変わるモノづくり 製造業とIoT

変わるモノづくり 製造業とIoT

公開日 2016.09.28

arayz sep 2016

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事例1 ハーレーダビッドソン社ヨーク工場 大量生産型から、一品生産型のビジネスモデルへ

ユーザが車輪やシート、マフラーといったパーツを選んで組み合わせるカスタムバイクのオーダーシステムを構築しているハーレー・ダビッドソン社は、“マス・カスタマイゼーション”の先行事例だ。
同社では顧客からの発注が即座に生産計画に反映され、必要となる部品の発注、その在庫管理、生産ラインの稼働管理までを一連のシステム上で最適化している。
部品はジャストインタイムで調達、生産ラインに配送される。生産ライン上の機器はセンサーによってつながっており、稼動状態をモニタリング。ワーカーの目の前には作業指示が適切に送られ、熟練技術者でなくても効率よく作業できる環境が整い、生産リードタイムはそれまでの21日から6時間へと大幅に短縮された。
「ハーレー・ダビッドソンといえば嗜好品の代表格である大型バイクメーカーですが、大量生産型ビジネスモデルに限界を感じ、SAP社の助力を得て一品生産型ビジネスモデルへの転換を図りました。これは技術をアウトソーシングし、効率化に特化した事例です」。

事例2 ボッシュ社ブライヒャッハ工場 チョコ停の発生原因を世界中の工場で共有、解決

“スマートなマザー工場”の例は、ボッシュ社のブライヒャッハ工場。既に同種の製品を製造する世界11の自動車部品工場群、5,000の標準設備をネットワーク化したスマートなマザー工場を運用している。
ブライヒャッハ工場では、いわゆるチョコ停(設備の瞬時停止)の発生原因などの現場経験を共通知識データベース化し、世界中の同様の工場で活用できるようにしている。また、過去に類似の問題がないようなケースでは工場の現場から中枢のセンターを呼び出し、高度なエンジニアリング分析に基づき問題解決のアドバイスを行う。この解決結果はまたさらに共通知識データベースへ書き込まれる仕組みとなっている。
ボッシュ社のこうした仕組みが構築できる理由は、ブライヒャッハ工場および同種の製品を製造する世界11拠 点の工場すべてで、ボッシュが製造した工作機械を活用しているためだ。

事例3 シーメンス社のサービス 現地作業員の習熟度に左右されない、変種変量生産の新たなかたち

シーメンス社では、顧客企業の生産技術部門の機能を代替し、いわゆる生産準備工程(生産設備の設計から調達、整備)の業務に加え、継続的な生産性向上活動、チョコ停の原因分析や予知保全などの業務全般をサービスとして提供するという、いわば“製造プラットフォームサービス”を始めている。
このサービスはBMWと中国(Brilliance社)との合弁工場で行われ、フルターンキーサービス(設計から機器・資材・役務の調達、建設および試運転までの全業務を一括して請け負う契約)で機械を納入、未習熟な現地作業員が単純な制御行うだけで、BMWの特定の車種を一本の生産ラインで製造し(変種変量生産)、99%以上の高い稼働率と高品質の生産を実現したとされている。
同社のフルターンキーサービスは、経済産業省の “日本の『稼ぐ力』創出研究会”(2014年12月) でも話題となった。
インダストリー4.0型の生産システムが、現地作業員に高い習熟を要しないことに対し、日本型の変種変量生産は習熟を必要とするため、ようやく習熟した段階での転職(この場合はノウハウが漏洩するリスクも生じる)や人材不足の問題、何より習熟するまでに長い期間を要すること自体がすでに問題だという指摘もある。

次ページ:日本企業におけるIoTの可能性

THAIBIZ編集部

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