カテゴリー: ニュース, バイオ・BCG・農業, イベント
公開日 2023.10.04
タイ日プラットフォーム 「TJRI(Thai-Japanese Investment Research Institute)」(運営会社:Mediator Co., Ltd. 本社:タイ王国バンコク、代表取締役社長:ガンタトーン・ワンナワス)は、バンコクのクイーン・シリキット国際会議場にてASEAN最大規模のサステナビリティ関連イベント「Sustainability Expo 2023(SX2023)」にて、日系スタートアップのアルガルバイオ社、ポーラスター・スペース社、サグリ社の3社をゲストに迎え、「日系スタートアップのサステナビリティへの取り組みを探る」と題したセミナーを10月3日に開催しました。
開会に際して、モデレーター兼通訳を務めたメディエーター代表のガンタトーンは、「SX2023の主催者であるタイ・ビバレッジ社より、『タイには多くの日本企業が進出しているにも関わらず、SX2023で日本企業が登壇するセミナーはない。日本企業にもぜひ参加して欲しい』と相談を受け、TJRIとして参加を表明した」と述べました。さらに「今回のSX2023への参加を通して、タイが抱える課題を解決できる技術を持った日本企業をタイ企業へ認知してもらい、日タイの共創につなげていきたい」と本セミナーの目的を述べ、希望者を対象に今回登壇した3社との商談も並行して行っていることを説明しました。
続いて、サステナブルな新資源である藻類をあらゆる産業に活用し、社会課題の解決に取り組んでいるアルガルバイオ社のCEO木村周氏、超小型衛星・ドローン等を利用したリモートセンシング(遠隔探査)技術を活用し、農業をはじめ様々な分野で課題解決型サービスを提供するポーラスター・スペース社のマーケティング責任者川口真史氏、衛星データと人工知能(AI)を活用した土壌分析サービスで農業と気候変動の課題解決に取り組んでいるサグリ社の東南アジア責任者坂本和樹氏が各々の先端技術の特徴とこれまでの活用事例や導入実績等を紹介しました。
パネルディスカッションでは、タイでの事業展開の見通しやゴールについて、アルガルバイオ社の木村氏は、「当社は日本国内では藻を活用した20以上のプロジェクト実績があります。特にカーボンニュートラル達成に向けたCCUSプロジェクトへの活用が多く、工場排水を有効利用して育てた藻から健康食品やバイオプラスティックなどへ応用するアップサイクル技術が注目を集めています。現在、複数のタイの大手企業と商談をしており、タイ企業だけでなく、タイに工場を持つ在タイ日系企業ともパートナーシップを組んで藻を活用したソリューションや製品開発を共に進めていきたい」と意欲を示しました。
一方、ポーラスター・スペース社の川口氏は、「現在はインドネシアとマレーシアのアブラヤシ農園にて、超小型衛星・ドローンを活用したリモートセンシング技術でアブラヤシの病気を早期発見し、感染拡大の課題解決に注力していますが、この技術は他の植物にも応用ができ、あらゆる作物のフードロスに貢献できる可能性を秘めています。今後はインドネシアとマレーシアに次いでパーム油生産が盛んなタイの農園にも応用していきたい」とした上で、「私たちの技術を活用し植物の病気を早期発見し、さらに植物の病気の予防など薬品の技術を持つ化学企業と協力することで、社会課題を解決する新たな事業が生まれる」と共創の重要性を強調しました。
最後にサグリ社の坂本氏は、「衛星データで農地の土壌分析を行い、化学肥料の使用を削減できれば温室効果ガスの排出も削減できます。当社はこのデータ技術を活用して、カーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減量を排出権としてクレジット化して売買する仕組み)事業にも取り組んでいます。タイでの実証事業はすでに完了しており、すぐにサービスを開始できる準備はできています。タイをはじめ東南アジアでは農家の収入が低いことも課題の一つなので、このカーボンクレジットの仕組みを活用して、農家の副収入につなげていきたいと考えています。農家とのネットワークを持つ農業や食品関連企業とパートナーシップを組んで、タイの農業と環境の両方の課題を一緒に解決していきたい」とアピールしました。
開催概要
SX x TJRI SeminarSustainability Expo 2023について
タイ・ビバレッジ社のほか、TCCグループ傘下の不動産大手フレーザーズ・プロパティー、化学大手PTTグローバルケミカル(PTTGC)、サイアム・セメント・グループ(SCG)、タイユニオングループの5社の主要パートナーとその他100社以上のタイ企業が参集するASEAN最大級のサステナビリティ関連イベントで、今年で4回目を迎えた。
TJRI編集部
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