ArayZ No.73 2018年1月発行タイの労務 -就業規則から解雇まで-
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カテゴリー: 特集
公開日 2018.01.18
出家休暇
タイは国民の9割以上が仏教徒ですので、男性は一生のうち1度は出家するケースが多いです。最近は出家しない人もいるようですが、大学在学中の20歳前後での出家が多いようです。しかし、出家はお金がかかるため働いてお金をためてから出家するパターンがあるため、このような休暇があります。この休暇は休む権利は与えますが無給でも問題ありません。出家期間は、1週間から2週間程度が多いです。
ビジネス休暇
戸籍謄本などを取得するために市役所などの政府機関に行くための休暇です。自己都合による無給の休暇で、年間3営業日まで取得できます。土日は市役所が開いておらず平日に行かなければならないという建付けですが、近年バンコクの市役所は平日でも夜8時まで開庁してます。
勤務1年未満の人で有休がない人や使い切ってしまった人が私用で休む場合などに、この休暇を利用している現実があります。このような実態ですが、年間3営業日まで有給休暇に変更する審議が行われているので今後の動向に注意が必要です。ただし有給になっても買い取り対象外になると言われています。
兵役休暇
年間60日までの有給休暇です。兵役は高等教育で免除が一般的で、通常タイの履歴書には兵役についての項目がありますので、面接の際口頭でも確認すると良いでしょう。
以上の休暇をまとめると、年間で出産や兵役のない場合で40日近くの有給休暇を取得できます。
ちなみに2018年の日本の祝日は16日間、タイは17日間の予定です。
雇用契約には、期間の定めがある契約(有期雇用契約)とない契約(無期雇用契約)があります。有期雇用契約は2年以内の期間であれば、期間を決めて雇用しその期間で解雇できます。ただし、これを何度も繰り返すと無期雇用契約とみなされます。契約を打ち切る際、無期雇用契約とみなされて解雇保証を支払わなければならないケースがあるため、契約書の書き方には注意が必要です。判例では、自動更新の文言が入っていたり、通知をしない限りは延長と記載されていると無期雇用契約とみなされることがあります。
逆に、自動更新の文言がないということは期間が決まっており、契約上解雇に際して問題ありませんが、人を集めにくいデメリットがあります。ですから、初めは期間の定めを設けてその間に仕事ぶりで判断できるよう、面接の際に「有期雇用契約だが、評価によっては将来的に無期雇用契約に結び直す」と可能性を口頭で説明する方法もあります。「面接を経て」や、「評価によっては」という可能性を担保しておけば、無期雇用契約とみなされる可能性は少ないと考えられます。
改正事項
契約の有効性について、就業規則や雇用契約書はタイ語でなければならないのかという質問をよく受けます。まず就業規則ですが、労働者を10人以上雇う場合タイ語での作成が必要です。これまでは作成後労働局に届け出が必要であったことからも、タイ語での作成が必須でした。2017年4月からは労働者が10人以上の場合、労働局への届け出が不要になりましたが言語に変わりはなく、タイ語で作成しなければなりません。また、就業規則のサーバー内での開示などが可能となり運用しやすくなりましたが、データを社外に持ち出しやすいため悪用されないよう運用しなければなりません。
次に雇用契約書は英語での作成も認められています。外資企業で働く人材は、ある程度英語が使用できるだろうということで、英語での作成が認められている判例もあります。
他にも2017年9月1日の改正で、定年年齢の記載が決まりました。就業規則に定年の年齢を記載していない場合は60歳とすることになりました。すでに年齢が記載されている場合はそちらが有効です。タイでは55歳定年も多いです。
タイの試用期間は119日が一般的です。これは、会社都合で退職した場合の解雇保証金の支給の要件が120日からであることに由来します。また、試用期間中、会社は解雇留保権つまり解雇できる権利を持っています。試用期間に雇止めを行えば保証金を支払う必要はありません。試用期間でも雇止めをする場合、一給与支払期間までに通知しなければなりません。この期間分の予告手当を支払って雇止めをすることもできますし、人手が足りない等の理由で残りの期間働いてもらうことも可能です。
試用期間中も、試用期間経過後も会社側から雇用契約解消をする場合には、事前予告が必要となります。
タイの事前予告期間は一給与支払期間とされています。一給与支払期間が空くように事前予告が必要となりますので、給与支払日を過ぎてしまうと約2カ月間ほど前に事前予告が必要な場合もあります。
タイでは、毎月5日頃に家賃や公共料金等の支払いが必要な場合が多く、給与の支払いは当月25日ないしは月末が多くなっています。
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THAIBIZ編集部
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