カテゴリー: 特集
公開日 2015.10.20
今年7月、日本・経済産業省より「長期エネルギー需給見通し」が発表された。この中で日本のエネルギー政策について〝安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security )を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency )による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図ることにある〞と明記されている。
2011年の福島第一原子力発電所事故により原子力への信頼が低下。また、石油・ガスなど、ほかの燃料の供給設備や風力発電設備についても自然災害時の耐性への意識が高まっているなか、安全性の向上に向けて取り組んでいくとしている。
日本はエネルギー自給率の改善がエネルギー政策の大目標と謳っているが、原子力発電所の停止後、自給率はわずか6%程度まで落ち込み、OECD34ヵ国中2番目に低い。非資源産出国のスペイン(26.7%)、イタリア(20.1%)、韓国(17.5%)と比較しても極端に低い水準となっている。
世界的なエネルギー需要増加が見込まれる中、産業、家庭、運輸などの分野において徹底した省エネルギーの推進を行い、最終エネルギー消費で5030万kl程度の省エネルギーを実施することによって、2030年度のエネルギー需要を326百万kl程度と見込んでおり、東日本大震災以前をさらに上回る水準(自給率およそ25%程度)まで改善することを目指している(図表4)。
タイでも今年、新たなエネルギープランが発表された。「Power Development Plan : PDP 2015(2015 ‒ 2036)」(電力開発計画)、「Alternative Energy Development Plan : AEDP 2015(2015-2036)」( 代替エネルギー開発計画)、「Energy Efficiency Development Plan :EEDP 2015(2015-2036)」(エネルギー効率開発計画)の3つだ。
「タイでは今までこの3つがそれぞれ別々に計画・運営されており、整合性が取れていませんでした。しかし、2015年版でようやくこの3つの計画が連結して実行していくことが決定されました。AEDPO2015の供給電力計画の内訳をみると、15年の天然ガス発電量を64%から36年には37%まで減少させ、再生可能エネルギーにおいては同年で7% から18%まで増加させることが計画されています。また、将来的に原子力発電も開始することが明記されています」。
AEDP2015の初期コンセプトでは、MSW(都市ゴミ)、バイオマスやバイオガスの発電を推進し、農家や地域社会の双方に利益をもたらすことを掲げ、2036年にはMSW :500MW、バイオマス:5570MW、バイオガス:600MW(産業廃棄物と畜産廃棄物)+680MW(エネルギー用農作物)を目標値に設定。増加する電力需要への対応と地方再開発を目標に、再生可能エネルギーの活用を進めるとしている。そのほか、AEDP2015では同36年までに、太陽光:6000MW、風力:3002MW、大型水力:2906MWといった目標値が設定された。
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THAIBIZ編集部
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