カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.09.06
ザ・スタンダードは8月25日、今号のEVENTコーナーでも取り上げたタイ証券取引所(SET)の年次フォーラム「タイランド・フォーカス2022」のうち、食品分野のセッションの内容を伝えている。農業・食品大手の経営幹部は、食品産業の未来のトレンドは「テクノロジー」であり、外国と競合する際の鍵を握っていると認識しているという。
同セッションでチャロン・ポカパン・フーズ(CPF)のプラシット最高経営責任者(CEO)は、タイの食品産業が競争できる一つの方法が効率性、生産性を高め、アニマルウェルフェアに配慮し、農業労働者を減らすために、現在ある遺伝子組み換えテクノロジーやイノベーションの活用する必要性を指摘。また、「タイは鶏肉輸出で世界トップの地位を失いつつある。ロシア・ウクライナ戦争による食品価格の高騰、原料不足が原因だ。タイは農業国でありながら、なぜトウモロコシや大豆を十分に供給できないのか。農家の規模が小さすぎるのが問題であり、ブラジルなどの方が競争力がある」と訴えた。
一方、ベタグロのワシットCEO兼社長はモノのインターネット(IoT)やロボット、ドローン、農業バイオテクノロジーが食品生産チェーンの効率性と安全性を高める革新的なトレンドだと強調。世界がサプライチェーンの途絶につながる地政学的課題に直面する中で、現在世界はサステナビリティー、気候変動、食品安全保障に焦点を合わせていると述べた。さらに、最も重要な食品技術とトレンドは代替タンパク質であり、現在、食品業界に大きな変革をもたらしているとしたほか、食品や栄養分の摂取自体が薬になるとの見方を示した。
住宅開発大手センシリのウタイ最高執行責任者は8月29日に記者会見を開き、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)を達成するとの長期目標を発表した。中期目標では2025年に20%、2033年に50%の削減する計画。さらに持続可能な生活の実現を目指し、タイでは初となるネットゼロの住宅を開発するための研究・開発(R&D)を推進するために、EV向け充電システムを提供するシャージ・マネジメントや太陽光エネルギーのソリューション会社IONエナジーなど10社と提携することも明らかにした。
この日の会見は同社が開設、運営するオーガニック農園に隣接するオフィスビルで行われた。この農園はオンヌット地区で同社が開発したコンドミニアム群の近くに位置し、市民にも無料開放されている。
8月25日付の英誌エコノミストはアジア面でタイ憲法裁判所がプラユット首相の任期について判断を求める野党提出の請願書を受理し、同首相が憲法裁が判断を下すまで職務停止することを伝えている。同記事は、「過去20年間、憲法裁は2つの選挙結果を封印し、3つの野党を解散させてきた。これらの判断は軍事政権を支援してきた」と批判。今回の決定は支配者層に明確に異を唱えるものとして注目されたとする一方、プラユット首相はこの判断を「寛大に(graciously)に受け入れた」と皮肉っている。毎週、全世界くまなく目配りし、アジアでもパキスタンやミャンマーなど経済規模の小さい国でも頻繁に取り上げるエコノミスト誌だが、実はタイのニュースはめったにない。それは世界に伝える必要のある問題が少ない国と判断しているのか、大英帝国の植民地になったことがないからか。この記事もバンコク発ではなく、クアラルンプール発だ。
一方、9月4日付のバンコク・ポストはソムキット元副首相が日用品大手サハグループの持ち株会社サハ・パタナ・インターホールディング(SPI)の会長を8月31日付で退任したと報じている。国民国家の力党を離党したウッタマ元財務相らが結成した新党のタイ未来構築党は今年4月に党の首相候補にソムキット前副首相を指名する方針を明らかにしており、ソムキット氏はいよいよ首相候補受け入れの準備を整えたようだ。
TJRI編集部
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