カテゴリー: 自動車・製造業
公開日 2015.03.09
これまで製造業においては試作品の用途で導入されることの多かった3Dプリンターだが、技術の進歩に伴い、機能の確認や実製品の用途でも導入されるようになってきている。
前述の〝エンプラ〞よりもさらに耐熱性などの高いPPSF 、ULTEM といった〝スーパーエンジニアリング・プラスチック〞素材を使用すれば、強度的にも実用可能なレベルのものが出力できるため、ものづくりの手段は、型を作成する手間を省き、設計図から直接型を成形する「ラピッドツーリング」、そしてそれを実製品とするDDMの時代へと進化している。
金型に比べ軽量で複雑な形状に対応できるという強みから、レイアウトの確認や治具の軽量化、パレットの内製化など、安全性や人間工学の観点から生産者への負担を軽減できるというメリットも持ち合わせており、また、デザイン性、カスタマイズへの適応力も高く、その優位性は作業時間の短縮とコスト削減だけではなくなってきている。
産業用3Dプリンターは、これまで自動車、家電、消費財などのものづくり業界がメインマーケットだったが、プラントの建築事前設計・配置確認でも使用されているほか、映画界、ステージ用の特殊な衣装などのエンターテインメント業界や、博物館のレプリカなど、アカデミックなフィールドでも活用の場が広まっている。
さらに人体に影響のない医療用素材でも出力が可能になり、実際に補聴器や歯型、義手・義足など医療用途でも導入がスタートしている。血管や骨の手術への実用化も研究が進められているという。
「3Dプリンターは名前と話題性が先行しがちですが、ものづくりに携わる方には一度実物を見てもらえれば、活用方法が見出してもらえると思います。R&D(研究開発)機関へ導入されるケースも増えており、用途の幅、アイデアは無限大です。ショールームでは実機デモ実演も可能です。多種多様なマシンの中から、事業に適した一台をご提案します」(岩本氏)。
左:高性能熱可塑性プラスチックの「ULTEM9085」は機能テストだけでなくDDMの用途にも
右:歯科技工業界においてもデジタル化が進んでいる。今年1月にはStratasys社から歯科技工用途に特化した3Dプリンター「Objet Eden 260 VS Dental Advantage」も発表された
FDM素材
【特徴】 FDMに使用される樹脂は、航空宇宙、自動車、医療業界における設計者やエンジニアの厳しい要求に適う、静電気の散逸、半透明性、生体適合性、VOの可燃性とFSTの評価などが可能な特性を持つ。
Polyjet素材
【特徴】 Polyjetは透明・ゴムライク・ABSライク・PPライクなど物性の異なる複数
の樹脂材料を取り揃えており、造形モデルの用途に応じて樹脂材料を選択できる。
次ページ:3Dプリンターがもたらす無限大の可能性
THAIBIZ編集部
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