カテゴリー: ニュース
公開日 2023.06.07
前進党の選挙公約、そして連立政権樹立に向けて8党が合意した政策覚書(MOU)の中で注目された経済政策の1つが「アルコール飲料など全産業での独占禁止」だ。これについて5月31日付バンコク・ポスト紙(ビジネス2面)が解説記事を掲載している。同記事によると、昨年11月2日に、野党前進党が提案した「Progressive Liquor Bill」は下院で194票の賛成を獲得したものの、反対が196票あり2票差で成立させられなかった。それから約7カ月後の5月22日に連立8党が合意した23項目のMOUの10番目に「アルコール飲料を含む全産業で独占を撤廃し、公正な競争を促進する」と盛り込まれた。
MOU調印の数日前にビール「シンハー」などを製造・販売するブンロード・ブルワリーのピティ取締役は、この法案の同社への影響に関するSNS上での質問に対し、同法案を支持していると答えたという。同氏は、この法案が提出されて以来、賛成しているとした上で、ブンロードは創立以来、自由貿易のコンセプトに同意しており、競争に直面してきたと強調。同社は既に事業計画を見直し、ビール製造から他の分野に多角化していると述べた。
タイのアルコール飲料市場の規模は2020年時点で4730億バーツ、2023~2027年の間には年率5.23%伸びると予想されている。クルンシィ・リサーチの2022年の調査によると国内のビール市場は上位2社で92%のシェアを握っている状態だ。前進党のピター党首は同法案の名称について、自由化という言葉の代わりに「progressive」という言葉を使ったのは、アルコール消費量を増やすのが目的ではなく、既存商品の付加価値を上げ、地域社会が観光客に製品を売るチャンスを増やすためだと説明。この法律により、すべての規模の醸造会社が同じルールで営業することになり、「法案成立はすべての人の勝利につながるだろう」と訴えたという。
中国EV産業に関するニュースが相次いでいる。6月4日付バンコク・ポスト(1面)は、寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、長城汽車(GWD)傘下の蜂巣能源科技(SVOLT)のEVバッテリー製造世界大手である中国の3社がタイでの投資に関心を持っていると報じた。プラユット首相もEV生産を促進する政府の政策が成功したと歓迎しているという。
6月2日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、中国のEVメーカーがタイ工業連盟(FTI)への加盟を求めている。FTI自動車部会の広報を担当するスラポンFTI副会長は、FTIが中国の自動車メーカーと協議しており、近く結論が出るだろうとの見通しを示した。日本、欧州、米国の自動車メーカーはFTI自動車部会のメンバーとなっており、タイの自動車産業発展で重要な役割を果たしている。中国企業の参加は、FTI自動車部会が集計しているタイの自動車生産能力を年間10万台拡大することになるという。同部会は、今年のタイの自動車生産台数について195万台とする予想を維持している。昨年の生産台数は188万台だった。
5月30日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ自動車研究所(TAI)はタイ自動車部品メーカーに対し、タイで電気自動車(EV)関連ビジネスを拡大している中国企業との競争を支援するために、EVの技術ノウハウを伝える方針だ。クリアンサックTAI所長によると、高い技術を持ち、生産コストが低い中国のEV部品メーカーがタイのEV市場に製品を供給する中で、タイ国内の自動車部品メーカーも競合激化に直面すると予想されている。TAIとイベント運営会社RXトレーデックスは6月21~24日に大型展示場BITECで「オートモーティブ・サミット」を開催する予定。
6月2日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)によると、タイ証券取引所(SET)上場の化学品販売会社UACグローバルは、総額2億バーツを投資し、インドネシアにごみ固形燃料(RDF)工場を建設する計画だ。同国のサーキュラー経済を推進するために地元の発電会社などにRDFを供給する。また、5月18日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、UACグローバルは、RDF輸送コストや廃棄物処理コストを管理するために、化石燃料トラックを電動トラックに転換する実用化調査を実施しており、ラオスでRDF生産・輸送コスト支援するEV関連技術を開発する計画だ。
TJRI編集部
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