
カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ASIAビジネス法務 最新アップデート - ONE ASIA LAWYERS
公開日 2024.11.11
インドの破産・倒産法(Insolvency and Bankruptcy Code, 2016、「IBC」)は、再建型の倒産処理手続を前提としつつ、再建が困難な場合に備えて清算手続きまでカバーしています。IBCは倒産処理を迅速にすることが目的で、倒産処理の専門家(Insolvency Professional、日本の管財人に相当)が手続きを主導し、企業倒産解決手続(Corporate Insolvency Resolution Process、「CIRP」)の開始決定から終結まで、原則として180日間、延長しても最長330日以内に完了することが規定されています。
Insolvency and Bankruptcy Board of Indiaによると2016年12月にCIRPに関する規定が施行されて以降、2024年6月までに、累計7,813件の申立てが承認されています。
そのうち、解決計画の承認、清算命令の発行、取り下げや和解を含めた5,840件の終結ケースのうち、約44%が清算手続きを開始しているものの、過半数の案件で再建や和解が行われています。
しかし依然として課題点も残っています。CIRPの完了期限は最長でも330日間と規定されており、また清算手続規則においても、手続きは清算開始日から1年以内に完了しなければならないと規定されています。しかしながら、インドの信用格付け機関ICRA Limitedの調査によると、2024年に手続きが終了したケースの平均所要日数は、CIRPが843日、清算手続きは673日であり、解決までに2〜3年かかっているのが現状です。
このような状況の中、今年9月にCIRPに関する規則の改正がなされました。この改正により導入された「暫定代理人(Interim Representative)」制度により、債権者グループの正式な代理人が裁定当局で審議期間中であっても、既に任命されているCIRPをリードする再建専門家が、当該債権者グループの暫定代理人として行動できるようになりました(規則12)。
この規定により、特に多数の債権者が存在する複雑な手続きなど、代理人の任命プロセスに時間を要する場合でも、債権者委員会の会議において、再建専門家が正式に任命された代理人と同様の権利と責任をもって手続きを進めることができます。
インドにおいて従来非常に時間のかかっていた倒産処理の迅速化を目的として制定されたIBCは、実務の効率化や透明性の向上を目的に、施行以降も複数回改正されてきました。直近の改正においても、暫定代理人制度の導入による手続きの遅延緩和が図られています。手続きの長期化という課題は依然として残るものの、インドに進出する日本企業にとっても影響の多いIBCの運用は、今後も改善が期待されます。

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アフリカデスク兼南アジア代表
志村 公義 氏
日系一部上場企業のアジア太平洋General Counsel、医療機器メーカーのグローバル本部(シンガポール)での企業内法務に従事。2019年4月からインドに駐在し、南アジアの法務案件の対応を行う。2021年9月に南アジア全8ヶ国の最新法務をまとめた日本初の書籍となる『南アジアの法律実務』(中央経済社)を出版。

One Asia Lawyers
山田 薫 氏
One Asia Lawyers南アジアチーム所属パラリーガル。日系・外資系民間企業や政府系国際協力機関での実務経験を経て、南アジア各国の現地弁護士と協働して日系進出企業に対する法的サポート、各種法律調査等を行う。
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