇し続けており、シート、タイヤ、ガラス、電子部品など広範囲の自動車サプライチェーンに影響が拡大するだろう」と強調。タイ中央銀行が家計債務問題に対処するために「責任ある融資(RL)」規制を導入したことを受けて、銀行は引き続き自動車ローン実行への慎重姿勢を続けているとの認識を示した。タイの家計債務残高の国内総生産(GDP)に占める比率は91%と、他の新興国の平均である60%よりかなり高くなっている。スラポン氏は、タイの製造業と輸出産業の中核である自動車産業の刺激策を導入するようタイ政府に要請しているという。
ブルームバーグ通信(5月28日付バンコク・ポストが転電)は、中国政府が電気自動車(EV)の振興策を強化し始めた当時の様子を紹介する「習氏のEVの夢が実現した」というタイトルの興味深い記事を配信している。同記事は、習近平国家首席がちょうど10年前に、自動車大手の上海汽車集団(SAIC)の高級セダンを見学する際に行ったスピーチが中国によるEV産業支配につながったと書き始める。習氏はこの時、「強力な自動車大国になる道筋は新エネルギー車の開発にある」と訴えたという。2014年に中国は7万5000台のEVとハイブリッド車を販売する一方、53万5000台の自動車を輸出した。当時の国内市場は、1980年代~1990年代に中国の国内企業との合弁で中国市場に参入した独フォルクスワーゲンや米ゼネラル・モーターズなどの外資系自動車メーカーが支配していた。こうした外資の参入により、中国は「バイク国家から自動車国家に変貌した」と表現。外資とパートナーを組まなかった国内企業やブランドはエンジンやその他の技術で出遅れ、劣後しているとみなされていたという。
中国政府は2012年に自動車の販売目標を設定、補助金を支給、充電インフラ構築に予算を配分するガイドラインを発表したが、その2年後の習氏のスピーチが、欧米や日本などの伝統的自動車大手を追い越す決意を示すものになったという。その後、2019年にテスラが上海工場を建設、市場に参入したことが、中国の国内メーカーに長距離走行の可能なより良いEVを投入する動機を与えたと指摘。その結果、中国は世界最大の自動車市場となり、2023年にはEV販売台数が世界トップになったと概観している。
6月1日付バンコク・ポスト(3面)は、5月30日にタイ運輸省が開催した「ランドブリッジ・プロジェクト」に関するマーケットサウンディングの説明会に、タイ企業以外では中国、日本、オランダの3カ国の大手企業が参加したと報じたが、川崎汽船など日本企業の名前も出ている。ちなみに、筆者が先週、同計画が仮に実現した場合に大きな影響を受けるはずのマレーシアのクアラルンプールで取材していた際に、ある日系ビジネス関係者に「タイのランドブリッジ計画を知っているか」と質問したところ、全く知らないと答えたことに少し驚いた。
英エコノミスト誌5月18日号はアジア面の「軍事政権は深刻な後退の危機に瀕しているが、まだパワフルだ」と題する記事でミャンマーの最新情勢を伝えている。同記事は、2021年にクーデターにより軍事政権が成立して以来、何百もの異なった抵抗グループが反転攻勢を続け、昨年末には大幅に支配地域を拡大したと説明。特に、「4月11日には、タイ国境にある重要な貿易都市ミヤワディーを掌握し、ターニングポイントになると見られていた。一部専門家は、軍事政権はまもなく崩壊すると予測したが、それから2週間経たずに、ミヤワディーは軍事政権派の地方軍閥が奪還した」と最近の動向を伝えている。現時点では民主派組織「国民統一政府(NUG)」がミャンマーの60%を掌握していると指摘する一方、軍事政権は国境地域では支配力は弱いものの、大都市を含む主要地域は依然支配していると強調。軍事政権を倒せない理由について、軍事政権内にある支配への執着や、軍事政権が主要財閥を傘下に持ち、反政府派に比べ資金力が豊富で、ロシアや中国から軍備を補強可能なことなどを挙げている。
THAIBIZ編集部
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