グローバル・ビジネスのスタンダード 経営ツールとしてのISO認証

グローバル・ビジネスのスタンダード 経営ツールとしてのISO認証

公開日 2015.04.05

 

環境をマネジメントするISO14001

ISO14001は環境マネジメントシステムの規格となる。これは「組織のマネジメントの一部で、環境方針を策定、実施し、環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されている。つまり、〝組織が環境を守るために行う種々の活動を経営の仕組みに取り入れる〞という指標を示すものだ。
地球上で起きている大気汚染、土壌汚染、水質汚染、酸性雨など、さまざまな環境問題が及ぼす影響や被害は国境に関係なく、1ヵ国だけで対応できるものではない。世界各国の相互協力により地球規模で取り組むことが必要であり、企業活動における環境への取り組みが強く求められている。今や環境保全活動は企業にとって特別なことではなく、〝ごく当たり前のこと〞となっている。企業が活動し続ける限り、環境に影響が及ぶのだ。
環境活動は一過性で終わってしまっては効果がなく、その活動は継続的に行われることで効果を発揮する。
この規格の要求事項は、あらゆる種類・規模の組織に適用し、しかもさまざまな地理的、文化的および社会的条件に適応するよう意図して作成されている。システム構築の際、品質、労働安全衛生など既存のマネジメントシステムの要素を適用することも可能だ。この規格の全体的な狙いとして社会経済的ニーズとバランスを取りながら環境保全および汚染予防を想定している。

ISO14001はシステム規格

規格本文には、具体的な守るべき環境基準や規制値は書かれていない。これには世界各国で環境基準や排出された物質の環境への影響が異なるためなどの理由がある。環境マネジメントシステムは「自分の行動は自分で決める」という観点に立っている。ISOは任意の制度で法的強制力ない。自分たちの組織について、取り組むべきことを自分たちで決める、そこに意識が高まり継続的に取り組んでいくことにつながっていく。
環境への取り組みは環境側面を入手してスタートする。継続的に改善を行い、環境への負荷を低減していくことが求められる。また、組織全員で参加していくことが必要とされており、そのためにはトップマネジメントの役割が非常に重要となる。TOPが定める環境方針や思いをしっかり示すことで従業員の共感を得ることが可能となる。

認証登録で得られる複数のメリット

ISO14001認証登録の利点として、適切に設計された環境マネジメントシステムは、組織が体系的に管理することを可能にするツールとなり得ることから、環境パフォーマンスの改善によって企業の収益向上が期待できることがある。
環境マネジメントシステムを運用することで、生産コスト削減を可能にするような手順の変更や、テクノロジーの改変が自ずと引き起こされるようになる。また、環境影響における継続的改善が要求事項となることから、原材料、エネルギーおよび労働力といったあらゆるインプットにより生産的な活用が促進されるようになるほか、汚染の削減によって、生産性の改善およびより効率的な資源の活用が実現される。
効果的な環境マネジメントシステムの実施がもたらすのは、①製品投入処理の効率化、代替原料の使用、並びに副産物や廃棄物をリサイクルすることによる材料の節減②エネルギー消費の削減③ 資材保管費の削減④ 排気、排水、廃棄物処理・輸送・廃棄に伴う費用の削減⑤プロセスの歩留まりの向上⑥保険料の節約⑦環境法への抵触の回避⑧環境マネジメントシステムによる一貫したPDCAサイクルを介した測定可能な数値の進捗管理―などのメリットであり、間接的には監督機関、顧客および一般消費者の間での企業イメージの向上や、企業として社会的責任を果たしている証明、従業員の勤務態度の改善などにつながっていくことが期待できる。

THAIBIZ編集部

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