THAIBIZ No.151 2024年7月発行スマートシティ構想で日タイ協創なるか
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2024.07.10
Chainalysisのレポートによると、ベトナムは暗号資産の採用において世界トップクラスにランクインするなど、暗号資産への関心が高いです。しかしながら、その法的枠組については極めて曖昧であり、ベトナム首相は関係当局に対し、2025年5月までに暗号資産の法的枠組みの草案を作成するよう指示しています。本号では、ベトナムにおける現在の暗号資産の状況を概観いたします。
ケンブリッジ辞書によれば、暗号資産は「政府ではなく公的なネットワークによって生成され、暗号技術を使用して支払いの送受信を安全に行うデジタル通貨」と定義されています。
暗号資産の運用メカニズムは、仲介者を介さずに直接のピアツーピア取引を可能にし、従来の貨幣と異なり、これらのデジタル資産は分散型ネットワーク上で運用され、取引記録の完全性とセキュリティ確保のために強力な暗号技術を利用しています。
ベトナムにおける暗号資産は、ベトナムの法体系において正当な支払手段又は資産として公式に認められていません。もっとも、ベトナム国家銀行(以下、「SBV」)の既存の法令およびガイドラインを検討することで、暗号資産に関する国家の現状の認識がどのようなものかを分析することが可能です。
まず、ベトナムにおけるクレジット活動に関する規制上、暗号資産は合法的な支払手段とされず、そのように使用する場合は法令違反となります。また、SBVも暗号資産を法定通貨や合法的な支払手段としていません。このように投資家の権利を保護するメカニズムの欠如や、暗号資産投資に関するリスクがあるにもかかわらず、ベトナムには多くの暗号資産取引所が登場しています。
他方で、今年、ベトナムは「電子マネー」を導入し、非従来型の通貨を合法化する流れがあります。電子マネーは、規制された仮想プラットフォーム上に保存されたベトナムドンの価値とされ、政府の管理を受けない暗号資産とは異なるものの、電子マネーの登場は、将来の暗号資産合法化への第一歩ともいえます。
ただし、ベトナム民法上、資産は物、金銭、金融商品、及び財産権とされ、暗号資産を含むデジタル資産は、この伝統的な分類には該当しません。法的な意味で暗号資産が資産として正式に認められるためには、民法上の資産についての考え方についても整理が必要です。
現在、暗号資産を法定通貨として認めている国は、エルサルバドルと中央アフリカ共和国の2ヵ国のみです。ASEAN地域では、シンガポール、フィリピン、マレーシアなどが暗号資産を公式に認めていますが、タイとインドネシアは完全には認めていません。
今後ベトナムは暗号資産についてどのような姿勢を取るのか、来年の草案が注目されます。
THAIBIZ No.151 2024年7月発行スマートシティ構想で日タイ協創なるか
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One Asia Lawyers
松谷 亮 氏
日系大手企業の社内弁護士として合計5年間勤務後、2019年にOne Asia Lawyersベトナム事務所へ入所。クロスボーダー案件、取引相手との紛争処理案件、知的財産に関する契約交渉、紛争処理案件を数多く経験。IT・製造業の法務案件を専門とする。
One Asia Lawyers
日本と東南アジア・インドをつなぐワン・ストップでシームレスな法律のプラットフォーム
M&A / 統括会社設立・アジア子会社再編 / 紛争解決 / コンプライアンス対応・不正調査 インフラ輸出・投資 / エネルギー・資源関連 不動産 労働法 知的財産 etc
One Asia Lawyers Groupは、東南アジア・インドの法律に関するアドバイスを、アジア各国のネットワークを基礎として、シームレスに、ワン・ストップで提供するために設立された法律事務所です。
Tel:061-780-1515
E-mail:[email protected]
Website : https://oneasia.legal/
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